「イノベーション・オブ・ライフ」の本の真意について
■まえがき
〇この本は、一昨年亡くなったハーバードビジネススクールで最も人気が高いクリステンセン教授の最後の授業をモチーフにして書かれたものとありますが、経営学を学問としてではなく、人生のための経営学とするためのとても示唆に富む、そしてMBAであれば絶対に読むべき本だと私は断言します。
〇勿論、ご存じのように、クリステンセン教授と言えば、あの銘書である「イノベーションのジレンマ」で、イノベーション理論の第一人者としてご存じの方も多いと思いますので、そのイノベーション理論を理解した上で読まれる方が内容のエピソードは良く理解できますが、その理論は全く知らなくてもMBAなら必ず読むべき本です。
■本論
1.誰のための本なのか?
(1)この本は、ハーバードビジネススクールの卒業生であるMBAに対して人生で最も大切なことを見失わない、人として誤った道を進まないようにして欲しいとして書かれた本だと思います。
(2)ただ、この本はハーバードビジネススクールだけでなく、世界のビジネススクールで経営学を学んでこの社会を、そして世界をよりよくしようと考える人ほど読むべき本だと思います。
2.何のための本なのか?
(1)基本的には経営学を専門に学んだ全ての者、つまりMBAに対して強く、深く警鐘を鳴らしていると私は感じましたし、そのスキルがあるがゆえにそれを立場上、間違って使う可能性が生じ、それによって大切な人生を駄目にしてしまう、まさに本末転倒な人生を送ってしまう人を無くしたいと考えられたのではないかと思います。
(2)勿論、経営学を学んでなくても、今、一生懸命、経営に取組んでいる方、またサラリーマンとして働く者もこの本の中では自分のキャリアとは書いてありますが、Well-beingな人生を送るために読んでおくべき本だと思いますので、MBAでなければ読む意味がないとは決して思いません。
3.この本がなぜ書かれたのか?
(1)この本は、2012年に書かれたもので、丁度その時はクリステンセン教授が、命にかかわる病気でその治療に大変苦しみながら教壇に立たれていた時だとありますので、自分の人生を振り返って、経営学を学んだ多くの優秀な仲間がそして教え子が人としての道を外し、不幸せな人生を歩んでいるのを見て、自分の命がそう長くないことを感じた上で、自分の人生を重ねながら強い意志を持って書かれたと思います。
(2)ですから、まさにこの本はクリステンセン教授の目の前の教え子に対しての「愛」が詰まった本だと私は感じましたので、ハーバードビジネススクールのMBAの方はその「愛」にしっかり正面から向き合ってWell-beingな人生を歩む責務があると感じます。
(3)ただ、この本を読んでいる多くの方が、私のように直接はハーバードビジネススクールと関係がない方でしょうから、責務はないかも知れませんが、クリステンセン教授の「愛」そして、この本を読めばその想いは感じられると思いますので、この本を読んでWell-beingな人生を送っていただきたいと思います。
4.「罪人にならない」とは?
(1)このショッキングな表題は最後の方の第3部ですが、まさにクリステンセン教授は、最悪の場合に陥る道が、誰でも簡単に陥ってしまうこと、特にMBAのスキルがあるが上に陥りやすいロジックを書かれていると感じました。
(2)ですから、MBAであれば余計、自分がそうなり易いと感じられたと思いますし、現に私もそう感じて、遅いかもしれませんが、今からでも家族、そして妻を大切にしなければならないと強く感じました。
(3)私の経験談を少し書けば、現に公務員で40年近く勤めてきましたが、途中で窃盗、賄賂、そして飲酒運転での事故などで辞めざるを得なくなったケースを何回か見てきました。また、残念ですが中央官庁では、過去に一緒に仕事をしていた人が自殺するケースもありました。
(4)人は個人ではとても弱いものです、そして、そのようなことが起きれば本人が不幸だけでなく、周り、そして家族が一番不幸になります。
少なくとも、そのようにならないためにも、MBAだけでなく、それ以外の働く者もこの本を読んでいただけたらと強く願います。
■あとがき
〇多くの方にこの本を読んでいただきたいので、本の内容の個々のケースについて出来るだけネタバレになるような細かい記述はしないようにしました。
ですから、是非、この本を是非手に取っていただき、最初から最後まで全てに目を通していただければと思います。
〇最初に書きましたように、クリステンセン教授は、最後まで教壇に立ちながら、一昨年の2020年1月に他界されました。
勿論、クリステンセン教授のイノベーション理論は素晴らしいので、多くのMBAそして企業経営者が参考にしながら日々の経営に取り入れられていると思いますので、それらの理論を学ぶことにもとても意味はあると思います。
〇しかし、本当に読むべき本はこの「イノベーション・オブ・ライフ」だと私は思いますので、是非、この本を読んでいただき、全ての方が自分の人生をWell-beingな人生だと言えるようにしていただくことを念じてやみません。
最後に、クリステンセン教授のこの本へのお礼と、そのご冥福をお祈りいたしますm(_ _)m
― 以上 ―
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