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[解説と設問を発表]生成AIが学術論文に「進出」【英語で学ぶ大人の社会科】第82回 8/4(日)20時@オンライン

生成AIが科学出版を変える。人工知能と人間の知性の関係性について英語で議論。


2024年8月前半の「英語で学ぶ大人の社会科:世界の知性が語る現代社会」のワークショップのお知らせです。2024年8月4日(日)夜20時@オンラインで開催するワークショップは、Scientific Americanに掲載された論考「AIチャットボットが科学出版を侵食」を使い、人工知能と学術研究・社会の関係性について英語で議論します。このワークショップの解説と設問を発表します。

【ワークショップ】

最近の調査分析によれば、2023年に出版された科学論文の1%が、生成AIの潜在的な関与の兆候を示している」とScientific Americanの論考記事「AI Chatbots Have Thoroughly Infiltrated Scientific Publishing」の副題は伝えています。論考の冒頭で、記事の著者は「(一部の)研究者はChatGPTや他の人工知能チャットボットを悪用して科学文献を作成している」と非難しています。

記事にリンクが貼られていた、この問題を指摘した研究者のXの投稿によれば、科学出版の大手Elsevier社から発表された論文の序文が“certainly, here is a possible introduction for your topic”「承知いたしました。これがあなたのトピックの可能な紹介の方法でしょう」と、著者の質問に対する生成AIの回答をそのままコピーしたと思われる文章で論文が始まっていることが言及されていました。

このポストを投稿した研究者は「共著者、編集長、査読者、植字者の誰も気づかなかったのはなぜ?通常の査読でこんなことが起こるのか?他の部分も生成AIが執筆したのでは?」と、その衝撃を語っていました。通常、学術論文が出版されるまで、実に多くの人が元の原稿に目を通し、何度も修正を入れるのが普通なので、この状況に危機感を持った人は少なくないと思います。

日本経済新聞もこのような状況を記事にしています。

ChatGPTの口癖、私に伝染 単語「delve」論文で急増 テクノ新世 もっと人間らしく(4) - 日本経済新聞

この記事は有料記事ですが、記事を紹介するXの投稿は、「delve」=「詳しく調べる」の意味で、2022年11月のChatGPT公開を機に、翌年には出現頻度が4倍以上に増えており、AIが言語や文化を塗り換えつつあるのでは、と懸念を表明しています。

定型のビジネス文書を作成するなら、生成AIは大変便利です。しかし、これが学生に考えさえることを目的とした履修科目のライティングの課題や大学の論文となると話は別です。

8 of the Best AI Writing Tools to Help You Work Smarter, Not Harder

確かに論文を執筆することは、研究者にとっても大変な作業ですが、その分野の専門家である彼らが生成AIに頼っている現状は、学術界にとって由々しき事態であると言えます。

あなたは、この問題についてどう思いますか?このテーマについて、ご関心のある皆様の参加をお待ちしています。このワークショップの詳細は以下のとおりです。教材として、以下の英語論説記事を利用します。

日時: 2024年8月4日(日)20時~21時30分

場所: オンライン
定員: 10名程度まで
費用: 見学のみ: 500円、初回参加者:800円~

【教材】

AI Chatbots Have Thoroughly Infiltrated Scientific Publishing

チケットの申し込みは以下のYahooチケットサイトから、または銀行振り込みでお願いします。

【チケット】

生成AIが学術論文に「進出」【英語で学ぶ大人の社会科】第82回 8/4(日)20時@オンライン

【銀行振込での申し込み】

振込用紙は以下のサイトからダウンロードお願いいたします。

このワークショップの設問は参加申し込み者、サロン会員、有料ニュースレター購読者及び後日発表するnote記事購入者にのみ送付します。過去のワークショップと同様の設問を設定しますので、以下のマガジンの2020年4&5月の記事(設問を公開しています)を参考にしてください。

【英語で学ぶ大人の社会科】世界の知性が語る現代社会

【解説】

1900年代以降、欧米の学術界では“publish or perish"(出版するか、消滅するか)という言葉が時代を象徴するキーワードになっています。しかし、この言葉の起源は意外に古く1932年ともいわれています。研究者は研究をし、その成果物をいち早く出版しなければならない。そうでなければ、「終身在職権の獲得、研究資金の確保、研究者としてのキャリアアップ」は困難になり、学術界での地位は危ういものになるだろうという意味です。

以下のブログ記事でも書いたのですが、欧米のトップ大学は研究者も学生も大変な競争とストレスに晒されていて、教員は自分の研究が第一にならざるを得ない現実があります。アジアからの学生は、大学での「教育」を期待する人が多く、そのギャップに苦しんでいた人は少なくないのだという感想を持ったものです。

大学の役割:研究機関 vs 教育機関|Global Agenda

以下のエディテージ社の記事にもあるように、この文化には研究とイノベーションを促進するという側面もあるものの、その弊害も指摘されています。出版へのプレッシャーが研究者に剽窃やデータ操作など「非倫理的行為」をさせる危険性であり、複数の研究者はその行為の代償を払う形となりました。

Publish or Perish-アカデミアにおける学術出版の重要性を理解する

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