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【12/4(水)】京都経済同友会 経営問題特別委員会「若者が考える、いい会社とは?」学生の感想

こんにちは、行元です。

ー突然ですが、みなさんにとって、「いい会社」とはなんですか?

若者の離職率が増えている現状を鑑み、企業経営を取り巻く様々な環境が変化するなか「“いい会社”の定義が変わってきているのではないか?」という西村委員長はじめとするみなさんの問題意識のもと、学生の声を社会に届けるGLOCAL CENTERに賛同しお声かけをいただきました。有難いことに最終回にあたる第6回、京都経済同友会経営問題特別委員会のコーディネーターを務めさせていただきました。

このnoteでは当日の様子と、絶賛就活中のインターン生みぞの感想をメインで取り上げていこうと思います。

同委員会の趣旨としては、以下の通りです。

バブル崩壊直後の 1990 年代から続く“失われた 30 年”・・・市場環境の不確実性が高まるなど、現在の延長戦上に未来を描きづらい“VUCA の時代”といわれる昨今。 売上、利益、株主、市場、他社動向等、外部ばかりを気にし、「自分たちが何者で何をしたいのか」という点を見失っていたものの、パーパス経営といわれているように、今一度、 経営の新たな支柱となる定義をする必要に迫られているのではないかと感じている。 “いい会社”の定義が変わってきているのではないか。このような問題意識のなかで、各部会・委員会と の連携も意識しつつ、企業の経営ということを改めて考えていきたい。

こうした問題意識から、企業経営の在り方について考えるべく様々なゲストを招聘しこれまで2年間に渡り会を重ねられています。最終回では、未来の代弁者・当事者である学生の声をもとにそれらを紐解いていこうということでお招きいただきました。

当日は学生3名に加え、マイナビ京都支社支社長の中尾哲弥氏もパネリストとして登壇され、データから見受けられる採用動向、生成AIの活用の現状、インターンを受け入れたいが対応のマンパワーがない等企業のリアル、昨今の若者の傾向や、大学キャリアセンターの現状等共有していただきました。

今回のメインは、未来に向けた「いい会社」を議論するうえで欠かせない当事者/未来の代弁者である学生たちが「ホンネ」で想いを伝える時間ということで、就活を終えた2名の学生のリアルとこれから就活を迎える学生の等身大の本音を届けさせていただきました。

前半は、
・就職活動において軸にしていたこと
・学生が考えるええ会社、企業選びのポイント
後半は、
・若者世代は、会社への帰属意識があるのか?

というテーマで会場ともインタラクティブにセッションを行い、あっという間の2時間となりました。あくまでも、N1の声を、3人の等身大の言葉で届ける手触りを大切にしました。


当日の様子:「ええ会社とは?」3人の声

まずは、就活を終えた2人の学生から下記の2つのトピックについて話をしてもらいました。

・就職活動において軸にしていたこと
・学生が考えるええ会社、企業選びのポイント

修士2回就職活動を終えた、Yさんは、都市計画、都市デザインが専門・興味がある分野で、明確なVISIONを提示している会社を軸に就職活動を行ったといいます。

〇Yさん:会社選びのポイント【未来像への共感】
・先行的な取り組みを行っているか、会社の未来像と自分の未来像の重なり度合い
・不動産業界でも、新しく建てる、古いものを残すどちらが良い悪いではなくその背景にある思想を重視し、価値観のすり合わせを行っていたという。
現状に対して【面白い切り口を導き、仮説→検証→・・・を繰り返している】複雑化して見えにくいからこそ、このプロセスが持続的に行われているかを見ているという。
・リアリティ:実際に聞きに行く(社長、現場)リアルな情報を取りに行くことを意識。GLOCALの活動プロジェクトもあり、就活したという感覚はなく、日常の延長線上だったといいます。

続いてMさんは、幼いころに掲げた「人と人、国と国を繋ぐ架け橋になる」という指針のもと、目まぐるしいほど、国内外でも様々な活動を経て、就職活動を行い外資系コンサルに就職が決まりました。

Mさん:会社選びのポイント【感性・感覚・肌感】
雰囲気、同僚の方と実際に接して人間関係を重視する。
・自分のスキルや働きで、会社に還元、ひいては社会に還元できればと考えている。
①ビジネスの感覚(スピード/ストレス/姿勢)プロ意識を観察*3-4社比較②部署の人と一緒に働いて私自身にも刺激が残るか、知的好奇心をかきたてられるか、という2点を特に重視し、会社選びを行ったといいます。

