米国J-1ビザ取得のすべて
giriです。今回は備忘録も兼ねて米国ビザ申請の一連の流れについて記します。J-1ビザは交流訪問者ビザとも呼ばれ、研究者等の人材交流のために発行されるビザです。研究目的の場合、有効期限は1年間ですが、最大4回の再申請が可能で、最長5年間の滞在が可能です。米国の大学に所属する正規の学生であればF-1、研究者として正規に雇用される状態であればH-1などの就労ビザが必要となります。ビザ取得まではながーーーい道のりですが、辛抱強くコツコツと書類を揃えていきます。
必要書類
米国J−1ビザ取得のために米国大使館に提出する必要な書類を記します。大使館との手続きは面接を除き全てオンラインで行います。
http://ustraveldocs.com/jp_jp/index.html
1. Offer Letter / Invitation Letter
受入先の所属、教員または学部学科長のサイン、および受入期間が記載され、留学生として受け入れる旨が記載された書類が必要です。ここに記載されている受け入れ期間がそのままビザで許可される滞在期間になるので正確に記してもらってください。私がこれを受け取ったのが留学開始6ヶ月前でした。遅滞なく進めばここから2ヶ月ほどでビザを取得できますが、余裕を持つに越したことはありません。
2. Financial Certificate
現金預金残高、滞在中(受け入れ期間の始めから終わりまで)受け取る給与の総額、その他支給される奨学金などを合計し、滞在中に現地で就労せずとも生活できる資金を持っていることを証明する必要があります。大学から給与を受け取っている場合は大学発行の英文Financial Certificate、その他の機構から奨学金などを受給する場合はその証明書の英訳を受入先および米国大使館に提出します。金額の下限は受入先施設と受入カテゴリーによって異なり、物価の高い地域ほど高額な資金の証明が必要になります(例えば2021年時点でのマサチューセッツ総合病院のResearch Scholarに対する最少額は$31,500/year、UCLAは$26,968/year)。なお、現預金以外の流動資産は不可です。
3. DS-2019
受入先から要求される全ての手続きが完了すると、郵送でDS-2019と呼ばれるJビザ資格書の原本が届きます。渡航準備および留学中の最重要書類となりますので失くさぬようご注意ください。留学期間、タイトル、名前など必要事項に誤りがないか確認し、保管します。PDF化しておくと便利です。
また渡航後にオリエンテーションなどでAdministration Officeに行く機会にこの原本を持参してください。書類の右下にサインを貰うと、J−1滞在中に米国に再入国できるようになります。
4. I-94(オマケ)
これは出入国記録証です。ビザ申請時には不要ですが、渡航後、米国から出国し、再度入国する際に必要です。オンラインドで、自分自身で渡航歴をアップデートします。出入国の際は最新版印刷して持参するのが良いです。
大使館面接
1. SEVIS fee支払い
DS-2019を受領すると、SEVIS Numberという番号が記載されています。この番号を使って米国大使館の面接を予約します。予約に先立ち、SEVIS feeをクレジットカード等で支払います。2021年時点で$220です。
支払いが完了すると受領番号が発行されるので、この番号を使用して大使館を予約することができるようになります。
2. 大使館面接の予約
米国大使館HPでDS-160という申請書を作成します。これは在日米国大使館に対するビザ申請書です。作成には意外と時間がかかります。DS-160も大使館面接を予約する際に必要で、ここでも申請費用を支払います。2021年時点で$160です。この支払い後、ようやく大使館面接の予約が可能になります。DS-160の中で滞在先住所と電話番号を記載する欄がありますが、未確定の場合は大学や研究機関の住所と電話番号を記載して構いません、東京だと赤坂の米国大使館になりますが、平日朝はビジネスマンなどの利用が多く混雑しています。昼間の方がオススメです。
3. 大使館面接へ
さて、ようやく最後の関門です。パスポート原本、Offer Letter、Financial Certificate、SEVIS feeのレシートを持参して予約した時間の前後に大使館に行きます(多少遅れても早くてもOK)。PCは持ち込めないので持参しないか、最寄駅のコインロッカーに預ける必要があります。
空港のようなセキュリティチェックを抜けると面接の待合室に通されます。面接自体は2-3分。主に渡航目的と就労の有無を聞かれます。「渡航先で働くか」という質問、日本の所属から給与を受け取っていると正確な回答が難しいですが、「働かない」が正解です。
面接が終了するとその場でビザの許可がおりますので、パスポートを預け終了です。通常2週間程度でJ-1ビザが貼り付けられたパスポートが自宅に郵送されてきます。
いざ入国
DS-2019に記載され、またJ-1ビザで許可された初日の30日前から渡米することができます。生活に必要な環境を整える時間です。
米国到着空港にて指紋登録をし、入国します。入国審査はDS-2019とパスポートのみで入れます。ESTAは不要です。
入国後直ちに受入先機関のオフィスになんらかの方法で自分が入国したことを知らせる必要がありますので忘れないようご注意ください(受入先期間が滞在者のステータスをアップデートする必要があるため)。
諸注意
副業について
J-1ビザは就労を目的としない交流ビザで、かつ受入先機関と結び付いているので、他の企業でインターン等を行うのは原則不可能です。ただし受入先機関が、訪問目的の達成に必要かつ関連が深いと認める場合は可能な場合があるようです。
保険について
米国ビザ申請の過程で保険に入る必要はなく、また渡航後も加入証明書を求められることはありませんでしたが、事前に留学用の保険に加入しておくことを強くお勧めします。米国の場合、数日間の入院でも破産するレベルの医療費が請求されます。渡航後も現地の保険会社の提供するサービスに加入することは可能ですが割高でした。
なおEU圏内への留学には事前の加入が必須です。
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