♦︎グリーンスリーブスとポーランドの大地
『グリーンスリーブス Greensleeves』は,エリザベス朝時代(16世紀後半)に歌われていたイングランドの古い民謡.イングランドとスコットランドの国境付近の地域で生まれたといわれている.メロディは2種類あるともいわれ,歌詞についても時代や地域ごとに種々のバージョンがある[1].日本語の訳詩にもいくつかある.元の歌の歌詞の内容は,男性からつれない女性に対する失恋の恨み言という.「グリーンスリーブス」は,ある女性の名前,娼婦を指しているともいわれる.中世・ルネッサンス期では,「緑」には「不倫」の意味があり,当時のヘンリ8世による女性遍歴を揶揄した曲であるとの解釈もなされている.いまだ謎の多い名曲である, 1962年のアメリカ映画「西部開拓史」の挿入歌となったほか,ビートルズ『愛こそはすべて』のエンディングでも一部引用されている[2].
1602年に出版されたシェイクスピアの喜劇『ウィンザーの陽気な女房たち』において,「グリーンスリーヴス」のメロディで雷鳴を轟かせよ! と言ったセリフがあり,17世紀には,この歌がよく知られていたのではないかといわれている[1].レイフ・ヴォーン・ウィリアムズは,『ウィンザーの陽気な女房たち』を基にしたオペラ『恋するサー・ジョン』の第3幕の間奏曲にこの「グリーンスリーヴス」のメロディを用いた.この間奏曲をラルフ・グリーヴズが編曲し,独立させた作品が『グリーンスリーブスによる幻想曲』(1928年)である[3].そのメロディの美しさもあり,現在でもよく演奏されている.バイオリンとピアノ,ハープとフルート,ヴィオラとピアノの組み合わせなどもある.筆者の高校時代の同級生の息子さんがヴィオラ奏者(札幌交響楽団)で,息子が新年早々に東京で初リサイタルをやるという案内をもらった.演奏も素晴らしかったが,同級生が10名ほどもおり,ミニ同級会のようでもあった.一般に,バイオリンに比べるとヴィオラは脇役的な存在であるが,『グリーンスリーブスによる幻想曲』に関しては,私見であるがバイオリンよりもヴィオラの方があっているように思う.「グリーンスリーヴス」に関しては,ギターでもよく演奏されており,村治佳織の可愛い少女時代の演奏[4],アンドレス・セゴビアの流石と思わせる演奏[5]などもある.Daniel Estremのルネサンスリュートによる演奏もある[6].
2008年8月,ポーランドの古都クラクフからワルシャワ経由で,バルト海に面したグダニスクまでの列車の旅をした.その中で,クラクフからワルシャワまでの車窓からの景色が気に入った.ポーランドの語源は野原・畑(pola)であるといわれるように,なだらかな丘陵が続く.この景色とBGMをグリーンスリーブスにしてYouTubeにアップしてある.前半は,ヤマハ サイレントギターで演奏,後半はGodin Grand Concert SAの演奏をギター・シンンセサイザーROLAND GR-55でオーケストラ風の音にしてみた(まだまだ改良の余地あり😅).イングランドの古い民謡をポーランドの景色に合わせるのはどうかと思われるかもしれないが,なだらかな丘陵と曲調が自分ではあっているように思う.それぞれ,BossのeBand (JS-10)を接続し録音.iMovieで作成[YouTube:車窓からポーランドの大地 https://youtu.be/TcU484E5HKs ].
[1]グリーンスリーブス Greensleeves イングランド民謡/もう一度ここに来て 私を愛してください http://www.worldfolksong.com/songbook/england/greensleeves.html
[2]https://ja.wikipedia.org/wiki/愛こそはすべて
[3]https://ja.wikipedia.org/wiki/グリーンスリーヴスによる幻想曲
[4]村治佳織 https://www.youtube.com/watch?v=bW1RN0xtKZM
[5]アンドレス・セゴビア https://www.youtube.com/watch?v=VOTDbA4uJFE(現在再生できない)
[6]https://www.youtube.com/watch?v=OCpF2cwm_04