絶賛就活中のインターン生みぞからは、まず仕事や社会人のイメージについて共有されました。

仕事=一般にネガティブ
・満員電車、電車の疲れているサラリーマンを見ていると「ブラックの定義を満たしているのでは?!」と感じる

良いなと思う会社、会社を選ぶ軸は、

かっこをつけない、自身の言葉、等身大の姿で伝える
・問題に向き合い、当事者の声を聴く姿勢、弱さを見せられる 

だそうです。利益をがつがつ求める会社さんより、お客様に良いものを提供する会社。内心、どの会社も企業理念が同じに見える・・・「その企業理念は、マジックワードなのでは?」という疑念もあるのが本音。こうした場も含め、就職採用関係ない場所だからこそ本音で話してもらえる。センシティブなテーマ「離職率が・・・」当事者の声をきいて行動に移していこう!という姿勢そのものが素敵、良いなと思う。

ということでした。

これが、就活を終えたYさん、Mさん、就職活動中みぞの会社選びのポイント、でありGPTの回答やデータと重なるところもあればそうでない個別性も見受けられます。最終的には、どの組織の風土、求める人材が異なるように、就活生学生とひとくくりにするには限界があり、世代としての傾向はあれど最終は、聴き合うことに尽きるなと感じる時間でした。

特に、みぞのいい会社のポイントとして「弱さを見せられる体温や想いを感じる」ということですが、みなさんの会社はいかがでしょうか?

参考:ChatGPTに聴いた「ええ会社」

Q&A:「帰属意識はあるの?」

その後、委員やフロアの皆さんからから感想をいただきました(以下抜粋)

「ずっと勤めようと思いますか?」
「安定か、チャレンジか、そのバランスは?」
「お金の話がでなかったのが印象的、この世代特有ではあるが、儲けないと社会貢献もできない」

質問に回答しながら、ゆるやかに後半のトピック「若者世代は、会社への帰属意識があるのか?」へ。

まず、Yさんに関しては、辞めるというのを前提でお伝えしており会社も合意しているといいます。Mさんも、ずっと勤めたいなーとは思うが、合わなければその時に、"ここ!というところに出会えれば"めっちゃ信頼できる上司、この仕事じゃないと得られないやりがいが持続すれば継続する。一つ加えると、定着も転職もあり得る。コンサルは一般に転職が前提の業界ではあるが、長く務めておられるロールモデルも存在する。就活サイトでも情報は溢れており、メタ的に捉えていたという。読み解き活用するものであり翻弄されるものではないと回答がなされました。

■安定とチャレンジのリアルなバランスについて(データ)

インターン生みぞ@就活中の感想

▼多様性、先の見えない時代
当日。
「なぜ多くの若者は大手志向/安定志向なのか?」という質問に「学生は社会に対して不安なんです。だから大手に行きたくなるんです。」と答えました。学生である私のリアルな想いです。ですが今になって考えると、大人(経営者)も同じように不安なのかもしれない、と思い直し、少し反省の気持ちもあります。

先行きが見えない時代を生きる上で、きっとみんな胸のうちに不安を抱えていると思います。若者は就職段階で「不安だから大手に行く」という人もいますし、「今がチャンスだ」と捉えてベンチャーに行く人もいます。そんな中で、中小企業という選択肢がどうやって食い込んでいけるか? と私なりに考えてみると、「社員がいきいきと楽しそうな企業」「まず自社の魅力づくりから動いていける企業」「自社の弱いところも見せてくれる企業」なんじゃないかと個人的には感じます。

▼学生も企業も大変だ……!
「学生の本分は勉強」とはよく言われることですが、勉学以外の「ガクチカ」なるものを求められることが多いですよね。さらに、就活が始まると、長期休暇でもない普通の平日にインターンがあり(しかも5daysも👀)、授業に出席できないという状況もあります。

「就活の早期化」とも言われている昨今、就活は今後も早期化していくようです。大学のことを「就職予備学校」などと揶揄する風潮もあり、就活のシステムによって「大学で何のために学ぶのか?」という本質を見失いつつあります。ちなみに、学生は1社から内定をもらうために、平均30社を受けるらしいです。(これって普通なんですかね?)

