体制転換期の経済構造の変化(2)

3)産業構造
産業構造も大きな変化を遂げた。 計画経済が崩壊した1989年時点では、全産業に対する第一次、第二次産業就労者の割り合が60%を越えており、サービス業は未発達であった 。しかし、10年後の1999年には、第一次産業27.5%、第2次産業27.8%、第3次産業44.9% という大きな変化を遂げている 。

また、全就業人口に対する鉱工業部門就労者のシェアは、1989年の29%から2000年の20.7%へ減少。農業部門では、就業者減少幅は小さかったが、EU加盟を果たす2004年頃にはやや上昇傾向あり、農業従事者は全就業者人口28.4%に達した。しかし、創出GDPは3%足らずと低く、経済・社会構造のアキレス腱であった。

このほか、工業生産における外資系企業のシェア増加、工業生産における消費財産業、重工業・化学工業の衰退も構造的変化としてあげられる。

弱体化する第2次産業に対し、第3次産業の発展は顕著で、商業部門の就業人口は89年の8.7%から2000年の13.7%へ増加。対GDPでは、1992年の13.1%から2000年の18.3%へ増加している。

ポーランド産業界は体制移行開始以後、国家による明確な政策や十分な支援・保護が存在しないまま発展したため、不均衡な新構造が形成された。共産主義時代は国家主要産業であった造船・製鉄・石炭セクターが大きく後退。これに対し、自動車セクターを筆頭とする西側資本のメーカーがポーランドに生産工場を相次いで建設・操業しているが、こうした外資系企業が依存度も徐々に強まっていった。

EU加盟後により欧州経済圏内のカネ・モノ・ヒトの移動が自由化したことから、それまで主流であった製造業分野にも、欧米企業のバックオフィス、コールセンター、研究開発機関など新規分野の投資も急速に伸び、経済成長を後押しする要因となった。


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