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ポスターからの叫び

奈津はおばあちゃんが大好きで、今日もいつものように家に訪れていた。おばあちゃんは奈津のために特別な手作りケーキを焼いてくれて、二人は楽しくお茶をしながら、温かい時間を過ごしていた。おばあちゃんの家はいつも奈津にとっての安らぎの場所で、そこには愛情たっぷりのお菓子と、心を込めた紅茶があった。

「将来、何かやりたいことや、なりたい職業はある?」とメモを渡され、奈津は心の中で悩んでいた。特にやりたいことやなりたい職業があるわけではなかった。

ハンディキャップが障害になると感じていたが、奈津は「ケーキ屋さんで働きたい」と答えた。
「応援するよ」と言って、おばあちゃんはしわくちゃの優しい笑顔で奈津を温かく包んだ。



午後に休暇を取り、直人は、たかしの職場、動物病院へ行った。
扉を開けるとたかしは、両手の指先を伸ばし、手の甲の上に利き手をのせ、手の甲にのせた手を、上にあげていた。直人は、彼女とすれ違い、軽く会釈をした。

「さっきの子は誰?」と、たかしに尋ねた。たかしは「少し問題はあるけれど、彼女は優秀な助手だよ」と答えた。



「高校生と行ったの?」と驚くたかしに、直人は答えた。
「うん、でも話しかけられたんだ。映画に興味がなかったら誘わなかったさ。ただ、ホラー映画で彼女が引いちゃってね。連絡先も名前も聞かなかったから、あれはその日限りのことだったんだ。本当の話だよ。」と。たかしはほっとした様子で、「じゃあ、もう会うことはないんだね。それでいいと思うよ。」と言った。久々の再会で、直人はたかしに近況を報告するために訪れたのだった。その中には、“あの映画のチケット”の話も含まれていた。





職員室から出てきた奈津。
窓の外は秋の風が吹き抜けると、木々は色とりどりの葉を揺らし、まるで自然が描く絵画のように美しい景色が広がっているようだった。


 
そして、廊下に佇んでいる奈津は、壁紙を見つめていた。
『求む、ホームステイ!』

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