「蜜のあはれ」「われはうたえどもやぶれかぶれ」 室生犀星
2016年2月 第30刷 講談社文芸文庫
「蜜のあはれ」は金魚の赤子役の二階堂ふみと年老いた作家役の大杉漣のキャストで映画化され、それを観てこの本を手に取った。”遠くで消滅するキラめく光芒”のような生命。毎朝、人間の女の子になって「おじさま」と戯れる赤い金魚。このまるでメルヘンのような物悲しい物語に魅入られる「おじさま」は少なくないのではかなろうか。
室生犀星がこの物語を生む、恐らくキッカケとなったフランス映画の『赤い風船』(Le Ballon Rouge)もメルヘンのようで少し物悲しい。