「Gekkeikan Studio no.5」開発秘話とフードペアリング」
こんにちは、Gekkeikan Studioの研究開発担当です。
「Gekkeikan Studio no.5」を11月1日から
「月桂冠オンラインショップ」と「月桂冠大倉記念館」(京都市伏見区)にて数量限定で発売しました。
2021年11月に始動した「Gekkeikan Studio」プロジェクトの第5弾です!
日本酒の新たな可能性を切り拓くことを目指し、月桂冠では挑戦したことのない、あっと驚く新しいお酒に取り組みました。
今回の「no.5」のポイントは「色」です。日本酒の原料である米をテーマに、古代米と呼ばれる色付きの米に着目しました。古代米はポリフェノールによる赤紫色の色素を含んでいるため、米由来の鮮やかな赤色の日本酒に仕上がっています。
▼「Gekkeikan Studio no.5」 オンラインショップでのご購入はこちら
https://www.gekkeikan-shop.jp/c/0000000100/studio/sake025000
▼「Gekkeikan Studio no.5」は月桂冠大倉記念館でも販売中です
https://www.gekkeikan.co.jp/enjoy/museum/
no.5ができるまで
赤色の日本酒の商品化については、月桂冠では十数年前から検討が行われていました。
しかし、商品化の実現には
① 納得のいく美味しさに仕上げることの難しさ
② 赤色が設備に残らないような製造工程の組み立て
などの壁があったのです。
~①美味しい赤色の日本酒を目指して~
古代米の色素は、お米の糠部分に含まれています。
通常、日本酒は糠を削る精米という工程を経たお米を使って作られます。「精米歩合」というワードをご存じの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。精米歩合によって日本酒の種類が定められていたりします。
しかし古代米は精米してしまうと、色素を糠として削ってしまうことになり、私たちの作りたい赤色の日本酒とはなりません。赤色の日本酒をつくるためには、古代米を玄米のまま使うことが求められます。
ここに大きな問題がありました。
玄米のままお酒を作ると、お米の栄養を十分に使うことができず、お酒の仕上がりが中途半端になってしまうのです。そのため玄米で作った赤色の日本酒の試作品は、ラボ内で「玄米そのものの香りが強い」「渋味が強い」など、綺麗な赤色ながらも、香味については厳しい評価を受けてきました。
この問題を解決すべく様々な検討をする中、私たちが辿りついた答えは「ロウカット玄米」でした。
ロウカット玄米とは東洋ライス社の商品であり、玄米においてお米の吸水を妨げているロウ層を除去した玄米のことです。ロウカット玄米をごはんに混ぜて炊くと、もちもちと柔らかい玄米を楽しむことができます(PR案件ではありません)。
・・・吸水率が向上すれば、お米の栄養を十分に使うことができるのではないか。
そう考えた私たちはロウカット玄米で試作品を作りラボ内で評価を行ったところ、、、
「フルーティさがUPした」「味わい深い」などポジティブな評価が多く、未加工の玄米を使用したお酒よりも5段階評価で1ポイント高い評価を得られました。
こうしてロウカット玄米を使用することにより、綺麗な赤色の見た目もさることながら味、香りも良い日本酒を作ることができる、と私たちは確信しました。
~②月桂冠で赤い日本酒が作られるまで~
月桂冠では多種類の日本酒を作り、販売しています。
これらの日本酒は、醪を発酵し、搾って粕と分離し、フィルターを通って壜やパックに詰める、という多くの工程を経てお客様の元に届けられています。
では、赤色の日本酒を他のお酒と同じ工程で製造するとどうなるでしょうか。
設備が赤色に着色し、他の何種類もの日本酒に赤色が移ってしまうリスクが発生します。
美味しい赤色の日本酒の製造方法は確立したものの、再び壁に当たりました。
そこで私たちは試作した赤色の日本酒を使って、設備と同じ素材にどの程度赤色が付着するか、付着した赤色は落とすことができるか、などを調査しました。こうして赤色の付着リスクの高い工程を挙げ、どのように回避するか、ラボ外の部署も含めて慎重に検討を進めました。
その結果、他の商品に影響を与えることなく赤色の日本酒を作る工程が設計され、無事製造することができました。
このように大小問わず問題を地道に解決した先に、no.5という赤色の日本酒を商品化することができました。見た目に綺麗な赤色のお酒を、美味しく、安全にお客様の元にお届けできることはこの上なく嬉しいです。ぜひ次に紹介する食べ物とともにお楽しみください!
no.5とのフードペアリング
no.5はスパイスのように芳醇な香りと渋味が楽しめるすっきりとした辛口の味わいが特徴です。この個性的なお酒にあう食べ物は何だろうと様々な食材を試しました。ビーフジャーキーやスモークチーズ、ラム肉、カレーなど普段日本酒と合わせるイメージがないものまで、、、
その中から、おすすめの2つを紹介します。
ローストビーフ
ローストビーフの旨味、ソースの甘味にno.5の渋味とスパイシーさが合わさることで、まるでワインと合わせているかのように口の中でなじみます。no.5に含まれる旨味とコクはローストビーフを一層深い味わいに感じさせます。
ビターチョコレート
優雅にワイングラスを傾けながら、ゆっくりと飲みたい時にはビターチョコレートと合わせるのがおすすめです。カカオの渋味との相性がよく、お酒のスパイシーさをフルーティに感じさせてくれます。果実が含まれているような酸味の効いたチョコレートと合わせてもよいアクセントになります。
個性と個性が共演するno.5の新しいペアリングをお試しください。