え的「空と君のあいだに」ボーカロイドカバー大賞
最近、自分が涙もろくなったのを痛感する。
これは人生経験を積んだということなのだろうか。ちょっとしたことで号泣してしまうのだ。
たぶんここ数年で人生の2/3くらいの涙を垂れ流している。
ドラマを観てよく泣いていた母や、『バラ珍』に感情移入してすすり泣いていた夫のことを冷めた目で見ていた自分、謝れ。
先日もうっかり中島みゆきの『空と君のあいだに』を聴いてしまい、涙が止まらなくなって大変なことになった。
中島みゆきはすごい。
人生何周したらこんなに聴く者の胸を打つ歌詞が書けるのか。
ワンコ目線で書かれたといわれる、この『空と君のあいだに』。
前半の「君」に対する、やさしく、どこまでも一途で健気な愛。
サビは悲壮感すら感じさせる強い決意と激しい歌唱。
おそらく中島みゆきは人生何周もする間にワンコになったこともあって、空と君のあいだに降る冷たい雨を見上げていたに違いない。
『君が笑ってくれるなら僕は悪にでもなる』
『憎むことでいつまでもあいつに縛られないで』
といった珠玉のフレーズもちりばめられており、自分を見失いそうになったときに聴きたい、堂々の神曲である。
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そんな『空と君のあいだに』であるが、カバーしている歌手も多い。
絢香、工藤静香、後藤真希、河村隆一のカバーを聴いてみたところ、
それぞれ、らしい歌声を聴かせてくれているが、本家中島みゆき先生はなかなか超えられるものではない。
ならば、歌声合成ソフト(ボーカロイド)によるカバーはどうなのか?
ボーカロイド。
私にとっては『にゃんこ大戦争』のコラボで初音ミクを聴いたことくらいしか縁がなかった世界である。
いいきっかけなのでボーカロイド版『空と君のあいだに』をいろいろ聴いてみようではないか。
(※まったく未知の世界なので、ボーカロイドについて何か間違えてることを書いていたらご指摘ください。正確には『ボーカロイド』ではないものも含まれているかもしれませんが、ボーカロイドと呼ばせていただきます)
はたして私の中で本家を超えるカバーはあるのか?
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1.初音ミク
ご存じ電子の歌姫、初音ミク。
にゃんこ大戦争初音ミクコラボで超音波みたいなハイトーンボイスと独特なビブラートを聴かせていたのが印象的だった。
この『空と君のあいだに』カバーはクールでたんたんとした歌声が印象的。
それが逆に不思議な切なさを感じさせる。
サビの強さやワンコ的な感情は一切ない。
「悪にでもなるぅぅぅ~~~」と言いながらそんな気はさらさらなさそうだ。電子の歌姫だもの。
2.謡子
落ち着いた澄んだ声が印象的な謡子。
本家中島みゆきと声質が似ている感じもあり、この曲とよくマッチしている。
サビも程よく盛り上げて泣かせてくれるが、ワンコというよりお母さん。
「君が笑ってくれるなら僕は悪にでもなる」の歌声に母性を感じ、「あいつに縛られないで」ではお母さんに諭されているような安心感を覚える。
ありがとう、謡子母さん。
3.東北イタコ&東北きりたん
東北イタコと東北きりたんのデュエットということでふたりの声の違いはよくわからないのだが、とにかく清々しいほどのロリ声。かわいい。
このふたりが歌う『空と君のあいだに』はもはや原曲とは別の世界。
遠足のバスの中でみんなで楽しく合唱してるかのような無邪気さ。
悪にならなくても笑ってくれそう。
悪?なにそれおいしいの?とか言いそうですらある。
守りたい、この笑顔。
わんこみはあるかもしれない。
4.フリモメン
男性キャラボーカロイド、フリモメン。
とにかくイケボ。低音の力強い声にうっとりさせられる。
そして合成歌声と言われなければ気付かないほど、人間味と包容力を感じさせるのに驚いた。声優さんの声を元にしているようだが、ボーカロイドの技術はすごいことになってるなぁ。
しかし、心を許すのはまだ早い。
こういう人が実は悪い人だったりするので注意してほしい。
5.桜乃そら
色っぽい奥様のカラオケを聴いているような気分にさせてくれる桜乃(はるの)そら。
絶妙な歌の下手さがリアルでドキドキさせられる。
「僕は悪にでもなる」のところで薄幸の人妻と逃避行しているような、「君を泣かせたあいつ」になったような罪悪感にさいなまれてしまった私は変態かもしれない。
そらさん……好きです。
聴いているこっちがワンコになりそう。
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【結果発表】
第1回 え的「空と君のあいだに」ボーカロイドカバー大賞は……
✨✨✨桜乃そらさんに決定✨✨✨
ワンコ度以外の項目でまんべんなく高得点をたたき出し、合計18点を獲得。
聴く者を原曲のストーリーとは全く別物の世界に誘う魅惑の歌唱はお見事としか言いようがない。
17歳(!)とは思えないお色気溢れる歌声で私え のハートをがっちりつかんだ桜乃(はるの)そらさんが、第1回 え的「空と君のあいだに」ボーカロイドカバー大賞に決定。
✨桜乃そらさん、おめでとうございます✨
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【まとめ】
今回いろんなボーカロイドによる歌声を聴いてみて感じたのは、ボーカロイド技術の進歩、すごい!!ということに尽きる。
ビブラートのナチュラルさ、ちゃんと歌が下手なところなど、もはやボーカロイドと人の歌声の区別は不可能なのではと思わせるような合成歌声の技術には驚かされた。
『空と君のあいだに』原曲での中島みゆきの歌唱のような、歌詞の世界観の表現力・感情の込め方においてはまだ余白があるのかなという感じはしたが、近い将来、それもできるようになるのだろう。
(もしかして、すでにできたりしているのかも?)
ボーカロイドの歌で号泣する日を楽しみに待ちたい、そんなえ的「空と君のあいだに」ボーカロイドカバー大賞であった。
桜乃そらさん、好きです。