さあ、襷を繋ごう!(男子編 その9)


『総力戦』


レースは最終6区へ。

順位は9位。


今、我がチームの襷とその命運は、2年生アンカーFの肩にまさしく掛かっていた。


Fについては↓を参照。


実はアンカーの人選には一番頭を悩ませた。


出場権争いは毎年必ず秒差の大激戦になる。

そして今年の我がチームは必ずその中にいる。

そんなとき勝負を分けるのは「気持ち」。


こと競り合った時の気持ちの強さはピカイチのF。


そして己の弱さを克服し、成長した今ならと抜擢した。


5区を終えた時点でのタイム差はこう。

7位 ○○中  -33
8位 ◇◇中  -17
9位 我が中  -6←←←
10位 ◎◎中   ±0
----------------------------------県駅伝出場
11位 ☆☆中   +1
12位 □□中   +2
13位 ▽▽中   +4
14位 △△中  +16


予想していたとは言え、県駅伝への出場権争いは恐ろしい程に大混戦となった。


そんな中、1区から5区を走った3年生の想いも、今までの自分も、そしてこれからの自分も、その全てを背負ってFが走っている。

よし、行こう県駅伝へ!!


その刹那


「?!?!」


「誰だ?!」


明らかに次元の違うスピードでFを猛追するランナーがいた。


「Z君だ!何でアンカーなんだよ…」


とせがれが声を上げた。


Z君とは言わずと知れた県内トップレベルの選手。

我がチームの7秒後、11位でスタートした☆☆中のアンカーだ。

大砲をラストに置き、アンカーで全てをひっくり返そうという戦略のチーム。

駅伝の面白さのひとつは、様々な戦略のチームが混在し、その違いを見て取れること。(今そんなこと説明してる場合じゃない)←


「まずい!」と言い残し走り出すせがれ。

「どうした??」と、それを追いかける一同。


スタートして300m。芝生の丘を上り始めたF。
既にZ君に後ろにつかれ、無理にスピードを上げ振り払おうとしていた。


何とか芝生の丘の出口に着いた一同。


「張り合うな!自分のペースで良い!」


めったに大声を出さないせがれが丘の下から叫んだ。

皆も

「無理するな!」

と必死に声を届けようとしていた。


皆の声が聞こえたのか単にキツかったのかは分からないが、その直後素直に前を譲り徐々に離されるF。


せがれ曰わく、
「Fは競りかけられると抜かせまいとムキになって張り合うクセがある。今回はあまりに力が違い過ぎる。無理して競ったら潰される。そしてFはZ君の強さを知らない。」
それがせがれの考えだった。

その考察あっぱれ!&それを的確に伝えたこともあっぱれだ!


そして、そのせがれの意図を皆で共有し、必死に伝えたチームメイトもあっぱれだ!


まさにチーム一丸の総力戦。


よしよし皆凄いぞ。(相変わらずの語彙)


しかしホッとしたのも束の間、一同我に返る。


「あれ?

つか今10位じゃね?

もう抜かれられなくない?」


そう、我がチームは今まさに県駅伝へのボーダーラインの真上。直上にいる。


スチャダラ風に言ったら、「もう抜かれられなくなくなくなくなくなくsay yeah!!」


槙原風に言ったら、「もう抜かれることなんてできないって~言わないよ絶対~」

である。(このくだりいるの?)



さあ、さあ、面白くなって参りました!



県駅伝出場権を賭けたアンカー勝負!



ねぇねぇDoなっちゃうの?



ってそんなバナナで
つづきはまたの機会に…。



さあ、襷をゴールへ!!



つづく。


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