見出し画像

進学先は東大じゃなかった。私たちは悠仁さまに「謝るべき」か?

12月11日、秋篠宮家の悠仁さまの大学進学先が決まったと第一報が入った。筑波大学の生命環境学群生物学類学科に学校長の推薦を受けて合格が決まったという。
 
ニュースを聞いて失笑したくなるような感覚を覚えつつ、この事実に抱かれる感想など自明のことと思いわざわざ記事を書くまでもないとツイッターで一回つぶやくだけで済ませてしまったのだけど、それから2週間ほどが経ち、「紀子さまは『東大卒の天皇』なんて望んでいなかった」「悠仁さま『東大志望説』はフェイクニュースだった」とあまりにも書かせらせたような擁護記事ばかりが湧いてくるので、いやぁ有象無象のなかで健全な思考体力のある論客がここまで不在(その結果としてまともな思想がトリクルダウンするように循環していかない)な領域ってあるんだと驚嘆しているので、一本だけ書くことにする。 

まずは、偶然目に入ったこんなツイート。

>何が恐ろしいって、高学歴な方々がゴシップ誌を真に受けて批判、しかも誤報発覚にも全く反省せず、誰一人悠仁さまに謝らない

また、こちらは「他に謝れって言ってる人いるかな〜👁‍🗨」とわざわざ検索かけて見にいって見つけたポストなんですが(苦笑)、綺麗なクリーンヒットがあったためご紹介。

> 嘘に基づいた情報を流した人、それに乗った人は謝罪しないといけません。

そしてそこに貼ってあったURLを見に行ってみると、ページの下部コメント欄にはこんな言葉が。

>憶測に乗せられて、バッシングしたり署名活動した人たちは(中略)しっかりと反省して欲しい

国語教育、論証やクリティカルシンキングのトレーニングってほんと大切なんやな……と常に無益無用と否定されがちな、どちらかといえば「文系学部」に属する大学教育の重要性を骨身が染みるのだが、もっと怖いのは、その一般人のツイートと大差ねえぇぇ!!!的なことを大学教授の肩書で垂れ流すメディア論客があまりに多い現実(たしかにこれは文系学部教授サン方であります)。なので、半ば信じられない気持ちを抱えながら、自分の精神衛生上のために、一本だけ書くことにしたよ。

では、なぜ「謝るべき」という言葉が状況に適さないか、論証していきましょう。

こんにちは、「国民の声などどうでもいい進学」✋

今回の進学を一言で言えば、「国民の声などどうでもいい進学」と名付けたい。
 
なぜなら、大きな注目を集めた署名で運動でド正面から批判されたことについて、一点もクリアしない、「鳥の頭だけ付け替えた胴体はそのままの珍進学」だったからである(と、これこそが、あまりに「自明のことだろ」と思ったから、わざわざ文章なんて書くまでもねーよ……って思ってたんだけど……)。

あのですね。少なくとも私は、その署名のタイトル「悠仁様が東大の推薦入試を悪用し、将来の天皇として『特別扱い』で入学されることは、象徴天皇制を根底から揺るがすため反対します)の一行にサインしたのではないんですよ。その主張の内容の論理性に署名したのである。


ではそのロジックとは何かの要旨を20秒で振り返ろう。

A :「皇族が、一般の高校生には持てないような環境の上に成し遂げた成果を個人の実績とし」、
B :「広く優秀な人材を選抜することを役割とする、国を代表する国立大学の“推薦入試”に挑むこと」に対して、

①公平性の観点
②国立大学の意義の観点

から、疑問を呈したのがその署名文だったのですよ。

「A」とは、国立科学博物館の研究報告に収録されている悠仁さまをファーストオーサーとする学術論文は、科博の主幹研究員が共同で執筆したものであることを指し、

「B」とは、国立大学とは貧しくても優秀な学生ならば道が拓ける稀有な場所であり、階層移動を達成するための手段として機能すべき場所に皇族が特権付きのローラーブレードで乗り込み、その結果としてその年そこから「1名」をはじき飛ばしていいのか?それが国立大学のすべきことか?という疑問である。

