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5㎝のラインパウダー

秋の澄み切った空の下で、多彩な旗が風になびき、生徒たちの笑顔が運動会を彩っていた。活気に満ちた声援が空に響き、競技に取り組む姿は、まるで生き生きとした絵画のよう。家族や友人が集い、共に過ごすこの日は、絆を深め、記憶に残る貴重な時間を過ごしていた。


奈津が右耳に着けているピアス。まるで夜空に輝く星々のようにきらめいて、その繊細な光が周りの目を惹きつけていた。そして、シンプルながらも、光の魔法で一瞬にして周囲を華やかにする力を持ち、どんな服装にもマッチし、エレガントな雰囲気を加えてくれていた。


体育祭の日、参加できる競技に制限があったが、奈津はクラスメイトたちが一生懸命競技に取り組む姿を楽しそうに見ていた。その隣の席に、実世も座って同じ景色を見ていた。



教室のドアが開き、楓が入ってきた。



彼女は両手を軽く握り、親指を「A」の形に似せて立て、両手を胸の前で交差させ、手の甲が外側を向くようにし、両手を胸に引き寄せる動作をした。優しい微笑みと目を細める表情で、「懐かしいね」と言いながら、奈津と実世に話しかけた。


三人は些細な話題や、最近の直人、たかしとの江の島や稲村ケ崎への出かけた話で盛り上がった。そんな中、奈津が突然、その時の写真を実世に見せてもらいたいと頼んだ。実世はスマホを取り出し、たかしとの楽しいひとときを写した写真をスクロールしながら奈津に見せた。


実世と直人が一緒に映る写真にたどり着くと、奈津は思わず手を頬に当て、「誰?」と興味深げに実世に問いかけた。


写真のたかしを指し、「友達の直人さんだよ。」
と、実世は優しく答えた。


奈津は写真の中の直人を見たとき、驚きと喜びの表情を浮かべた。そして、彼女は右手を広げて掌を胸に軽く2回たたき、「この人、知ってるよ」と返事した。その動作がまるで心の中の喜びが言葉になって溢れ出るかのようだった。


実世と奈津、そして楓はお互いに目を合わせ、それぞれの表情からは喜びが溢れていた。


 


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