LiverpoolがPKでCL Finalを勝利するには?
いよいよ明日、Liverpool vs Real Madrid のCL finalということで、先日のFA CUP Liverpool vs Chelsea の試合を経て、もしもCL finalが決勝までもつれ込んだ場合Liverpoolが勝つにはどうすればいいのか分析して行きたいと思います。
LiverpoolのPK分析対象は今年の初めに行われた、カラバオカップと、FA Cupの2試合になります。(合計 18 本のキックと 7本のディフェンス(FA cupはケラハーがGKであり、彼が明日のPK戦に出る確率は低いため))
まずはアタッキングから。
前述の通り、Liverpoolは合計18本のPKを15名のキッカーが蹴っている。その内失敗は、FA Cupでのマネによるキックのみ。
合計6本のシュートのみがゴールの中心から左右2yd幅(赤とオレンジ)のエリアに蹴られており、その内1本のみがセーブされている。
このエリアはGKにとってはセーブできる確率が高いエリアであり、キッカーとしてはこのエリアに蹴るのは避けたいところである。
もしLiverpoolのキッカーがそれぞれ前と同じところに蹴れるとしたら、負けない確率は高くなるだろう(理想のキッカーはミルナー/ファンダイク/サラー/アレクサンダーアーノルド/ジョタ)。
ただし、もちろんレアル側も当然このデータを用意してゲームに臨むはずであるから、そこはまた選手間の駆け引きになるだろう。
PKでのオフェンスではどれだけキッカーが自分の思い通りの所に蹴れるかが重要であり、前述の通り、もし前2試合と同クオリティのキックができればキックミスによる負ける確率は少なくなるだろう。
続いてGKのディフェンスに移っていこう。
初めに対象となるキック数が少ない少ないため信頼性がオフェンスのデータよりも低くなってしまうかもしれないことをここで記しておきたい。
アリソンはFA cup で7本のPKをディフェンスしており、その内1本のセーブと、1本を失敗させることに成功している。
この内、シュートと同方向へのダイブは 3/7 (②/③/⑦)
→ ボールへのタッチは 1/7 (ストップ)
ボールと逆方向へのダイビングが4/7(①/④/⑤/⑥)
アリソンの右方向へダイブ 3本 (③④⑤本目)
左方向へダイブ 4本(1セーブ/1ポスト)(①②⑦⑥本目)
ほぼ均等に左右にダイブしているため、どちらか一方の自分の得意な方向へのダイブは考えにくいだろう。
コーチからPK戦中に指摘されたものなのか、それともPK戦前にプランニングしていたものなのかは分からないが実は、この7本のPK中にアリソンはダイビングのタイミングを少し変えていた。
1,2本目のダイビングのタイミングはキッカーの軸足がボールの横に着く前に動き出しているのに対し、3本目以降は軸足がボールの横についてから動き出していた。要するにキッカーが蹴るぎりぎりまで我慢して待っていたのだ。
3本目以降のみの、シュートと同方向へのダイビングは2/4でありその内の1本を見事にストップしている。
必ずしも同方向へのジャンプができるとは限らないが、ぎりぎりまで我慢することで同方向にジャンプする確率は高くなるだろう。
チームメイトであるケラハーと比べてみると、彼は11本のPKのうち全てのキックでキッカーの軸足がボールの横に着く前に飛んでおり、同方向へのダイビングは5/11 (0ストップ)46%の性確率。ギリギリまでジャンプをせずに粘っていたときのアリソンの正確性の方が僅かではあるが50%と高く、1本のセーブも記録している。
ここまでは、これまでのLiverpoolの2試合のデータを見てきたが、正直言って決勝でのPKでの勝率はそんなに高くなるとは思えない。
その理由の一つがLiverpoolのGKはそこまでPKに強いとは思えないからだ。先ほどの通り計18本でストップは僅かに1本。また、最初の5本のうちのストップは0本である。
ではどうすれば、GKのストップにより少しでも勝率を高めることが可能になるのか?
1つの要因は分析力だろう。どれだけの数の今までのPKのデータを集められか。ここはGK一人の力でどうにかするには正直難しい所である。
もう1つは、キッカーが蹴るぎりぎりまでゴールの真ん中で我慢していることだろう。
当たり前のことではあるが、ここが最も重要であると言っても過言ではないだろう。
FA Cupを例として挙げると、もしもアリソンが、シュートにリアクションする形で反応した場合、3,4,5本目はセーブ可能であっただろう(ゴール中心4ydの幅に蹴られているため)。
Schmidt and Wrisberg の研究によると、平均してボールがゴールに到達するのは500-700ミリセカンドでり、そのうちにGKは反応しなければならない。この場合、緑と黒の(左右ポストからそれぞれ2ydの)エリアを守るのはほぼ不可能である。
FA cup、カラバオcup の計34本のPKのうち(2本の枠外シュートは除く)、中心4ydのエリアに蹴られたシュートは13本の38%である。また、最初5本(計19本)のうち7本の36%tとほぼ同じ確率でこのエリアに蹴られている。
もし、キッカーのボディーランゲージから方向を予測して飛ぶ場合、正しい方向に飛ぶ確率は、9%である(ゴールを垂直に三等分、横に四等分して、計12エリアに分割する)。
僅か9%の確率に賭けるよりも、38%の可能性でストップ可能なエリアに飛んでくるシュートを待つ方が、勝率を少しでも上げることができるだろう。
PK戦は、自分達のミスによる負ける確率をどれだけ減らせるかの勝負である。キッカーが思い通りの所に蹴れるか、GKが止めれるシュートをきっちり止められるかである。
今期シュートアウト勝率100%、シュート成功率96%に自信を持って臨めばLiverpoolがPK戦の末に勝つ隔離とは、ほんの少しレアルよりも高いかもしれない。
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