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#11 IB Physics の攻略法とは?

皆さんこんにちは、今回はフォームで実際にリクエストいただいた IB Physics の勉強法について紹介します!

少し前にご質問いただいていたのですが、記事を完成させるのが遅くなってしまいごめんなさい。今後もリクエストの内容は優先的に記事にしていきますが、完成までやや時間がかかってしまうことがある点はご了承いただけますと幸いです。特に現12年生の皆さんにとっては「もっと早く書いてほしかった!」ということもしばしばあるかもしれませんが、現11年生の皆さんやこれからIBを始める方々にも参考にしていただけるような記事の執筆に努めますので、よろしくお願いします。また記事の終わりで紹介しますが、何かリクエストがある方は早めの段階からこちらの Google Form に寄せてください!


勉強リソース

まず最初に、どのようなリソースを用いて IB Physics の勉強をするのが良いか、という疑問にお答えします。

私自身、IB Physics HL の終盤にかけては Mock が迫って来ていたこともあり、一部の内容はほとんど独学で身につけましたが、最初から先取り学習をしていたわけではありませんでした。そのため、まずは授業で配布されるワークシートを解いたり、資料がある場合にはそれらに目を通したり、必要だと思った事項をメモして後ほど復習したり、といった学習をメインに続けていました。特に IB Physics の序盤ではまだ past paper には手を付けていなかったこともあり、授業ワークシート・資料・メモの復習が主な学習法となっていましたが、正直この方法だと非常に時間がかかってしまいます

そこで Mock 前までは、新しい内容の学習は基本的に授業中にワークシート・資料・メモを通して行い、試験前には Kognity の Strength Test を活用して各分野の理解度を確認し、不安が残る分野のみ Kognity を読んだり、自分で調べたりして再度学び直していました。Mock から Final に向けては past paper の演習を積み重ねることがとても効果的ですが、それまではこの学習法を継続し、一人で解決するのが難しい疑問は積極的に他の人の協力を得る、ということに尽きると思います。

なお、先取り学習をする場合は、単純に Kognity か教科書を読み進めるだけで問題ありません。ある分野の学習が一通り済んだら、上で説明したように理解度を確認し、不足分のみを補っていけばその分野をマスターできるはずです。

IB Physics の勉強法の概要は以上となるのですが、ここからは各リソースの上手な活用方法について、個人的な見解を挙げてみます。Kognity と教科書のどちらが使いやすいかなど、個人差があると思いますし、全てのリソースを網羅する必要はないので、自分に合った方法を探してみてください!

授業ワークシート・資料・メモ

授業はこれらの教材ベースで進み、宿題が課されることもあると思うので、まずはこれらをリソースとして新しい分野に触れるのが自然な流れだと思います。ただ、必ずしもこれが最も効果的な教材だというわけではなく、量も膨大になりがちなので、無理に復習用として使う必要はないと考えます。

Kognity の Strength Test

Math AA(時に Chemistry も)に関しては、Kognity の Strength Test は傾向が実際の試験にあまり即していなかったり、難易度的にやや易しすぎたりするのですが、Physics に関しては力試しに有効だと感じていました。ただ、判定の仕様上、答え方の指定(significant figures など)が厳しかったり、本来ならいくつかの小問を経て問われるはずの内容が誘導なしでドンと出題されたりすることもあり、実際の試験より難しめになっているかもしれません。そのため、仮に正答率が低めに表示されてしまっても、解説を見て納得できれば大体大丈夫、というスタンスで取り組むのがよいと思います。

Kognity と教科書(Tsokos)

Kognity と教科書はどちらも IB Physics で学ぶ必要がある内容を完全に網羅しています。そのため、どちらも最初から最後まで読もうとするとかなり時間がかかるのですが、裏を返せばどちらかを一周すれば IB Physics の全範囲の勉強を終えたことになります。もちろん、一回読んだだけで全てを頭に入れるのはなかなか大変なので、複数回読まなければならない箇所も出てくると思いますが、既に理解している範囲や重要度の低めなコラムはササっと読み飛ばしてしまって問題ありません。ちなみに、Tsokos の教科書の各章の終わりに付いている問題はかなり難しめだった印象があり、ほとんど手を付けていなかったのですが、特にそれで困ることはありませんでした。

Past Papers

過去問に関しては、一通り syllabus を終えてからはひたすら演習を積むのが点数アップに向けた一番の近道だと思います。その際に、必ずしも毎回ではなくても良いのですが、本番を意識して時間を計ったり(特に Paper 1)、実際にペンで答案を書いたりすることが重要です。また、実際の試験では消去法によって回答を導いたり、時には感覚の力を借りることも大切なテクニックとなるので、過去問演習にはその練習を積む意味もあるのですが、それと同時にできる限り理論的に回答を導いたり、可能な範囲で消去法に頼らずに済んだほうが理想的です。そのため、答え合わせをする際に改めてその問題の解法や関連した分野をしっかり理解できているか振り返ると一層効果的です。各 paper に関する細かい説明は後程行いますが、過去問演習は直前に数回行うだけでさえも効果がある、ということは知っておいてください!

