NYビジネス・スタイル -パーティー編-:『QUA』寄稿
※本記事は『QUA』に掲載された日野江都子の寄稿記事からの転載です。
いよいよ10月下旬からはホリデーシーズン。パーティーやレセプションなど、ドレスアップして出掛ける機会が多くなります。日本では非常にあいまいなドレスコードも、アメリカではかなり細かく分かれています。その場のルールを知り、ふさわしい装いでパーティーに参加できるよう、今回はアメリカのパーティー・ドレスコードについて解説します。
招待状の解読とリサーチが成功の秘訣
まず、アメリカではパーティーの招待状に必ずドレスコードが記載されています。「カジュアル」「ブラックタイ」といった分かりやすい記述もあれば、中には「クリエイティブ・ブラックタイ」や「フェスティブ」のような、どう解釈したらいいのか迷ってしまうようなものもあり、判断に困るでしょう。
受け取った招待状に書いてあるドレスコードの明確な基準が分からない場合は、リサーチをすること。例えば、会場はどのような所なのか、日程は平日なのか週末なのか、主催するのはどのような団体なのか、参加するのはどういう人たちなのかを調べます。前年度のパーティーの様子が分かる写真をチェックしたり、以前参加した人に聞くのも有効です。ただし、人に聞く場合はそのような場に出席し慣れている人に。それでも人それぞれ受け取り方が違い、主観が入るとして、参考程度に考えましょう。
リサーチをしてもまだ不安な場合は、自分が思っているレベルより「少しだけ上級の装い」をして行くことをおすすめします。ドレスコードがあるということは、演出されたその場の空気になじむことが大切。自分で「これくらいかな」と思ったところよりも少しフォーマル寄りのスタイルを選ぶことで、自信を持って場を楽しむことができるのです。
華やかなタイで昼から夜へ タキシードも重宝
男性の場合、「カクテルレセプション」ぐらいまでであればエレガントなダークスーツがふさわしいでしょう。ただ、日中着ている地味なグレーのビジネススーツでは、パーティー会場の中では沈んで無粋な感じになります。そこで、当日は上質な生地にツヤのあるダークスーツを選び、華やかなネクタイに替えることで、装いをグレードアップさせます。
アメリカに長く住み、正装イベントに出席する立場の方は、一着はタキシードを持つことをおすすめします。タキシードは基本的に流行によってスタイルが大きく変化するものではありません。望ましいのは自分の体型に合ったものを用意すること。アメリカではデザイナーもののタキシードも多くあり、シルエットもきれいですので、敢えて仕立てずとも十分なタキシードが手に入ります。たいていのブランドでは、その場でお直しもしてくれますので、購入時に既製品を微調整し、自分の体型にカスタマイズするのが良いでしょう。
ベストな1着を持ちたい リトル・ブラック・ドレス
女性の場合は、「リトル・ブラック・ドレス」が重宝します。ミニマムなデザインの、黒の膝丈ワンピースのことで、黒がスタンダードのニューヨークでは必須アイテムですね。格式の最も高いパーティーで着るのはイブニング、ソワレと呼ばれるフルレングスのドレスですが、日本の方がこれを着る特別な機会はそれほど多くありません。一方、リトル・ブラック・ドレスならカクテルレベルまで「可」ですので、着用頻度はぐっと高まります。ジュエリーによるアレンジでさまざまな場面にも対応できます。シンプルで自分の肌が美しく映える生地、スタイルが良く見えるデザインやシルエットの一着を選び出しましょう。
また、海外では着物ほど良いパーティーアタイアはありません。日本人ならではの美しさと個性も表現できますし、とても注目を浴びること間違いありません。
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パーティーに出席する人はその環境の一部、つまりパーティーの雰囲気作りの一部を担うことになります。招待状にあるドレスコードをうまく読み解き、周りの人も自分もその場を楽しめる装いをしたいものですね。
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