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【広報担当者向け】社内広報誌の戦略 「編集の大方針編」

今日は企業の広報担当者向けのnoteになります。
特にインナー広報を担当されている方に向けて書いていきたいと思います。

結論から書くと、社内広報誌の編集の大方針は2つしかありません。
OnlyかFirstか、これだけです。

この点について僕なりの解説をしていきたいと思います。
ご興味ある方は是非お付き合いください。


早速ですが、皆さんの社内報広報誌は読まれています?
社内向けのWEBメディア(以下、総称として社内広報誌と記述します)は閲覧されていますか?

昨年にこんなnoteを書いた時も冒頭で「皆さんの社内広報誌は社員の方に読まれていますか?」と投げかけています。読まれていないには理由があります。前回のnoteでは読まれる媒体にするためには「ターゲット設定」をすることが大事であると書かせていただきました。


今回はそこから少し進んで「編集方針」について考えてみたいと思います。まだ読まれていない方は是非読んでみてください。皆さんの企業にも自社メディアの「編集方針」というものがあると思います。例えばこんな感じです。

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これはかなり簡略したもですが、編集方針をしっかりと定めている企業もあれば、何となくで制作をされている企業もあります。編集方針は社内広報の目的を達成するための「戦略」的な位置づけでもあります。なので、出来れば言語化することをおすすめします。利点はムダに悩むことがなくなるからです。編集方針が決まっていないと判断に余計な迷いが発生します。このテーマは取り入れるべきか否か、この企画の切り口はありか無しか、など毎回判断をする時間がなくなるのです。


さて、編集方針の手前で社内広報誌が社員に読まれていない理由はなんでしょうか?


「忙しくて読んでいる時間が無い」
「仕事中に読んでいると他の人の目が気になる」
「自分には関係ないと思っている」
「現場の仕事に役に立たない」


など、社内広報誌を読まない理由は沢山あります。


もちろん全部当てはまるのですが、根本的な理由はいつも1つです。

読者(社員)にとって価値がないから。


これだけです。
読む価値がないと思っているので読まないのです。つまらないとか、面白くないとの表現を使うと、社内広報誌の性格から大きく外れてしまう恐れがあります。つまり面白くすればいいのか、というとそれはそれで違うわけです。読んでもらうのはあくまで手段であって、目的ではありません。よって、読んで貰わなければ始まらない事実はあるものの、読んで貰うことをゴール(目的)に設定することはおすすめしません。


価値とは何でしょうか?
ビジネスでの価値とは「希少性」になります。世の中にある価値が高いと言われているものは、すべて希少性が高いものばかりです。誰もが持っている物よりも、私しかもっていない物の方に価値があるのです。※当然ですがある程度のマーケットニーズがあり、そのニーズに対して所有している人が少ないことが重要です。


これは社内広報においても同様です。
社内広報誌の媒体価値を上げない限り、安定的な読者を獲得することはできません。媒体価値を上げるには希少性を上げることが必要なことは先ほど申しました。ここでいう希少性とは、コンテンツの希少性になります。つまり、媒体価値を上げようとするには、社内広報誌に掲載されているコンテンツの質を上げる必要があるのです。


編集の大方針先ほどもご紹介した通り、企業が発行する社内広報誌には様々な編集方針があります。ここで伝えたいのは編集方針の手前に、もっと根源的な編集の大方針があるということです。

それが冒頭にご紹介させていただいた2つの大方針です。


OnlyかFirstか。


考えてみれば当たり前なのですが、企業の社内広報誌では原則この2つ以外の編集方針から外れることはないと思います。逆説的な言い方をすれば、どんな編集方針を設定したとしても、この2つの大方針から外れていると価値のある媒体に育つことはありません。

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例えば「First」とはどのような意味でしょうか。

その名の通りなのですが、どこよりも早く情報を提供するという編集方針です。一言で表すと「速報性」です。会社の中で起きた事柄を、一番のステークホルダーである社員に一早く情報を提供することが使命になります。


80年代や90年代位までは何も考えずとも、社内広報誌は速報性が担保されていました。まだ、インターネットが社会のインフラになる前だったので、情報の総量がそもそも少なく、社内広報誌は貴重な情報源でした。仮に1か月前の出来事が掲載されていても情報鮮度が著しく低いという評価にはなりづらい環境がありました。


