見出し画像

どうしてコロナのせいで学校休みにされなきゃいけないの?

コロナウイルス、世界中でひろまりつつありますね。毎日毎日、怖い暗いニュースばっかり。学校にも行けないし、家にいるのも飽きた。そもそも何で学校を休みにしなきゃいけないの?

今回はその理由について考えてみます。


コロナウイルスのニュースで「パンデミック」という言葉をきいたことがあるかもしれません。

パンデミックとは、新しい病気が世界中に広がること、を言います。*1

コロナウイルスもパンデミックの基準は一応満たしているのですが、まだWHOからパンデミックの宣言はでていません。-> パンデミックの発表がありました!(update)


パンデミックは新型インフルエンザの対策を考えるときにもよく使われる言葉です。パンデミックが心配されるときに、どういう対応をすればいいか、新型インフルエンザを想定してこれまでいろいろと話し合われてきました。

その中で、アメリカのCDC(疾病管理予防センター)が2007年に出した資料*2をもとに、

どうしてコロナのせいで学校が休みになったのか

考えてみましょう。


CDCの作戦

パンデミック対策の大事な作戦の一つに

「病院のシステムをダメにしない」ようになんとかもちこたえる

というのがあります。


病気が人から人にうつるのをなんとか遅らせて、

病院に一気に人が駆け込んで病院がパンクするのを防ぎ、

時間稼ぎをしているうちにできるだけ病院が患者さんを受け入れる準備をすすめておく、ついでにコロナ撲滅の研究もすすめておく、という作戦です。


例えば、

もし明日東京で、一気に1万人がコロナウイルスにかかってしまって、患者さんが病院に殺到したら?病院はどこも大パニックですよね。

どうやってほかの患者さんにうつさないように受診してもらうか、入院して治療しなければいけない重症の人を見分けるだけでも一苦労、どこに入院してもらうか、どういう治療をするか、家族やこれまでに接触した人はどうするか???とてもじゃないけど対応できません。

じゃあもし、同じ1万人がコロナウイルスにかかってしまうとして、明日一気にじゃなくて、4月頃にかけてゆっくり増えていくとしたら?そして3年がかりでゆっくり広まったとしたら?

1日あたり平均10人。それでも多いですが、なんとか対応できる気がしませんか?

4月までにはそれぞれの病院でコロナウイルスへの対応方法が相談できているかもしれません。3年の間に研究がすすんで、かかる患者さんを3000人に減らせるかもしれないですね。

画像1

この絵の「紫」が「明日1万人」、「水色」が「3年かけて」だと思って見てください。横軸は最初の患者さんが見つかってからの日にち、横軸は一日ごとの患者さんの数です。

CDCでは

1.病気が広がるピークを遅らせよう(明日じゃなくて4月まで待って!)

2.病院や設備に一気に負担がかからないようにしよう(みんな一度に来ないで!対策の会議ができるまで待って!)

3.全体の患者さんの数や、社会への影響を減らそう(治療、予防の研究が進むまで待って!)

の3つをこの作戦の柱にかかげています。

画像2

もしこの赤線が病院パンクのラインだとしたら?

病院がパンクしてしまわないように、コロナウイルスの流行を 紫 ー> 水色 に変えるために協力したいと思いませんか?


紫から水色作戦

では紫から水色に変えるには、私たちは何を気をつけたらいいでしょうか?

画像3

同じくCDCが作ったグラフで「横軸が日にち」、「縦軸が何%の人が病気になってしまうか」です。このグラフでは「R0という数字をいろいろ変えてみたらどうなるか」予測してみています。(色が「紫から水色」じゃなくて「赤から青」になってしまいましたが。。。)

何となく、このR0という数字を小さくしたら「紫から水色作戦」うまくいきそうですね!

R0は、病気にかかった人が病気の間に何人に病気をうつしてしまうか、の数字です。

もし私がコロナウイルスにかかってしまったとして、知らない間に学校で3~4人にうつしてしまっていたら?(そしてほかのコロナにかかった人もみんな同じように3~4人にうつしてしまったら?)

ウイルスの広がり方は左端の赤のグラフみたいになってしまいます。うーん、病院パンクしそうですね。

じゃあもし、学校がお休みで、手洗いうがいもして、申し訳ないけど1人にだけうつしてしまったら?(そしてほかの患者さんもみんな万一に備えて気をつけていて、1人だけにうつしてしまったら?)

右の青いグラフに変えられるんです。病院、守れそうですね!


ということで、コロナウイルスが残念ながら身近になってしまった今、

もしコロナウイルスにかかっていた時に、うつしてしまう人を一人でも減らせるようにみんなで気を付ける

のがとっても大切です。その方法の一つとして、今回学校が休みになっています。そして、どうせ(というのも失礼ですが)学校をいつか休みにしなくちゃいけないとしたら、実は早ければ早い方がいいんです。

2月23日に加藤厚生労働大臣もこの「紫から水色作戦」グラフの日本語版を使って説明されていたようです。*3


今回は「どうしてコロナのせいで学校休みにされなきゃいけないの?」かをアメリカCDCのパンデミック対策資料を参考に考えてみました。

次回は、WHOがすすめるコロナから自分を守る方法を紹介する予定です。

ではまた!


***もっと詳しく!*****

今回紹介した「紫から水色作戦」は、アメリカの公衆衛生や生物学の教授陣もTwitter等で#slowthespread(広がるのを遅らせよう) #flattenthecurve(カーブを平らに使用)のハッシュタグで拡散しています。興味があれば、英語の勉強がてら検索してみてください!

***参考文献*****

*1.A pandemic is the worldwide spread of a new disease. WHOのHPより

What is a pandemic? 24 February 2010 https://www.who.int/csr/disease/swineflu/frequently_asked_questions/pandemic/en/

*2. Centers for Disease Control and Prevention:CDC 2007年のインフルエンザパンデミック対策の文書 https://stacks.cdc.gov/view/cdc/11425/cdc_11425_DS1.pdf

*3.日本経済新聞 厚労相「流行ピーク抑えたい」 新型肺炎、拡大の移行期

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55991750T20C20A2CZ8000/

いいなと思ったら応援しよう!