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働けど働けどなお


勤め先で時々あるのだが、本給表の見直しが行われて、近々その調整金がなんぼか振り込まれるらしい。
下がらないだけではなくいただけるのは有難い話だと思う一方で、昇給も一時支給も雀の涙ほどの上乗せにすきないので、じっと手を見る今日この頃である。

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何せ昨今の物価上昇はやるせない。電気代もガソリン代も高騰し、キャベツもお菓子も贅沢品になりつつある。
一方で、賃金は殆ど据え置きときたものだ。初任給がどんどん上がっていく傍ら、氷河期世代に片足を突っ込んでいる我々は、上がり続ける物価と上がらない給料の間を一生懸命ぴょこぴょこしながら、いつ物価上昇に突き放されるかドキドキして生活している。これが貧乏くじでなくて何であろう。

💰

もうすぐ還暦を迎える上司からは「一時支給を楽しみに待たれよ」と通知がきた。上司にとっては臨時ボーナスのようなものなのだろうか。さすがバブルを経験してきて緩い仕事で一財産築けた方は感覚が違う。(※人によります)
過去のお話を伺うに、確固とした評価制度もなく年功序列で上がっていく給与を保証されていて、そのまま定年を迎えようとする人だ。
育休復帰直後にその人から、

「仕事にも育児にも、今は便利なものが沢山あっていい時代になったねえ。昔はもっと大変だった」

と言われたことがある。
絶望的に空気を読めないことに定評のある私が、

「またまた笑、昭和の時代は今ほど経済的に厳しくなかったじゃないですか。便利なものが沢山あっても買えなきゃ意味ないっすよー」

と返すと、上司は口をへの字にした。後で同席していた同僚から「ああいう言論をド正論で打ち返すものではない。阿呆かお前は」と説教された。

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確かに昭和は昭和で不自由なところもあっただろう。インターネットもスマートフォンもなかった。マイノリティの方々は今よりも肩身が狭かっただろうし、専業主婦が当たり前で、どんなに能力があっても家庭に収まるしかなかった女性も多かったろう。
どの時代も一長一短なのだ。一括りにどちらが大変という問題ではない。しかし、今の上司世代の方々は、自分たちが生涯通して生まれた世代の恩恵にどれほどあずかっていけるのか、そしてそれを続く世代にどれだけ残せたのか、考えたことがあるのだろうか。
男と女の間には深くて暗い溝があるというが、世代間にもあるものだ。こと経済的感覚に関しては。
だから今、氷河期世代が悶々としているのだ。

🧊

同世代の、子を持つ人達と話していると、「この子らには自分たちよりハードな未来が待っているだろうから、責任が重い」という人が少なくない。
いくばくかの財産を残したところで、不動産も現金も価値は目減りする一方だ。そのくせ税金はしっかりさっぴかれる。
親にできるのは、荒波を越えていけるだけの知識と経験をしっかり身につけられるよう環境を整えることぐらいだ。それにも先立つものが必要ではあるけれど。

💎

最近、寝かしつけの際、母がスマートフォンを見ていると息子がプンプンしながら没収に来るようになった。
何もできないので、買ってもいない宝くじが当たった妄想をしている。驚くほど捗るし楽しくてしょうがないのだが、大分末期だなと、思わなくもない。

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