今は違います。インターネットは社会インフラとして機能しており、個人はスマホでいくらでも情報を入手できる時代になりました。その為、当時と同じ感覚で社内広報誌を作成していると、鮮度の落ちた情報しか掲載されていない魅力のないものになってしまいます。


僕はよく
「3か月前の朝刊が今日届いて読みますか?」
とセミナーなどに説明します。


そんな社内広報誌は今でも多く存在しています。いくらデザインをリニューアルしたところで、情報鮮度の低い媒体が読まれることはありません。紙というメディアを前提にした場合、既に「First」という編集の大方針は選択肢と無くなっていると考えて間違いないと思います。


現在、「First」の編集方針を選択できるのはWEBメディアか、音声メディアに限るかと個人的には考えています。動画は撮りっぱなしでよければOKですが、現実そんな簡単ではないので速報感は薄れるかと思います。WEBメディアもせいぜいプレスリリースのような情報に限ってしまうため、手の込んだ広報をしようとすれば手間はどちらにしてもかかるのです。


●伝達ツールによる特徴と活用状況

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それぞれにメディア特性があるので、自社内に複数のメディアをもっているのであれば、どんな情報をどこのチャンネルで広報するかを決めることをおすすめします。


最近はVoicyなど音声メディアが注目を浴びています。この音声メディアは社内広報ととても相性がいいと僕は見て言います。特に編集せずにライブ感をそのままに発信するのがいいと思っています。一切の編集をいれていない生声の需要はかなりあると思っています。


話しを戻します。
つまり、ほとんどの社内広報誌の編集の大方針は「Only」になります。


皆さんの社内広報誌は「Only」になっていますか?
「Only」とはここにしかない情報ということです。
冒頭でお話した「希少性」です。


情報に手を加えたり、切り口を変えてみたり、何かを付け加えたりすることで、情報の価値を上げることが編集という作業です。社内広報誌の媒体価値を上げるには「ここにしかない情報」が詰まっている必要があるのです。

どこにでもある情報に社員は価値を感じません。プレスリリースを複製したような情報を楽しい思える社員は少数です。ここに社内広報の難しさがあり、そして社内広報の魅力があると思っています。


私たちの調べでは一般的な社内広報誌の発行形態はA4-16Pで年4回の発行です。ページ数で年間わずか68Pしかありません。その68Pを使って社員にどんな情報(メッセージ)を届けたいですか。また、68Pを使ってどんなコミュニケーションを実現したいですか?社内広報誌に何を掲載するかはとても戦略的でクリエイティブな問いなのです。


例えば、新社長の発表する新しい事業計画であれば社内広報誌に掲載される前に、社員に周知する機会はあるはずです。キックオフイベントがあったり、各事業部単位で上から説明がなされたりするはずです。社内広報誌で事業計画を始めて知るというケースに僕はまだ出会ったことがありません。


よく中期経営計画が現場に浸透されていないと悩む広報担当者の方がいます。よくよく聞いてみると、新社長の人柄を社員が全く知らないとか、仕事の哲学、人や組織の価値観、自らのターニングポイントなど、戦略をつくる人のパーソナルな魅力を伝えていないケースは沢山あります。

そして、その事業計画の背景さえ知らず、事業計画の施策と数字だけが上から落ちてくるような広報が多くの企業で無自覚に実施されているのが現実です。


社内広報誌を見直したいというニーズは多いです。
人と組織の関係は新しい時代に入っています。インナーブランディングに注目が集まり、様々な方法で組織の可能性を最大化するための方策が求められています。その中で社内報広報誌はすぐに始められるインナーブランディング施策だと思います。これまでも社内広報誌を発刊している企業であれば、あらためて予算を申請する必要もありません。


今発刊している社内広報誌の媒体価値を上げていけばいいのです。
社員ファーストで、コンテンツファーストな社内広報誌が求められています。


社内広報誌でお困りのことがあればお気軽にご相談ください。

(終わり)

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こんにちは。最後までお読み頂きましてありがとうございます。このnoteは僕のつたない経営や、インナーブランディングを行う中でのつまづきや失敗からの学びです。少しでも何か皆様のお役に立てたら嬉しいです。サポートはより良い会社づくりのための社員に配るお菓子代に使わせていただきます!