オシャレ髪型の私とそっくりだったあの国民的有名人
世界には自分とそっくりな人が3人いるという。
誰しも「タレントの○○に似てるね!」とか「俳優の▢▢っぽいね」などと言われた経験があるのではないだろうか。
私の顔は芸能人顔ではないらしく、芸能人に似ていると言われた経験はあまりない。時々言われるのは、
「今日、電車の中に えさんに似てる人がいた」
というような、私に似ている一般人の目撃情報だ。それはそれで会ってみたい気もするが、似ている有名人がいないというのはちょっと残念だった。
しかし。
そんな自分にもそっくりな有名人が存在した。
しかも、その人は誰もが知っている超大物国民的有名人だった―――。
当時26歳くらいだったろうか。
私はその頃某カステラ会社で働いていて、商業施設に派遣され、ひたすらカステラを売る日々を送っていた。
服装は会社の制服。頭には三角巾。
その当時、ヘアスタイルをよくポンパドールにしていた。
ポンパドールとは、前髪をふんわりアップするアレンジのこと。
ちょっとオシャレっぽいし、顔周りがすっきりするし、簡単にできるので気に入っていたのだ。
その名はフランス国王ルイ15世の愛妾ポンパドゥール夫人から、と言われている。
イメージはこんな感じだろうか。
https://www.biteki.com/hair/hair-arrange/300687
オシャレフランス人になりきってカステラを売る私。
フランスなのに三角巾。まあそれはいい。
ある日、私はカステラを買いに来た一人の客に、衝撃の言葉を言い放たれることとなる。
その客は40代くらいの女性だった。カステラを買おうとやってきてケース越しに向かい合った女性に、
「いらっしゃいませ。」
と声を掛けると、女性は私を見るなり、生き別れた双子の妹に再会したかのような表情を浮かべこう言ったのだ。
「あなた‥‥‥サザエさんに似てるわねー!」
http://www.sazaesan.jp/artist.html
お、おう‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
オシャレフランス人のつもりがサザエさん。
言っておくがその客と私は全くの初対面。初対面の相手にあなたはサザエさんに似ていると断じられた私はいったい‥‥‥。
サザエさん。
知らぬ人はいない国民的アニメの主人公。いつも元気で明るく、おっちょこちょいな人気者。
相手に悪気など1ミリもないのはわかる。
わかるがしかし、見ず知らずの人にサザエさんに似ていると突然言われたら、いったいどんなリアクションをとればいいものか。
笑い顔のまま固まっている私に彼女は言った。
「いえね、今見てきたばっかりだったからー。」
どうやら長谷川町子記念館に行った帰りだったようだ。
なるほどな、長谷川町子記念館でサザエさんを見て、帰りにカステラ買おうとしたら販売員がリアルサザエさんだったわけだ。そりゃ驚くわな。それは仕方ない。サザエさんに似てる私が悪いわ。
しかしあれだな、サザエさんのヘアスタイル、あれはポンパドールだったのか‥‥。
その客はカステラを買って、もう1回私の顔を眺めると去っていった。
おそらく家族とカステラを食べながら、リアルサザエさんに会った話で盛り上がったことだろう。
前々から自分はサザエさんに似てるかも、という思いは心の片隅にあることはあった。だがこの時見ず知らずの人にサザエさんに似てると断言されたことにより、その思いは確信に変わった。
私はサザエさんに似てる、似てるのだ!
こうなったらリアルサザエさんの称号(?)は誰にも渡したくない。
今のところライバルはうちの母親くらいのものだが、エピソードの強烈さで圧勝している。
もし自分のほうがリアルサザエさんにふさわしいという方がいらっしゃったら、エピソードを添えてぜひお知らせいただきたい。