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ジュニアアスリートメディカルサポート通信Vo.9 〜ジュニアアスリートにとって筋力トレーニングを開始するべきタイミング〜 

ジュニアアスリートメディカルサポート代表の宮田大揮です。我々は、小中学生のアスリートをサポートして5年ほどが経ちました。2024年7月から、クローズされていたサポート体制をウェブ上にオープンしました。具体的には、医学の力をジュニアアスリートの能力を最大限引き出すためにフルコミットする形で使っていこうというのがコンセプトで、アジアから世界に誇れる選手を様々なスポーツで輩出することを目的としています。

 第9回は「ジュニアアスリートにとって筋力トレーニングを開始するべきタイミング」という話題を取り上げたいと思います。現代のスポーツではアスリート能力がジュニア期から要求されることが多く、よりフィジカルレベルが高い方が有利であることは、第1回の通信より申し上げている通りになります。では、フィジカルトレーニングの中でも筋力トレーニングはいつ頃から始めるべきか?について言及してみたいと思います。

 結論から申し上げると、小学生から始めていても良いというのが答えになりますが、具体的にスポーツ医学的な観点から述べていきたいと思います。
「筋力トレーニング推奨派」と「早期からのトレーニング反対派」と2つの意見があると思いますが、反対派の論旨として1番多いものは、過度な筋力トレーニングは成長を阻害する(身長の伸びを悪くさせる)ことが挙げられます。「筋力トレーニングをすると背が伸びない」というのは、実際に本当なのでしょうか?これは、体操選手などが小さい頃から腹筋や背筋、腕立て伏せなどを繰り返して身長が低いことなどが一つの論拠になっていたようですが、筋力トレーニングを早期からすることで科学的に有意差があるような成長の違いがあることは証明されていません。もちろん、成長期前・成長期に脊椎に負担がかかりすぎるバーベルなどを用いたスクワットなどはもちろん推奨されません。腹筋や背筋のつけすぎももちろん影響が出る可能性はあるのですが、小学生が自力でできる範囲であると過剰負荷になるほど自分で自分自身を追い込むことはジュニア期にはできませんので、自分でできる範囲内であればこちらも問題ないと考えています。推奨派の意見としては、早期から取り組むことで体幹などを鍛えることができるためにジュニア期にあった筋力トレーニング(具体的には、ウェイトを使用しない自重による筋力トレーニング)を薦めています。

 我々がサポートしているジュニアアスリートに対しては、個人毎に変わりますが、脳のイメージが先行して身体がついてこないことで困っている子供たちについては積極的に自重トレーニングによる筋力トレーニングを行うように指導しています。反対に脳のイメージを比較的具現化できているジュニアアスリートの場合は、この時期は筋力トレーニングに時間を費やすよりも、より競技特異性の高いプレー(例えば、サッカーであればボールコントール技術、ラグビーであれば左右でボールを扱える能力、テニスであれば視覚認識によるボールへの反射能力など)を向上させることに時間を費やすように伝えています。
 もちろん、どちらのタイプかわからないという子供たちも多くいますので、そのような子の場合は筋力トレーニングを推奨しています(そうすることで、自分でも気づいていなかった能力に気づくことができるからです)。

 しかし、実際に筋力トレーニングを行なった分、効果がでるようになるのは成長期の後半からになります。これは、摂取した栄養が骨の成長になる部分が減って筋肉の肥大や成長につながるようになり、成長ホルモンや性ホルモンの効果がトレーニングに出てくるのがその時期になります。つまり、そのタイミングで効果的にトレーニングが行われていると効果が出てきますので、我々は「相談いただいた選手が今成長期のどのタイミングにいるのか?」を血液検査や諸データから推定してお伝えしています。では、その時期までは筋力トレーニングをする意味がないのか?と相談を受けるのですが、筋力トレーニングといっても実は簡単ではなく、実際に当施設内でスクワットやランジウォークなどをやってみてもらうとフォームが悪く(ウェイトを使うとほぼ全例でフォームが崩れます)、目的とする筋肉にアプローチできていない選手がほとんどであり、フォームの習得と筋力トレーニングの意味を理解するのに長いと1年近く要してしまうために、フィジカルが急速にあがる時期を1年弱無駄にしてしまうことがあるため、早期から「筋力トレーニングの準備」は必要と考えています。つまり、筋力を鍛えるためだけではなく、本当に必要となる時期にむけてフィジカルトレーニングの種目に対する理解(どの筋力に効くのかなど)、フォームの習得などを進めておくとよいでしょう。サッカーをはじめ、小学3、4年生〜高学年にかけてゴールデンエイジと呼ばれる時期になりますが、現在のトレンドで、神経発達の部分に時間を費やしすぎてしまいますが、数年後に訪れるトレーニングの変革期に備える準備も同時に行なっていくことが重要になります。

 このようなことに医学的にフォローすることは日本の保険診療ではできませんので、小児科などで相談することができない側面もあり、我々は2024年7月からジュニアアスリートメディカルサポートとして一般向けにオープンいたしました。ご興味のある方はぜひとも下記サイトもご覧ください。


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