Data Booklet と GDC

これらは勉強リソースというより、試験の際にも使えるツールということになるのですが、普段の学習時から使い慣れておくことが重要です。例えば、Data Booklet に関してはどこにどんなことが書いてあるのか、それぞれの文字や公式がどんな意味を持っているのか把握しておく必要がありますし、GDCの操作で時間をロスしないような準備も欠かせません。

Paper ごとの対策

先ほど、IB Final/Mock に向けた対策としては past paper を解くことが最も効率的だと紹介し、past paper の基本的な活用方法については既に説明したため、ここでは各 paper 特有の対策方法を軽く補足する程度にします。

※Paper 3 は November 2022 では実施されなかったため、ここでは Paper 1 と Paper 2 に限定して説明させていただきます…

まず最初にお伝えしたいのは、Paper 2 の演習を積む前に Paper 1 を数多くこなしたほうが良いという点です。Paper 2 は一回分解くのにとても時間がかかり(HLなら2時間以上!)、答え合わせもやや手間なうえ、出題範囲が偏っていることも多々あります(例えば、回によっては thermal physics がほとんど出題されないこともあります)。それに対し、Paper 1 は1時間で一回分を解くことができ、答え合わせも簡単なうえ、まんべんなく IB Physics の syllabus 全体から出題されます。つまり、Paper 1 のほうが手軽かつ効率的に自分自身の理解度を確認することができる、ということです。

Paper 1 の演習を積み、ある程度慣れてきた段階で Paper 2 の演習に移行することでスムーズに取り組むことができます。概念の理解自体は Paper 1 が解けるようになればかなり身についているはずなので、Paper 2 に取り組む際には Mark Scheme と自分の答案を照らし合わせ、特に記述問題でしっかり得点するためにどんなポイントを押さえておくべきか把握することが主な目標となります。

また、Physics Paper 1 の制限時間は短く、かなり手際よく解き進めなければ時間内に解き終えることができません。そのため、GDCなしでの計算にも慣れたり、数式の処理速度を高める練習も必要になってきます。

好成績を取るためのコツ

ここまで、IB Physics で実力をつけるための勉強法を紹介してきましたが、最後により良い成績をとるためのコツをいくつかご紹介します。

程よい目標設定

そもそも、IB Physics ではIAと各 paper の点数の合算で6割台後半を取れていれば7を狙うことができ、7割台に乗っていれば7は固いと言える状況になります。つまり、IBスコアという観点で好成績を取るためには完璧を目指す必要はないのです。もちろん、IAの点数がどう返ってくるか分からないことも踏まえるとテストで高得点を目指すに越したことはありませんが、全ての分野の勉強手を付けて中途半端になってしまうくらいなら、一つや二つくらい苦手な分野が残っていても「これは確実に自信がある」という分野を一つずつ増やしていったほうが得策です。これは勉強に関してだけでなく、テスト中も分からない問題で長らく頭を悩ませるより、解けたと思っている問題の見直しをしっかり行い、確実に取れる点数を積み上げたほうが良い結果につながったりします。参考までに、各 Topic が IB Physics 全体の成績に占める割合を示したグラフを下に貼ります。

Figure 1. Average Percentage of Each Topic's Contribution in Final IB Physics Mark (GradePod, 2023)

Paper 1 のペース・解く順番の工夫

先ほど触れたように、Physics Paper 1 は制限時間が短いため、試験時間が始まったらすぐにハイペースで問題を解き続けなければならないのですが、個人的にペースだけでなく問題を解く順番も工夫していました。

基本的に Paper 1 ではトピック順に問題が出題されるため、最初のほうに uncertainty に関する問題や kinematics など、あまり複雑ではない一方で計算量が比較的多めな問題が固まる傾向にあります。これらの問題は落ち着いて解けばさほど難しいものではないのですが、試験という緊張感の高まる条件のもと、しかも序盤の易しめな箇所で時間をロスしないようにと意識しすぎてしまうと、思うように思考が回らなくなってしまったり、ミスを連発してしまったりする可能性が高まります。そのため、解き方は分かっていてもいったん計算量の多めな問題は飛ばし、後でまたエンジンがかかってきたタイミングで心に余裕を持ち、計算問題をアタックするという方法が自分には合っているように感じました。個人差はあると思いますが、Paper 1 の問題を解く順番で迷っている方がいたら一度試してみてください!

単位と数を一致させに行く作戦

物理では特に単位が非常に重要な役割を果たしており、あまり解法がピンと来ない場合でも与えられている数と問われているものの単位から筋道を見つけられることも多いです。IBでは "Show that …" という形式で答えが既に与えられており、その結論を導くことを要求するタイプの問題が頻繁に出題されるため、やや裏技的な方法にはなりますが、答えが合うように係数を逆算することも可能となってきます。

Paper 2 に潜む簡単な問題を取りこぼさない

Physics HL の場合、Paper 2 は試験時間が2時間15分もあり、終盤にかけて集中力が削がれてしまいます。特に難しめな問題が多い場合、徐々に「もうこれ以上先に進んでも解ける問題はないのでは?」と自信(戦意?)を喪失してしまうことも考えられます。しかし、案外最後のほうに易しめな問題が隠れていることもあるので、決して諦めずにできるだけ点数をもぎ取っていこう、という意識を持ち続けることが大切です。Nuclear physics など、一見難解そうなトピックに限って、逆に踏み込んだ内容を出題しづらいという事情もあり、意外とあっさり解けてしまうこともあります。先ほどの「単位と数を一致させに行く作戦」にも通ずることですが、試験中は必ずしも正攻法でなくても、その時の自分にできる最大限のことをやりきる、という意気込みで頑張ってください

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