ですが、グローカルセンターでのインターンを通して社会人の方とも対話をしてきた中で、企業側の気持ちも理解できます。

インターンで人柄を見てから採用を決めたい。就職後のギャップを埋めて離職率も減らしたい。ESにはみんな同じようなこと書いてるし、面接の質問も同じ内容の答えが返ってくるし、なかなか見極められない。本音で話せない。だから熱意をもってインターンに来てくれる学生がほしい。新卒採用や研修にかかるコストを考えたら転職もしてほしくない。中小企業なら尚更ですよね。

▼売り手市場……?
売り手市場によって、学生が何個も内定を持つことが容易な状況と言われていますが、これって本当にいいことなのでしょうか?

何個も内定を獲得できるからこそ「どこでもいいからとりあえず内定ほしい……」「もっといい会社(=事業規模が大きく給与も安定している会社)の内定がほしい……」と不安になりやすいんじゃないかと感じています。受験の第二志望(所謂”滑り止め”)と同じで、これから社会に出る学生の不安を煽る構造ができてしまっている気がしています。

「いい会社(=事業規模が大きく給与が安定している会社)じゃないと将来大変になるかもしれない」という風潮であったり、「平均30社受けないと内定は取れないらしい」から「とりあえずESを書かないと……」というように、不安な気持ちを原動力にするのではなく、もっと「こういうことをしたい」というポジティブな気持ちを原動力にしていった方が、進学後/就職後の困難も乗り越えられるような気がします。でも実際、自分の将来が決まってしまうような状況って、不安を感じずにはいられませんよね。

社会って怖くない。

エリートへのレールなんてなくて、結局は自分で進むしかない。エリートへのレールから外れたっていいし、休んだって良い。楽しいことも面白いことも、身の回りにきっとある。……そういう、社会に対するポジティブなメッセージを伝えていける場所がグローカルセンターなのかもしれないなと、最近考えています。社会のポジティブな側面だけを押し付けるわけではなく、社会のリアルを見つめた上で、「じゃあ、あなたはどうしていきたい?」と問いかけてもらえる場所というイメージです。

▼「会社への帰属意識はあるのか?」とは?
当日は「会社への帰属意識はあるのか?」というテーマについてもお話させていただきました。ジョブ型雇用などが進み、転職市場の規模も大きくなっているなか、「帰属意識」という言葉は私にとって捉えにくい概念だなと感じています。学校への帰属意識について考えてみても、私自身は学校への愛校心がめちゃくちゃ強い!というタイプでもないですし……。

そこで、私なりに、なぜ「会社への帰属意識はあるのか?」という問いが生まれたのか想像してみると、離職や転職をしていく人たちに、会社から離れてほしくないという想いがあるからなんじゃないかと考えつきました。

パネルディスカッションでも話題に上がったように、若者と経営者層の「帰属意識」という感覚の乖離はどんどん顕在化しつつあります。離職/転職したとしても、緩やかに縁が続いていくという感覚は、SNS等の情報通信技術の発達やグローバル化によって、どこにいても人と繋がれる感覚から生まれてきたのかもしれませんね。また、一ヶ所にとどまるだけでない、自由な生き方/働き方が受容され始めた風潮も影響があるかもしれません。

そんな中、若者にとっての帰属意識の感覚を知ってもらうことも大切だとは思いますが、「会社への帰属意識はあるのか?」という問いの本質的なメッセージ(=会社から離れてほしくないという想い)を素直に若者に伝えるというのも大切ではないかと感じました。

「うちの会社のことを好きになって!」
「どうやったら若者に好きになってもらえるかな?」

と、シンプルに聞いて聞いてくださった方が、私はそんな企業が好きだなっ
て思いますし、いい会社だなって思います!若者みんなに好きになってもらうというよりも、好きになってほしいと思う若者に、会社を好きになってもらうということだけで、就職段階のミスマッチはぐんと減るのではないかと感じました。

▼”今”と”未来”を見据えて
経済の成長は私たちの生活に豊かさと便利さをもたらしましたが、同時に、環境や社会構造に大きな問題を残しました。この歪みはどんどん大きくなり、もう戻れないところまで来ている、などと言われることもあります。

若者やZ世代と呼ばれる世代は、自分たちが生まれた瞬間から存在している(先人たちが遺した)社会問題を、当事者として見つめています。

「企業が社会のためにアクションを起こすには、まず利益を上げないと……」

もちろん、企業を持続可能にしていくために、利益は必要不可欠です。ですがそれだけではなく、「どうやって社会のためのアクションを起こしながら利益を上げていくか?」「どうやったらそこに共感者をつくって巻き込んでいけるか?」を考えないといけないのではないでしょうか?

