イベントレポートvol.22 朝倉祐介さん「自分しかいないという使命感が変革の第一歩」
6月12日(金)、シニフィアン共同代表の朝倉祐介さんにご登壇いただきました。
朝倉さんは、大学卒業後にマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社し、その後は大学在学中に設立したベンチャーに戻り代表に就任。ミクシィ社への売却に伴い同社に入社後、代表取締役兼CEOに就任し、経営再建に取り組み業績の回復を実現し、退任されました。その後、スタンフォード大学客員研究員等を経て、シニフィアンを創業。「未来世代に引き継ぐ産業創出」をテーマに、未上場スタートアップ、新興上場企業に対する経営支援事業や産業金融事業に従事されています。
2019年のグロービス経営大学院の学生カンファレンス”あすか会議”にて、私が朝倉さんの生き方・価値観なるお話を伺い、感銘を受けたことから今回ご登壇をお願いするに至りました。お引き受けいただけるとお返事いただいたときは、とても嬉しかったです。
今回は、ミクシィ社で取り組まれた変革を中心にお話いただきました。
入社当初は、新サービス開発に取り組もうと考えられていたようです。ところが、数か月後に経営会議の事務局・ファシリテーターの指名を受け、会議を見て「これはまずい。」、そういう危機感を抱いたことから、どうにか会社を変えられないか?と動き出されました。
入社して僅か数か月、「外様」であった朝倉さんは、「このままでは、まずいよね。」と議論をあらゆる人に持ちかけます。9割の方には相手にされない中、1割の方が仲間となったところから変革が始まります。仲間とともに経営メンバーへの提案も続け、結果、「朝倉がなんとかしてくれ。」となって代表取締役に就任され、トップとして経営再建をリードし業績回復を実現されました。
と、お伝えしたいことは盛だくさん!なのですが、私が印象に残った5つのポイントを紹介させていただきます。
1.「アントレプレナーシップ」とは
朝倉さんの言うアントレプレナーシップとは、「誰からも頼まれていないのに、成し遂げなければいけないと自ら思い込んでいることを、実現するために率先して動く人」。なかでもポイントは、「誰からも頼まれていないのに」です。ミクシィ社の経営再建も、誰から頼まれたわけでもなく、「このままでは、まずいよね」と自ら声を挙げ、仲間を創り、経営陣への提案を続けるなど行動された朝倉さん。朝倉さんはベンチャー経営もされていたことから、ミクシィ社には技術も人もブランドもある恵まれた環境があるのに、それを活かせていないことに対して「怒り」が沸き上がり、自分がなんとかしなければいけない!と使命感を持ち、周囲に働きかけて変革を起こされたそうです。使命感を持つきっかけは、人それぞれだし、自分が何がなんでも円の中心にいる必要はなく、サポートしたいという人がいるのも大事です。どんなリーダーシップ、フォロワーシップを発揮するかは個人によりますが、自分の心に素直に従って使命感を持つ、ということが重要であるというメッセージを受け取りました。
2.心が動く方を選ぶ
素直に心が動く方を選べばいい、心動くままに動けばいいじゃないか。
頭であれこれ考えるのではなく、自分の心に素直に従う。
1の「誰からも頼まれていないのに」も、ある意味、心に素直に従って動いたから。
組織を変革しようー!とか、そんな大きく堅く考えず、自分がやりたいと思ったらやればいいじゃないかと、自然体のままでいいと思えるメッセージをいただきました。
3.思い切りチャレンジするための、プランB
でも、心が動く方を選べる、思い切りチャレンジできるのは、プランB(代替案)を用意しているから。これです、私が特にお呼びしたかった理由、プランB。逃げ道、とも表現されていました。朝倉さんも、もし失敗しても●●すればいい、●●がある、と別の策を常に握っておく、準備しておくからこそ、チャレンジすることが怖くないとのこと。
「ゆでガエル状態の大企業にいるが、どうすれば変革できるか?」という質問に対しては、「転職しなくてもいいから、転職活動をして、別の道を用意しておくこと」とのこと。失敗してゲームセット、となれば怖くて何もできないけど、自分を雇ってくれるとこはどこかしらあると確認できると失敗しても別に大丈夫だ!と思えると、気にせず動けるからとのことです。
4.期待値を高く持たず、割り切る
自分への期待を高く持たないこと、思っているようにうまくいくことなんてないから。
朝倉さんは、ミクシィ社の社長になった際、最悪の事態を予め想定したうえで、それ以外のことであれば想定の範囲内と考え、経営の舵取りをされたようです。
また、自分が影響を及ぼして他者を変えることについても、期待値を低く持たれていたとのこと。もちろん相手を変えようと言葉を尽くすものの、無理なものは無理で仕方ないと割り切る。でも、それで諦めるのではなく、環境を変えることで目標とする方向へと行かざるを得ない状況をつくり、行動変容を促す、と変化を確実に起こすための策を実行されています。あえて期待値を高く持たずに取り組むことで、自分自身でメンタルコントロールすることの重要性を感じました。
5.言葉を尽くす
社内で仲間を集めていたときも、経営陣への提案のときも、社長として舵取りをするときも、いつも快く思わない人はいた。それらに対して、100%味方に変えられなくとも、言葉を尽くすことをされていたとのことです。「言葉を尽くす」。何度もこの時間の中で出てきたワードですが、まさに丁寧に当時の情景から、それに対してどんな感情を抱かれたのか、ということを言葉を尽くしてお話してくださいました。(幹事一同、ファン度がさらに高まりました。)
と、たくさんの気づきをいただきました。
「プランBを持つ、そのためには徹底的に準備をする、それでチャレンジすればいいじゃないか」、このメッセージを朝倉さんから仲間に伝えていただきたく(私も喝を入れていただきたく)今回企画をしました。
が、それ以上に・・・!
「誰からも頼まれていないのに」、という点、自分に矢印を向けてみると、今の仕事をプロアクティブにできているのか?と少し反省です。今取り組んでいる新規事業(予防医療)のマーケティング担当は私1人で、あとは営業の先輩+社長なので、患者理解を一番にできている自分がもっとプロダクトづくりをリードしないと・・・!と、焦りと同時に勇気もいただきました。
「心が動くままに」も、仕事にあてはめると、ややプレッシャーが強い日々で凹むこともありましたが、「もっと自分が思うままに!でもちゃんとそれを納得してもらうファクトとロジックを用意する」ことを積み重ねようと改めて思った次第でございます。
ちなみに・・・皆さんからいただいた質問に全て答えられてはいなかったため、朝倉さんが過去にお話されていたvoicyなどを紹介させていただきます。
●「シニフィアン」という社名の由来
https://voicy.jp/channel/621/82832
●騎手養成学校に進まれた経緯
https://voicy.jp/channel/621/24910
●一流の騎手になる夢に対して、なれなかった後悔などはあるか?
https://diamond.jp/articles/-/109025
おまけに・・・
私がおすすめしたい朝倉さんのvoicy
●「素人が専門領域について語りすぎることの功罪」
https://voicy.jp/channel/621/76578
●「アレオレ」問題と「アレオレじゃない」問題
タイトルからはちょっとそれますが、「自分が戦う土俵を決めることが大事」についてお話されている回。
https://voicy.jp/channel/621/37171
(最後に、読書会として一緒に企画をしてくれた仲間と懇親会)
引き続き、心に「火」をつける企画をお届けします~!
レポーター:北村早紀(変革クラブ幹事、2018期東京校)