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「冊封体制」のメリットとは?
さて、
冊封体制とは、
ドラえもんで言うところの、
「ジャイアン(中華王朝)とスネ夫(朝貢国)」
の関係である。
![](https://assets.st-note.com/img/1669577618191-I0ds818oFZ.jpg?width=1200)
と言うことが分かったところで続いては、
中華王朝の冊封体制に入ることの
メリットとデメリットについてお話していきます。
ただ、ご注意いただきたいことがあります。
それは、
これから話す冊封体制のメリットとデメリット
におきましては、
あくまでも「短期的外交政策」として考えた場合
ということです。
詳しくは後ほどお話いたしますが、
あくまでも「短期的」視点であるということをご承知ください。
ではまず、メリットから。
![](https://assets.st-note.com/img/1669577802042-ejbQhmlzKh.png?width=1200)
中華王朝の冊封体制に入ることのメリットは
大きく分けて3つあります。
○メリット1
「統治者としての「正統性」の獲得」
中華王朝に朝貢し冊封体制に組み込まれることで、
各国の統治者は「自治」が認められ、
さらに、中華風の官位や爵位が与えられました。
ということは・・・、
たとえ「元盗賊」が国の統治者となった場合でも、
中華王朝へ朝貢し冊封体制に組み込まれることで、
偉大なる中華皇帝により統治権の正統性が認められ、
それだけでなく、
名誉ある官位や爵位までもらうことができたのです!
これは、
自国において何よりの自慢になります。
![](https://assets.st-note.com/img/1669578160698-E6y2EwqY2e.png?width=1200)
「私は偉大なる中華王朝から
この国を統治する正統性を認められたのだ!
跪け!」・・・と。
![](https://assets.st-note.com/img/1669578322192-hvUHg4hvRj.jpg)
「元盗賊」という過去を美化するにはもってこい!
だと思いませんか?
これが、
中華王朝の冊封体制に入ることのメリットの一つ目、
「統治者としての「正統性」の獲得」であります。
これは、朝貢するしかない!
ちなみに・・・、
「王」という称号について、
一般的に「王様=頂点」のように解釈されていますが、
![](https://assets.st-note.com/img/1669578503962-LIZAqvPBPw.jpg?width=1200)
中華思想に基づく
冊封体制において任命された「王」の称号は
多少意味が異なります。
中華思想が根本にある歴代中華王朝は、
中華皇帝に朝貢し、
冊封体制に組み込んだ国々の統治者に「王」の称号
を与えました。
これにより、
朝貢国及び朝貢国の統治者は、
「正統性」を得たわけですが、
同時に、
中華王朝の「属国」という
不名誉も受け入れなければなりませんでした。
朝鮮半島がいい例となります。
朝鮮では紀元前3世紀頃、
当時の中華王朝・前漢の冊封体制
に組み込まれましたが、
![](https://assets.st-note.com/img/1669578735292-LA9RV1XC4g.jpg)
なんとその後、
1895年の日清戦争で
日本が当時の中華王朝・清(最後の中華王朝)を破り、
講和条約である下関条約
によって朝鮮を独立国と認めさせるまでの、
約2000年以上にわたり、
ほぼ一貫して中華王朝の冊封体制下にあったのです。
その証拠に、
朝鮮では国王が亡くなると、
中華王朝から冊封使が来て、
「次の王はお前だ!」
という承認が得られるまで次王は
「王の称号」を名乗れませんでした。
そのような状況は、
果たして独立国といえるのでしょうか?
現在の朝鮮半島情勢において、
韓国・北朝鮮がなにかにつけ
中国の顔色を伺い行動するのは、
約2000年にわたり
中華の冊封体制に組み込まれていた
という歴史的事実が関係しているのでは?
と論考する方々が多いのも、
なるほど、うなずける話です。
![](https://assets.st-note.com/img/1669579929649-jkmxiJ2Zbt.png)
つまり、
中華王朝の冊封体制において
朝貢国の統治者に与えられる「王」という称号は、
「中華王朝の属国の支配者」
という意味が込められていたということなのです。
決して欧州における
「キング」の意と同意ではない
ということを覚えておいてください。
中国風の「王」とは、
決していい意味ではないのです。
ここにも中華思想が見え隠れしております。
○メリット2
「「経済」的な利益」
中華皇帝へ跪き、
額を擦り付け、
自国からの貢物を献上する「朝貢」により、
中華王朝の冊封体制に入ることができるわけですが、
我、中華こそが世界の中心である!
と自負する中華王朝・中華皇帝は、
貢物の返礼品として
子分である属国に対し、
属国からの貢物の何倍も高価な品を大量に返礼
したそうです。
これは中華思想からくる「メンツが一番」
という思想です。
![](https://assets.st-note.com/img/1669580575028-0aaTkaP4wG.png)
子分から貢物をもらいっぱなしでは
親分としてのメンツが保てない。
というところでしょう。
朝貢する側の属国としては、
自国の懐は痛まないし、
むしろ、
何倍もの高価な品をもらえるので得をする!
つまり、
中華王朝の冊封体制に加入すれば、
属国となる代わりに、
経済的に得をする。
「経済力」を得るということです。
これまた、
朝貢するしかない!
○メリット3
「「国防」問題の解決」
ドラえもんの話ばかりで申し訳ないですが、
ジャイアンの仲間になれば、
スネ夫は殴られることはありませんし、
もし、
スネ夫が虐められた場合には、
ジャイアンが仕返ししてくれるでしょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1669580914253-qu8oPRSBbK.jpg)
これと同様で、
強大な軍事力を持つ
喧嘩の強い中華王朝の冊封体制
に組み込まれ属国になっていれば、
どんな弱小国であろうとも、
中華王朝からは攻められることはありません、
しかも、
中華王朝という親分が
後ろ盾になってくれているので、
他国からケンカを売られたり
攻め込まれる心配も少なくなりますし、
万が一、
ケンカを売られたとしても、
親分の中華王朝様に助けを求めれば
助けてくれるはずです。
中華王朝、冊封体制、
バンザ〜イ!・・・。
つまり、
中華王朝の冊封体制に加入し属国となる事で、
「国防」の問題を解決できるということです。
たとえどんな小国であろうとも、
跪き、床に額を擦り付け、
中華皇帝に貢物を献上し属国になることで、
中華王朝が後ろ盾・ケツモチ・ジャイアン
になってくれるということです。
![](https://assets.st-note.com/img/1669581264293-iqLiKriCPg.jpg?width=1200)
ここまでくると、
朝貢しない方がおかしい!
これが
中華王朝の「冊封体制」
に組み込まれることによる主なメリット3つ、
1、「統治者としての「正統性」の獲得」
2、「「経済」的な利益」
3、「「国防」問題の解決」であります。
次回・・・、
「冊封体制」のデメリットとは?
乞うご期待!