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『PAUL SIMON the life』      ポール・サイモン音楽と人生を語る

ロバート・ヒルバーン著 奥田祐士訳 DU BOOKS

あまり出来の良くない高校生の頃、授業が終わった後、商店街の狭い階段を上がった2階の喫茶店に友人と3人でほぼ毎日たむろしていた。生意気にタバコなど吸ってジュークボックスの音楽を聴いていた。その時に初めてSimon&Garfunkelの「明日に架ける橋」を聴いて、僕は身体が震えた。いや、比喩じゃなくて本当に。それ以来、新聞配達をしながら下宿生活をしていた僕は、安いレコード・プレイヤーとヘッドフォンを買って、S&GのLP も中古を探して一人毎日聴いていた。スピーカーや高級なアンプなどは到底買うことはできなかった。

そしてこれも安いフォークギターを手に入れて、かの友人とバンドを組んだけれど、S&Gのコピーとまではいかず、井上陽水やNSP(知ってるかな、ニュー・サディスティック・ピンクという3人組のバンド)なんかを歌っていた。そして今やSONYの高音質WALKMANとワイヤレス・イヤホンでやっぱりS&Gを聴いている。1964年の「水曜の朝、午前3時」から70年の「明日の架ける橋」までのアルバムは数えきれないぐらい何度も聴いた。

就職してからウェス・モンゴメリーとビル・エヴァンスを中心にJAZZを聴き、グレン・グールドの「ゴルドベルグ変奏曲」にのめり込み、クラシック音楽を聴き漁ったが、S&Gだけは忘れずに時々、昭和40年代の青春の引き出しから取り出して聴いていた。

この本の内容?そんなものどうだっていい。600ページを超えるポール・サイモンがたぶん熱く語っただろうこの本を前に彼のソロ・アルバムでは一番好きな「The Paul Simon Songbook」を聴きながらこんな想い出を入力しているのがいいんだ。


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