「巷で話題の『四毒抜き』は人と人との対立、分断を招く」
Y氏という医師は「四毒」にやけに拘っている。現役医師であり、言論人でもあり、政治や経済にも精通し、多くの人脈とも繋がり、話術も巧みで、魅力があることから、彼に魅了される人は多いと思われる。
特に何かしらの疾患や症状を持っている人が四毒抜きをして、それが改善された場合は彼の虜になると思う。個人が自分の身体で実証した経験はそれはそれで正しいことだと思う。だから否定はしない。正義感があり、世の中の間違いを正そうとする彼の姿勢は賞賛に値する。行動力もあり、発信力もあり、素晴らしい人だと思う。
Youtubeを観ていると、時折「四毒抜き」が話題になっていることについて取り上げる人もいる。その人の意見を聞いていると、必ずしも「四毒抜き」が全て正しいと思っていないことは確かだ。人によっては、反論している人もいる。
私は、何でもかんでもそれが悪だと真っ向から決めつけることに非常に違和感を感じる。人間の身体はそんな単純なものではないはず。病気は食が大きな原因になっているのは解るが、それ以外にも病気になる要因はたくさんある。四毒が本当に病気に関係しているかは、医者にも解らない話だと思う。統計でものを語っているだけで、医者であっても意見が人それぞれみんな違う。
食に関しては、和、洋、中が主で、庶民のソウルフードとして長年親しまれている。四毒が悪だと決めつけるなら、和も洋も中もすべて全滅ということになる。和食でも江戸前の天ぷらを売りにしている和食店も多く存在する。小麦がダメだから米粉でと簡単に言うが、米粉でその本来の味は出せない、美味しくないからダメだということだって大いにありうる。すべての小麦を米粉にしろと言っても、それを食べる人が美味しいか不味いかは判断が別れる。不味いと思う人が多ければ、商売としては成り立たなくなる。言うのは至って簡単なことだ。
「よしりん教」と言うなと彼は言う。決めつけは宗教と同じだと思う。あれをすると罰が当たる、これをすると祟られる。それと似たり寄ったりだと思う。四毒で体調が改善したなら、その人はそれを信じてただ実行すればいいだけのことだ。ただ、厄介なことに、その実行した人は他人にまでそれを強要することが多い。正義を語るように、四毒を食べている人を敵視し始める。そして、あれは悪い、これは悪いと説教を始める。はっきり言って宗教と同じことだと思う。
「四毒抜き」はY氏本人に留まらず、視聴者にも押し付け、それに洗脳された人たちが他人も押し付けたり、強要したりという現象が起きていて、はっきり言って迷惑以外の何ものでもない。
社会のありとあらゆる外食店に向かって、あれはダメだ、これはダメだと説教して回る勇気があるなら何も言わない。そんなことをしたら、社会を敵に回すことにつながるに決まっている。そこまでしても、日本の食を変えようとするなら、それはそれで立派なことなのかもしれない。しかし、それで生計を立ててている人達からすれば、Y氏は害悪、敵以外の何ものでもないことになる。
Y氏に洗脳されている人たちは自分だけで完結するべきだ。いちいち、他人にあれを食べるな、これを食べるな、そんなことは強制するべきではないし、強制しても個人の食生活の問題に過ぎない。他人に干渉することが過剰になればなるほど、この腐った社会の中で更に分断や対立を招くだけの、ただのくだらないものにならざるを得ない。
そんなものは「健康サイエンスチャンネル」でも何でもない。Y氏も視聴者もそれはよくよく考えるべきだと思う。