A4クリアファイル

たかしの彼女、楓は長期にわたるドラマ編集の仕事を終え、ようやく訪れた休暇を満喫していた。彼女はたかしに問いかけた。「チケットは直人に渡した？それとも新しいアシスタントに？」その時、外では蝉が夏の終わりを告げるように鳴いていた。

たかしは新しいアシスタントにチケットを渡し、彼女に楽しんでもらいたいと願っていた。しかし、彼女との仕事は始まったばかりで、彼女の人となりはまだ掴めていなかった。それでも、彼は彼女が世話をしているカニーンヘン・ダックスフントの「ぷりんちゃん」が元気になる様子や、彼女の嬉しそうな表情から、彼女の優しさを感じ取っていた。
そして、少し戸惑いながらも、たかしは答えた。「直人に渡したよ...」

土曜日の朝を迎え、アシスタントの実世を迎え13日目の日常が始まった。
彼女と、たかしは向き合い、片手を握って、その手を顔の横に構え、そこから顎の位置までスッと下ろし、枕から頭を外す様子と、両手の人差し指を立てて向かい合わせて、両方の人差し指を曲げた。
たかしは、この２つの動作を組み合わせて、穏やかな笑顔で彼女と朝の挨拶を交わした。

その日、直人は、たかしからもらった洋画のチケットを大事にしまって、休日にもかかわらず学校に向かった。普段とは違う静けさが校舎を包んでいる中、彼は廊下を歩いていた。そんな時、遠くで吹奏楽部の練習する音が耳に届いた。その熱意あふれる演奏が、静まり返った校舎に生命を吹き込んでいるようだった。そして、運動部の元気な声が遠くから聞こえてきて、休日出勤の寂しさを少し癒してくれたのだった。