おっさんがガチの陸上大会に出場しようと思った話。完結(レース篇)
前話練習篇は↓↓↓です。
4月17日、第50回柏崎陸上競技選手権大会開幕。
おっさんが出場する1500mは4月17日、5000mは翌18日です。
この大会は小学生から社会人までが出場でき、もちろんおっさんがお手伝いしている中学の陸上部の子らも出場します。
彼ら、彼女らと同じ舞台で走ることを願い、それが実現したことが何より嬉しく、それと同時に下手な姿は見せられないと気が引き締まりました。
第1日目、1500m。
レース当日は生憎の雨。おっさんの出場する一般・高校1500mはこの日の最終種目。ですが、中学生の走りを見るために朝から競技場に。
が、とにかく寒い。
気温14℃の発表も、寒気の影響で北から吹く風と冷たい雨のせいで体感気温は3、4℃低く感じました。
中学生のテントに顔を出すと、子供達は既にびしょ濡れで寒さに震えていました。
これは大変な1日になるなぁ…と覚悟を決めます。
レースの4時間半前に昼食を済ませます。
1500mはマラソンと違い、短時間に恐ろしい程の身体的負荷が掛かるため、胃に未消化物があると逆噴射リバーs…以下略。
招集開始1時間20分前にウォーミングアップ開始。
少しでも雨を避けようと潮風公園のウッドチップで行いましたが、雨が強過ぎて結局どこでやっても変わりませんでした。
肩甲骨と股関節周りのダイナミックストレッチを10分。その後15分ジョグ。スキップ系ドリルを10分。100m流しを4本。最後にレースペース付近で600mを1本走り最大心拍数付近まで一回上げました。これを行うことでレース序盤での心肺の応答性が良くなるような気がするような気がしないでもないです。(どないやねん)
これでおおよそ50分掛かります。
アップを済ませた後、一度控え所に戻り濡れた体を拭きます。
そしてレース用のウエアに着替えてシューズを持って招集所へ向かいました。
レースウエアは黒のシングレットに今流行のハーフタイツ。そして白のキャップ。シューズはGENTEN-EL。
1キロくらい向こうから見たなら誰がどう見ても勇馬か大迫。
「格好」は良いです。
さて招集所へ行くとスケジュールが押しているのか、まだ2つ前の女子1500mの招集をしていました。
それにしても招集所は独特の緊張感。
これから1500mを走らんとする人達の膨大なエネルギー。みな満タンに充填されているそれを、なだめているような、押し殺しているような、そんな不思議な空間でした。
「オラ、ワクテカしてきたぞ!」(悟空)
程なく招集が始まり、ゼッケンと腰ナンバーの確認をします。
一般の我々は腰ナンバーを持っていないため、主催者の物を借りて付けました。
無事招集完了。
その後スタート地点のテントに移動します。
まだ女子の最終レースが行われていました。
おっさんが出場する1500mは第2組。次の次です。
やはり雨は降ったまま。
最早諦め、レースシューズに履き替えます。
頼むぞGENTEN。生憎の雨でも鉄の200倍の強度を持つという結合炭素原子素材グラフェンを配合したお前のアウトソールならいけるはず!(DESCENTEさん何かください)
そして1コーナーから2コーナーの間で軽くジョグと流しをしました。
女子のレースが終わりテント前でラストコール。
氏名、ゼッケン、腰ナンバーの最終確認。
一気に気持ちが高まってきます。
招集・スタート地点への移動・ラストコール。その一連の流れの中で徐々に高まる気持ち。どこか相撲の仕切りに似ているなぁ、などと思いながらウインドブレーカーを脱ぎました。
前の組の最終走者がラスト300mに入り、目の前を通過する。
「第2組の選手はスタート位置にお願いします。」
ぞろぞろ集まり出す高校生(と、おっさん×1)。
そして
「流しを入れて良いですよ。」
その声を受けて次々に走り出すライバル達(高校生)。
おっさんも姿勢とポジションを確認した後、ゆっくりと、でも速めの流しを60mくらい入れ、バッと振り返ってスタート地点に戻りました。
さあ、行こう。
舞台は整った。
「On your mark」
・・・
「あ、そこの人ライン踏まないで!」
・・・おっさんでしたwwwごめんなさい。
仕切り直して。
「On your mark」
「バーン!」
一斉に走り出した18人。
とまあ、それは次回の話…。
って嘘です嘘ですごめんなさい!今日で終わらせますから!www
走り出した18人のシューズがトラックのゴムを噛む何とも形容しがたい独特の音。
もちろんおっさんの足音もその渦の中にあって何か不思議な感覚。
体は軽い。しかし出力とスピードとのバランスとかは全く分からない。
気がつくと100mを通過し3コーナー入り口。ポジション争い。
順位は6~7番手。少し肘を張りながらポジションを確保しつつ、ポケットされない内から3番目、2レーンの内側を取る。
そして4コーナーから直線へ向きメインスタンド前へ。
ここは普段なら向かい風になる部分だが今日は無風だ。
パラパラと応援の拍手が聞こえた。(感染症対策から声出し応援はNG)
前の高校生に付きペースをはめる。
ゴールラインを過ぎ300m通過。タイマーは56秒辺りを指していた。
程なくして1周400m通過。74.7秒。少し速いが行くしかない。
大切なのはここからの2周目3周目。
その頃になっても集団は2列。おっさんは外側6番手。スッと流れている。
600mくらいから呼吸が上がって徐々にキツくなる。
そんな2周目のメインスタンド前を通過しようとしたとき、急に拍手が大きくなる。
何だ?と一瞬目を走らせると、そこにはうちの中学の子供達が5~6人くらい。
中には大声で「ギリさんファイトー!!」と叫んでいる子もいた。
ありがとう!応援ありがとう!でも大声あかん!あかんけど嬉しい!本当に嬉しい!!
