栄養でもカロリーでもなく食事をするなかで大事に思うこと
profile:おうち+まゆこ
楽しい暮らしであることを大切に10歳と7歳の娘のふたりを子育て中。おうちのごはんはこころとからだを作る基礎。どこのおうちにもある材料で毎日作れる無添加のごはん作りをこころがけています。練馬区の認可保育園でごはん作り担当。おうちの無添加料理研究家。こころをケアするアートセラピストの資格取得。料理教室・台所整理のススメの【暮らしのねっこ】
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食事をするなかで大事なこと
食事に対しては、こどものころから口に合わないものは食べたくないという並み以上のこだわりがあるうるさい子でした。高校時代はとにかくおなかが空いて間食に学校の傍のお店で友達と帰宅の電車を待つ間に、軽食やラーメンなどを間食にすることは日常茶飯事で、ハタチ前後はとにかくダイエットに夢中。昼の外食はサラダ、夜もお雑炊で済ませることが多くありました。そんなわたしにも我が子ができて親になってからは、生活の中の食事の位置を見直すことになりました。
子供時代から妊娠前までは食事のなかで大事だったことは『カロリー』であり、『美味しさ』で、食事はおなかとこころを満たしてくれる存在でした。
妊娠をし、こどもを育てる側になってからの食事は、身体や脳を構築していく要素としての側面を強く意識するようになりました。カロリーというよりは、その食材がどこでどうやってできてきたか気になるし、装飾的な美味しいだけではなく、安全性の高さや、身体に沁みわたり、記憶に残る、本当の美味しさを大事にするようになりました。
誤解を恐れずに書いてみると、今では食事は栄養でもカロリーでもない部分こそが大切だと感じていて、実際のところもそうであることが真実だと信じています。(そういう訳で、取得するのがベストだとは思いつつ、食事系の資格には全く意義を感じず興味が持てずにいます)季節感と絡まって五感を刺激する情緒的な要素であったり、いつ誰とどんな気持ちで食べたかという食事以外のことと絡まった深い記憶だったり、風土と密着してこころとからだを育ててくれるもの。そういうものが食事の大切な部分であり、今日まで祖先が綿々と繋げてきてくれた食の本質なのだと思っています。
暮らしのねっことしての食事
エネルギー、栄養的な要素からの恩恵は、目に見える身体の大きさ、作りなどは植物でいえば茎や葉や花や実の部分が立派に育つことなのだと思います。わたしの大事にしている食事は、普段は目に見えない土中のねっこの部分のような、『自分』の土台になる部分を育てるもの。しっかりとした実をつけるためには、ねっこをしっかり築くこと。持って生まれたものを大きく実らせるための要素は教育であったり環境であったりと色々ありますが、その中のひとつであって、土台となる部分を育んでくれるものが、日々の食事なのだと考えています。
(週末の外食で。疲労がぬけないので疲れに効く牡蠣フライと春の苦みの筍をいただきました!)
人生の土台のねっこを築くための大きな要素の一つとして、『ちゃんとした食事』を摂ることが欠かせません。『ちゃんとした食事』を摂ろうとすることは、自分のいのち、家族のいのちときちんと向き合う姿勢に直結するような気がします。
女性の活躍が期待される社会で、忙しく生活をしている方がいらっしゃいます。仕事場で持てる能力を出し切って帰宅すると、あとのことはスマートに済ませ、また明日の仕事に臨むという生活を送られている方が多いのではないかと想像しています。わたしもそうした中のひとりであって、帰ってくると、もうクタクタに疲れていて。習い事の送迎や次の日の学校の支度や自習の面倒をみることと並行しながら食事の支度、食後はこどもと遊んで、お風呂に入れて眠る支度をして…と続きますが、体力的には帰宅後は本当はすぐにでも休みたい気分のことも多いです。
そんな中でも特にキャリアウーマンの多い都心の産婦人科では、妊娠出産にまつわる不調で本当に大変な思いをされる方が多くて、食生活を聞けばほとんどデタラメなのだそうです。妊娠を期に助産師さんから食生活や身体のことにまつわるアドバイスを受けられるというセーフティーネットにひっかかって、やっと子育てをしていける食生活の基盤を手に入れられるのだとか。アドバイスをうけながら食生活で身体の変わっていくのをはっきり実感できるものだから、妊娠出産は食生活を変えるとても貴重なチャンスといえます。と、同時に、やはり食をおろそかにしていては、妊娠出産という明確な命のリレーを繋げていくことがとても困難であるということもこのことから単純に理解することができて、やはり食がないがしろにされがちな現代の生活については大問題だと感じます。
(無茶茶園の無農薬甘夏。黙々と皮を剥くのがはまります)
無理をしない、シンプルなことを毎日続ける
さて、だいじなのはここから。せっかく覚えた食生活の基本は、スポットで良いものを食べることではなく、家庭料理の中で長く続けていくことが一番大事です。インスタ映えする料理である必要は全くなく、恥じる必要もありません。家族と自分に向けた簡易でシンプルで身体とこころを調えてくれる食事がなによりです。続けるにも生活にも、こころのゆとりが一番。無理をしないシンプルな食事のスタイルを作れたら良いと思います。
これまでの記事で書いてきた、質のよい塩、きちんとした製法の油を選ぶこと、化学添加物類を省くこと。ざっくりとこのあたりのことだけ日々向き合い続けると、身体が整いはじめ、感性が磨かれていく感覚を感じることができます。日々の生活に必要なのは華やかさではなくて健康の維持に必要な食事です。有名な話ですが土井善晴氏は、日々きちんと料理なんてできないと嘆く方があまりにも多いことに驚いて、お味噌汁、ごはん、つけものの一汁一菜で十分。と仰っていますよね。
基本的な良い食事を続けていると、便利な食に慣れた大人の舌、脳でもはっきり反応します。こどもの場合はさらに鋭敏にキャッチするでしょう。
きちんとした食材は少し高価ですが、うちではからだを整える医療費、脳や感性を調える教育費としての必要経費だと思っています。見えない効果があるだけでなくて、特別な技術がなくても美味しくしあがるので簡単に料理をすることにもつながっています。
ときどき思い起こして継続の力になるきっかけになれたら嬉しく思います。自戒も込めて。
おうち+まゆこ
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