さあ、襷を繋ごう!(男子編 その6)
『G+H+I=?』
3区はI。
走力は2区を走ったHと互角。
センゴも三千もベストタイムはほぼ同じ。
そして2人共に地区大会3000mではあと一歩のところで予選敗退という悔しさを味わっていた。
そんなIはよく熱を出す。
良い練習を積んで期待を持って挑めるはずの大会、記録会の直前に熱を出すことが何回かあった。
実際、前哨戦である郡市駅伝の前にも熱を出し、何とか間に合わせ走った程である。
そんなこともあり、この地区駅伝前のチームミーティングでも議題に上がった「Iの熱発問題」。
プレッシャーに弱いからじゃないか?とか、知恵熱じゃないか?直前は頭を使うなとか、皆で対策が練られるほどの懸念事項であった。()
そんな中、とにかく無事Iが走り出してくれて安心していた。
さて、3区は難しい区間だ。
繋ぎの区間と捉え主力を温存し凌ぐチームと、チームのテコ入れのため主力を投入するチームとが混在する。
時にペースが大きく違う選手と走り、その中で自身のレースを組み立てなくてはならない。
我がチームは圧倒的に後者である。
いや、テコ入れとかそんな生易しいものではなく、
「戦力の逐次投入は愚策中の愚策!」
とばかりに、ただただ頭から速い順に3人並べてある。
というか、それしか策が無かったのだ。
この3人は勝機を見い出すため敵陣深く斬り込む先鋒隊。
突っ込んで行っては陣地を切り取り補給路を確保。そして後方部隊を支援し士気を高める。(急に何言ってんだ?)←
凌ぐも立て直すもなく、もうとにかく行くしかないのである。
その3番手がI。
Iの調子は走っているときの肩の位置を見れば分かる。
早々に肩が上がって来るときは不調。それがなかなか出ないときは好調である。
この日は……
それが一切出ない!
絶好調である!
何よりもテンポ、リズムが良い。
凄い、凄いぞ!
1人、もう1人と交わし、気が付けは6位。
マジ凄いぞ!!()
終わってみれば2人抜きで区間6位の快走。
(熱発心配とか言ってごめんなさい)
ありがとうアッイ!
ナイスラン!
(ちなみにこの日はIがHに4秒勝った)
「1区せがれで好位奪取。2区3区の好敵手コンビで8位以内を死守」、というタスクを補完し合いながら見事に遂行して見せた3人。
それどころか、予想を上回る6位で襷を持ってきたこと。
2年前、先輩達の悔し涙を見ていた、あの小さかった3人が大きく成長し、完璧なまでにその役割を果たしてくれた。
成長!成長!凄い成長!(語彙力)
「G+H+I=凄い!!」←
チームの勢い、流れ共に最高潮。
そして襷は4区J、5区Kの助っ人勢2人へと繋がっていく。
レースは混沌怒涛の後半戦へ…。
さあ、襷を繋ごう!
つづく。