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学び方を自分でデザインする「ノート学」小学校で始まる!
突然ですが、小学校の学びのノートがこうなったらどう思いますか?!
罫線のない白い紙、色や図を使いながら、個人個人がめいっぱい工夫しながら書くノートです。紙面から子どもたちの熱心さ、楽しさが伝わってきますね。
小学校では、先生の板書を書き写すだけのノートが一般的。もちろん、先生方の工夫によって、さまざまなアクティブ・ラーニングのチャレンジがなされているものの、ノートのとり方から教えてくれるところは、ほとんどありません。
私(川村)の高校時代の「書き写し文字びっしりノート」
ノートの在り方を考えてもらうことから
そんな中、「ノートの在り方」から子どもたち自身が考える授業にチャレンジしました。
教科ごとにノートがあるけど、これでよいのか?
B5サイズを使っているが、もっと良い大きさはないのか?
ノートは左上から書く方法が、本当にいいのか?
そんな当たり前のことから考え直し、自分たちで学び方そのものをデザインしていくような内容です。
場所は新宿区立落合第六小学校。4年〜6年生のみなさんに対して、グラグリッドからの声掛けで集まった、ノート学研究所のメンバー総勢8人で行いました。
ではどうしたら、自分たちでノートのとり方から考えられるのでしょうか?
「ノートのとり方を今から変えてみて!」と突然言われても難しいですよね。そこでまずは、これまでのノートの概念を取り払い、「新しいノートの世界」を知ってもらうことからはじめました。
「新しいノートの世界」への誘う3つのポイント
1.既存のノートから解放する
2.見たこともない革新的なノートをたくさん見て真似る
3.授業の中で試行錯誤できるワクワク環境をつくる
ワクワクしたら、あとはやってみる!
体験しながら自分で見つけ出すプロセスになっています。
「やってみる」→「発見する」→「自分ルールをつくる」
実際に、9月から1月の間、学校をあげて授業の中で実践的にノートを試行錯誤してもらうことになっています。
では、今回の授業「新しいノートの世界」へ誘う授業、具体的に見ていきましょう。
ノートの概念をぶっこわせ!
「1.既存ノートから解放する」を行うために、まずは、徹底的にノートの思い込みを払拭していきます。見たことのない大きな真っ白なノートで自由にらくがきすることから始めます。
ノート学なのに模造紙?と、はてなを浮かべつつ紙を折っていく子どもたち
「きちんと書く」から抜け出し、思い切って線を書いていく
机いっぱいに思い切り書いてもいい。
授業の内容に関係するなら、らくがきだって書いてもいい。
どこから書いても、どのくらい書いてもいい。
模造紙を使用した大きなノートと、ゲーム的な書き出しクイズを行いながら、「ノートってこんなもの」という思い込みから抜け出して行きました。
いろんな方法を試してみよう!
子どもたちの心に火がついたところで、さまざまなノートの書き方、おもしろノート、ノートの工夫を伝授します。ノート学研究所のメンバーが、これまでの経験で培った知見を、持ち寄りました。
たくさんあるので、子どもたちの反応をみながら、いくつかをピックアップして実際にやってみます。
社会・理科・国語に道徳に、授業に見立てて実際に書いてみます。
革新的なノートを見てみよう!
「このノートすげ〜!!!」「これやってみたい!」と、各々にお気に入りのノートにくいつく子どもたち。手に持っているのは、第一線で活躍しているビジュアルファシリテーターやデザイナーのノートです。
2番目のポイントである「見たこともない革新的なノートをたくさん見て真似る」のために、8人の大人たちが、実際に使っているノートを持参。一つひとつ解説しました。
普段、目にすることのないノート、書き方、ページ使いや色使い。やってみたくてウズウズしている様子。
感想の書き方から、どんどん変わっていきます。
学び方がつまったノートの大展示会「ノートグランプリ」を開催予定!
そして、最後のポイント。「3.授業の中で試行錯誤できるワクワク環境をつくる」のために、目標を設定しました。
1月に、自慢のノートを見せ合い、互いの工夫から学び合う「ノートグランプリ」を開催します!まさに学会のようなイベントです。
「やってみる」→「発見する」→「自分ルールをつくる」
自分なりにチャレンジしながら、見つけた自分だけの成果を「ノート」現物で展示します。そして、子どもたちが互いに良いところを盗み、学び合う場にしていく予定です。
全ての教科に影響する「学び方」だからこそ。
授業終了後の先生方とのふりかえりを行いました。
子どもたちはこの「ノート学」を求めていたのだと感じた。
本当に子どもたちが活き活きしていた。
ノート学は、すべての教科に共通する考え方だ。
子どもたちの学びとる力のすごさに気づいた。
飛躍する子どもたちに対し、教員の気づく力も必要になってくる。
サポートしてくださった先生方も子どもたちの様子を見て可能性をみつけるとともに、自分たちの教育姿勢にも刺激を受けていたように見えました。
メモのとり方。考え方。ノートで行うことは、全ての教科で共通することです。これからたくさんの学びをする子どもたちにとって、この「ノート学」が与える影響は大きなものになるのかもしれません。
さて、1月までの4ヶ月間。子どもたちはどのような試行錯誤をして、どのようなノートを発明してくれるでしょうか?
次のノート学が、学びあい議論をする場となることを期待しています。
(川村・三澤)
ノート学研究所のメンバーを紹介します
(第一回ノート学授業で先生となって、教材づくりから参画したみなさん)
・みさわさん(ノート博士)
・おなつ(ノート探求者 オノくん)
・おがしん(ノート学研究員)
・せきこ(ノート学研究員)
・友紀(ノート好きおばちゃん)
・わなみん(ノートこだわりっこ)
・かなこさん(ネコノートおねえちゃん)
・1000円(ノート学研究員見習い)
・けんちゃん(ノート学立会人 兼 フォトグラファー)
見学者
・わだちゃん(ノート学研究所 前企画官)