さあ、襷を繋ごう!(男子編 その2)
『決戦のとき』
男子チームの県駅伝への出場権は、地区駅伝上位8位までの入賞チーム+前年度の県駅伝で当地区の2チームが入賞し獲得してくれた2枠。
つまり10位までに出場権が与えられることになる。
戦前の分析では、上位3チームの力が抜けているが以下は混戦である。
我が男子チームはその8~10番手の位置にあるが、それは全員が設定タイム通りに走った場合の想定だった。
つまり、全員に完璧な走りが求められる、ミスの許されないギリギリの戦いである。
簡単なコースの説明は「女子編」↓をどうぞ。
我らが男子チームの布陣はこう。
1区(3.4k)→G (3年) せがれ、長距離ブロック、3000m通信大会出場、未完のsmall boy
2区(3k)→H (3年) 長距離ブロック、練習量豊富なお笑いムードメーカー
3区(3k)→I (3年) 長距離ブロック、試合直前によく熱を出す困ったちゃん(Hとはライバル関係)
4区(3k)→J (3年) 元野球部SS、フィジカルモンスター、走るために内緒で減量していた頑張り屋
5区(3k)→K (3年) 110mH通信大会出場、長距離苦手な応援団、父親に駅伝をやれと言われ2年連続強制参加
6区(3k)→F (2年) 長距離ブロック、郡市新人戦800m優勝、内面の敵を克服した負けず嫌いの成長株
とまあこうして見ると、このメンバーでよく県駅伝を目指すと言えたものだと我ながら感心する。
県内トップレベルの選手は疎か、3000mの持ちタイム10分切りは僅か1名。元野球部有り、ハードラー有りの連合軍。
あるのはチームワークと想いだけ。
そんな愛すべき雑草軍団である。
そして戦略はこう。
1区Gで一桁順位に付け、2区H、3区Iの長距離ブロック3年勢で7、8番手を死守し流れを作る。その勢いに乗せて4区の野球部J、5区ハードル勢Kを走らせ、粘らせ、県駅伝出場ラインをキープする。そして最後は成長著しい負けず嫌いFに全てを掛ける。
そして10位以内に入る。
これが思い描いたシナリオだった。そしてこれこそが出場権を得るための唯一無二の戦略だった。
このミッション最大かつ絶対に外せないポイントは、兎にも角にも前半の3人でレースの流れとチームの勢いを作ること。
具体的には8位以内で4区に繋ぐこと。
そうすれば4区5区の助っ人勢に余裕が生まれ楽に走れる。
逆に3区までで10位以下に沈んだら、以降うちに巻き返す力は無く、県駅伝出場は絶望的になる。
それを前半の3人には正直に伝えた。
この2年半、共に成長し、チームを担う存在になった彼らには伝えても大丈夫だと思った。
それを聞くと、
「いっちょやってやりますかぁ~」
と相変わらずの軽さだったが、覚悟は決めたようだった。
そしてスタートへ。
「On your mark...」
一瞬の静寂。
そして号砲一発。
静寂から解き放たれた大歓声の中、33人がうねるように走り出した。
さあ、襷を繋ごう!
つづく
(ちょっ、やっとスタートしたな…。ほんと長くなってスミマセン)