嬉しいけど隣りの人と距離を取れ、前を向け、マスクをしろ!!
その一瞬で様々な思いがよぎったが、恐ろしいくらい力がみなぎったのは確か。
「応援、それはエネルギー。」
後で先生に怒られるかもだけど、俺も一緒に謝るよ。サンキューみんな!
応援をもらい気持ち新たに前を向くと、普段子供達に言っている言葉が頭をよぎる。
「キツくなったときほど姿勢を良く、骨盤と前傾の角度を保って、眠ったように走れ」
(最後が分かりにくいけど感じてください)
しめしめ、勝負はここから、よし行くぞ。
800mを通過、2分32秒1。
2周目ラップタイム77.4秒。
キツい、かなりキツい。それでも行くしかないんだ。
950mくらいで前の選手がペースダウン。
でもそれに付き合うことはしない。
一気に抜いて前に出たところで「1000m通過3分9秒!」というアナウンスが聞こえた。
先頭が3分9秒ならおっさんは3分11秒くらいか。
そして3回目のメインスタンド前。俄然キツくなってきた。
呼吸は荒れ、脚は重く、腕も痺れてくる。
するとまたうちの中学生の大応援!
てか、さっきよりスケールアップしてますやん!人数増えてますやん!!
さっきまで「キツいし、もうスピード緩めちゃおうかしら...」
なんて考えていたおっさんなのに、やんややんやの大応援に一気にパルス逆流。
「シャオラー!中年の生き様見とけよー!」とばかりに気合いが入る。
順位は5位。先頭がラストスパートに向けてタメを作ったのか、おっさんまで5人が一団となる。
「カンカンカンカン!!」
そしてラスト1周の鐘が鳴る。
あの鐘が聞こえたときの高ぶりときたら凄い。超高まる。(語彙)
「トップ取ったらぁ!!」
なんて思ったその刹那、先頭が一気にスピードを上げる。
少し離れた。が、ここで追ったらおっさんが最後までもたない。
1200m通過、3分50秒8。
もうキツい、脚モゲそう、腕が麻痺ってきた。
それでも前へ、前へ。
先頭との差は縮まらない。
そのまま3コーナーから4コーナーへ。
残り150m。
『ラストスパートで切り替えたかったら腕を大きく、速く振れ。』
いつも軽々に子供達に言っていること。
それを体現するときが来た。
しかしこれが恐ろしくキツい。何よりキツすぎてその勇気が出ない。怖い。
そもそも、もう脚なんか動かないし、腕だって麻痺ってんだもん!無理だもん!!
「あぁ、俺何やってんだろ...。ここまで頑張ったし、もう良いじゃん。」
そんな気持ちが99%。
でも、
「違う!!ここで諦めたらお前の負けだ!誰よりも何よりも自分に勝たんかい!」
「動けぇぇーー!!動かんかぁぁぁーーーー!!!」
ウインドノーツばりに振り絞った。
きっとその割にはほんのちょっとだけしかスピードは上がってないの。
それでも最後の直線に向かう手前で一人を捕らえ4位へ。
ラスト100m。
最早、順位やフォームや格好、そして子供達の応援も、もう何も分からない。
ただ腕を振り、脚を動かした。
もげ落ちそうな手脚を、脳からの指令ではなく魂で動かした。(何言うとんねん)
心臓と肺は捻り潰され、気管は空気摩擦で血が出そう。(出てはいない)
そしてラスト50mで意識が飛びそうになった。
色で言ったら白。真っ白。
エヴァでいったらプラグ深度マイナス。精神汚染ちょい手前。(知らんけど)
そうしていると脳と体が分離したのか、最後は呼吸の音しか聞こえなくなった。
ハァハァ、ハァハァ…。
そして気がつくとゴールしていた。
『おめでとう』
そんなリツコさんの声が聞こえた気がした。
そして応援してくれたみんな、心からありがとう。
【第50回柏崎陸上競技選手権大会】
一般・高校1500m 第2組4位 4分47秒90(総合70位/98人中)
という成績を残しておっさんの1500mは終わった。
次の日の5000mは悪天候のため大会が中止。
こうしておっさん初めての公式戦は幕を閉じたんだ。
感想
センゴは超かけっこ!超楽しい!絶対また出る!!
走った後、何人かの人から「凄かった」とか「格好良かった」、「刺激をもらいました」って声を掛けてもらえたこと。何よりも嬉しかったです。
そして中学生とおっさんの距離が少し近づいた、そんな1日になりました。
最後に、大会を開催していただいた関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
ありがとうございました。
おわり