そして、そういう行為をする皇族を、国民が「将来の天皇」として敬愛するだろうか?という話。20秒は少しオーバーしましたが、そんな主張でしたね。そして、それらの主張は、「東京大学」が「筑波大学」に変わっても、一つも破綻しないのですよ(シンプルに言えば、「東大」を「名門国立大学」と、一括置換しても、文章の大筋の論理構成自体はなんら崩れないという事)。

署名文はあちこちのメディアで取り上げられたこともあって話題になり、変な勢力と結びついていないか当局が密かに調べたらしいが(調べた上にただの草の根活動だと判明して終わったらしいが)、宮内庁に直接質問をした週刊誌もあったことから、当然情報収集の一環としてそこに書かれていた内容については、秋篠宮家と皇嗣職は当然把握し、話し合っていたことだろう。

そう、これは「そういう批判が上がる可能性に気づかなかった進学」ではなく、その声が見過ごせないほど大きなものであることを理解した上でなお、東京大学に準ずる名門国立大学である筑波大学を選ばれたという事(他候補として上がった東京農業大学や玉川大学、あるいは早慶上智、東京理科大という東京に数多ある私学にすることはなく)。

だからやっぱり、「知るか、そんな事進学👎」と名付けられても、仕方ないのではないかしら?

秋篠宮殿下 59歳のお誕生日記者会見映像から

人は何を言っているかではない、何をやっているかがすべてなのだから。

皮肉にも署名文の優秀さが際立つ結果となった

ところで、軒並みメディアは「誹謗中傷を含む」と総括するその署名文であるが、進学先が確定した後の現実の反響は、実はその署名文がいかに優れていたものであったかを再認識させるものであった。

その署名が行われた夏の間は、すべては「仮定」「想定」の上の話であったわけだが、合格が現実のものとして報じられた後にSNSやヤフーニュース上のコメントで巻き起こった現実の反響の声はその署名文で提起された論点の潰し方がいかに完璧に近いものであったか、皮肉にも際立たせることとなったからである。

覚えているだろうか?その署名文は、長い論証の末に「だからこういうアクションを取らせていただく」とし、①「筑波大学附属高等学校の学校長」、②「東京大学の総長」と二つの教育機関に宛て、前者には「内申書・推薦書類の作成に当たって公正を期すこと」、後者には、そのような時には「悠仁親王が将来天皇となられるお方だということへの顧慮は一切抜きに、飽くまでも公平公正に選抜することを要望します」と記していたことを。

皇嗣職大夫は、会見で当初は一般入試を目指していたが、悠仁さまの高校の成績はAランク(評定平均が4.3〜5.0)であり、推薦基準を満たしていたことから推薦入学に切り替えられたと説明し、それに対して「筑附でAランクなら東大一般入試で合格するのになんでわざわざ憶測を呼ぶ推薦にするんだよ w」「その成績だって……お手盛りでしょ」という声がネットではあがったが、それを見て、送り出す側(高校側)が持つ事になる責任に対してもその署名文がいかにプロアクティブに論点を潰していたことに改めて感心してしまった。「学内の成績」なんていくらでもよしなにできるのでは?と思う人がいる一方で、「学内の成績」は日頃努力してきたことの結果なのだから、という擁護派の砦にもなり、そこは意見を割る一つの争点となっていたからだ。

いやはや、多少の瑕疵はあったとは言え、あの文章の(主たる)論理構成を作った知性は、日本の「皇室ジャーナリスト」「皇室評論家先生」の3段は上にいる(高森先生はのぞく)。

ところで、公表後の世間の反応は、夏から事の成り行きを注視してきた勢にとっては面白いものだった。

推薦の“根拠”の精査をせずとも──世間はもっとシンプルなロジックでも紛糾した

20秒で要約するためには弾いたが、東大推薦反対署名で主張された内容は、先ほど挙げた、「公平性・国立大学の意義」以外にも、実は最重要な提起が含まれていた。論証の最重要な箇所は「公平性」のサブ要素である、「実績とされるであろう学術論文の真価」に対する徹底的な反証であり、つまり、「学術誌に収録されてるからって、学術的な価値があるとはまったく言えませんから、そこんとこちゃんと見てくださいね、研究倫理に抵触する箇所も含めて」と論破しているわけで、それこそがオリジナル署名文の最も読み応えがある箇所であるのだが、もはや、誰もそんな高度な(複雑な)論証を必要としていなかった(苦笑)。

