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基山瑣末の短編小説

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短編小説をまとめたよ。
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#泥

【短編小説】泥濘に落ちる

【短編小説】泥濘に落ちる

 目覚めるととうに昼を過ぎていた。そういえば私は弥奈のアラームで共に起きていたのであったと気付いた。
 カーテンを開けると、強い日差しが目に染みた。顔をしかめて狭まった視界に、飛び上がっていく鳥が霞んで見えた。
 軽やかに羽ばたきながら空を泳ぐ彼等は楽そうに見えた。増えぬ金、売れぬ本、反比例して堆く積み上がる駄文、恋愛、友人への劣等感、自責、自己嫌悪、その他諸々のシガラミ……私を縛り苛む全てをかな

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