”きれいごと”かもしれません。だけど、その”きれいごと”を、どこまで現実に落とし込めるか?という部分が今後の社会のためには必要不可欠ですし、もうそのフェーズまで来ていると私は思います。

変革には痛みを伴うことが往々にしてあります。誰だって、今まで通りの生活をなぞって生きる方が楽ですし、目の前の生活を優先したい(利益を上げて安心したい)と思うでしょう。ですがそれと同時に、「このままじゃだめだ」「変えていかなきゃ」と、潜在的には思っているはずです。

だからこそ、若者と大人が協力して共に未来を見据え、理想のために社会を変えていくことが必要なのだと感じますし、今回いただいた機会はその一歩目であると感じています。まずは素直に対話をするところから。そこから未来のプランを考え、実践していくフェーズまで、学生と社会人がMixされたチームで取り組んでいくことには、非常に大きな意義があると信じています。

当日は対話を通して、自身の「はたらく」についても視点が広がり、考えるきっかけをいただきました。改めまして、貴重な機会をいただき、ありがとうございました。

編集後記)ゆきもと

まずこの世代は、社会に対して不安がある、物価も税金もあがる・・・委員会のみなさん自身が、若者の声を通して、若者世代の靴を履いて彼ら彼女の視点で社会を眺める時間を過ごした意義は大きいと思います。

安定も、チャレンジも。転職も、定着もあり得る。

二項対立ではなく、両方。安定があるからチャレンジができると考える学生達の声、経営者としての合理的な判断や考え、と当事者の観点は矛盾を孕むものもあることを私自身も痛感しながら、信頼関係のもと、それぞれの視点や問題意識、見え方が本当の意味でフラットに場に現れる時間でした。

就職採用の場、既存のシステムでは、学生も企業もなかなか「ホンネ」で話せない。就職採用や利害関係がないからこそ、グローカルとして、お互いが「ホンネ」で話せる場を作っていきたいと考えています。

質疑で印象的だったのは、「お金の話がでなかったのが印象的、この世代特有ではあるが、儲けないと社会貢献もできない」というコメントに対して、「儲けないと社会貢献できないという大人がつくったシステムの弊害や歪が今ここに格差をはじめとする社会問題として顕在化していると感じている。だからこそ、ビジネスモデル自体が社会にどのような影響を与えるかの意思表示が見えるか見えないかは重要。」という学生の回答でした。

この感性捉え方に、西村委員長も共感いただき最後のまとめにも触れてお話いただきました。

「24時間働けますか?」

これがスローガンに時代は確かに存在した。今は、1つのロールモデルではない。また、大手の方が、ロールモデルの背中や情報開示なども相まって、働く手触りがわかりやすい。聞いたことがない会社に関して、共感はあっても「働くか?」までいくとまた難しい。だとすると、いかに日常で、身近な存在として認識する/されるかが重要ではないでしょうか。その際に、数字の面< こういうところは強い、弱いのリアルと、想いがきけたほうが良いというところも印象的でした。

会社が、本音で話すことで、学生も本音になれるのではないでしょうか?

転職後にも縁が続いていく感覚や雇う感覚/雇われる感覚の乖離、などについて言及しながら「未来を変えるために、今、何をしなければならないのか」を深く考えるきっかけとなれば幸いです。学生や私たちも言語化の機会を頂き現在地や大切にしたいことがクリアになりました。

いい会社を考えるにあたり、膨大なデータだけでは読み取れないこともあることを、この3人がサイレントマジョリティーの声も代弁しながらも伝えてくれました。特に、別れ・離職の感覚のちがいが大きいというのが所感で、どちらか、ではなく両方の気持ちをハグしながら、両者の間に立ち対話をし続けたいと思います。

私自身がワンクリックからスタートする就職活動ができずにグローカルの設立に携わった経緯があり就職採用システムに、グローカルという存在で日常に接点をつくり風穴をあけられれば幸いです。選択できることが大切なので、両方あっていいと思います^^

西村委員長、改めて、コーディネーターとしてお声がけいただき、ありがとうございました。


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