そう、もはや誰も論文が共著であること(やその他諸々指摘された点)にちてなんて、誰も言及していないのである。「世論」はそれよりはるかに単純化されたロジックで「皇族が推薦で……国立大?!」と紛糾していた。

踏んではいけないのは「東大×推薦」に限らず。推薦と国立だったという大衆的な国民感情の骨格が、そこには浮かび上がって見えた。

だーかーらー、意識高い人たちのプロアクティブな行動が何を言っているのかをしっかり聞いておけばよかったのさ……。聞くって言いなりになるってことじゃないよ。ちゃんと、傾聴・・しておけばよかったって事。

秋篠宮家からは、「それがお門違いの推論じゃなかった根拠」がめでたくも公表された

ちなみに、進路発表後、「東大の『と』の字も聞いたことがない」「12年かけて作られた物語」「紀子さまは東大卒の天皇なんて望んでなかった」的な、要は紀子さんにはそんな意図はなかったウェブ記事がせっせと量産させる傍ら、紀子さんの代弁者である皇嗣職大夫(正式なスポークスマン)は、定例記者会見という公の場で、「悠仁さまの成績がAランクであった」と強調したのだが、そのことは、皮肉にも東大進学説が、根拠のない妄想でも、論理の飛躍が甚だしい「思い込み」でもなかったことを間接的に示す形になった。

筑附は毎年30人ほどが東大に進学する進学校である。そこのAランクの成績を収めている高校生(つまり筑附のトップ層)が、自宅から通える日本一の大学を志すというのは、何らおかしい発想ではない。寄付金の金額の突然の高騰や、農学部限定の推薦入試要項の独特な記述など裏の裏など何も見なくとも──東京に住み、東大を目指せる学力を持ち、私学に限らず国立大学も視野に入れた進路検討をしていて、「なぜ」東大だけはアウトオブ眼中なのか? 上記情報が全て事実ならば、東大も当然検討したと考えるのが自然だろう。そして、幼稚園からずっと推薦入学の枠を使い進学をしてきた経緯から、東大へも推薦・・入学で行かれるのでは?と、それは事実無根な憶測でしょうか?


実際に、推薦入試を使って、東大に準ずる名門国立大学へ進学したではないですか。もはやないですか笑と一文字つけたいくらいだよ。


でも、まあ、何はともあれ決まったものは決まったのである。選抜はすでに終わり、倍率3倍だったという筑波大の推薦入試はすでに終わった。そこに敬意を抱くかは別として、実り多い大学生活を祈念したいとは思う。



そして今年の受験生の皆さんが、ベストを尽くした結果になることも。


受験はやっぱり、その後数年の間どんな舞台を生きられるかを決める、大切な瞬間だから。


╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
書き続けるためにしてもらうと嬉しいこと3選✍️

超重要:画面左下の「♡」をタップ
(noteのアカウントがなくても、どなたでも押せます。ひとつのハートは、実は押す側が思う100倍励みになります!)

②SNS/noteなどでの記事紹介・拡散で応援
URLをシェアしていただく度に、文章が新しい読者の方に出会える可能性が広がります。一言でも自分のコメントをつけてもらえると…さらに嬉しさ倍増。

③サポートで応援
下記の「チップで応援する」ボタンをクリックすると、100円〜任意の金額を送ることができます。心の動いた総量に応じてお支払い金額を決めていただけますよう。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋



いいなと思ったら応援しよう!

@Globe🌏蓮実 里菜
広く読んでいただくために、無料公開してます。記事売りせずの公開を続けるために、ぜひ後払いの入館料ならぬ鑑賞料をチャリーンと置いていただけると嬉しいです♡