代表的なケトルベルトレーニング
みなさんこんにちは。ケトルベルリフターの渡辺陽介です。「ケトルベルスポーツの記録を伸ばすためにトレーニングをしたい!だけどどうやれば良いか分からない!」っていう方多いと思います。本日はそういった方に向けて、ケトルベルスポーツの代表的なトレーニング方法を5つご紹介いたします!
その前に、ケトルベルスポーツのトレーニング法について簡単にご説明いたします。ケトルベルスポーツのトレーニングは、通常ジムで1番最初に教わるような「10回×3セット」ようなボディビルタイプ、ボディメイクタイプのトレーニングとは異なります。ケトルベルスポーツのトレーニングは、マラソン競技や競泳のインターバルトレーニングのように「時間」と「ペース」を決めて行います。もちろんケトルベルの重量を変更してトレーニング強度を変えることもありますが、やはり時間とペースによってトレーニング強度を変えることが多いです。ウェイトを使用したレジスタンストレーニングの強度は「時間×挙上回数×挙上重量」として求めることができます。ジムでの運動では、特にこの挙上重量を変えて、目標達成に向けたトレーニングを遂行することが多いと思います。しかしケトルベルスポーツのトレーニングの場合は、「時間」と「決められた時間の間に何回挙上するか(ペース)」を変えながら、トレーニングを遂行します。
さて前置きが長くなりました。これから代表的なトレーニングを5つ紹介いたします。そのプログラムの難易度を5段階で紹介いたしますが、それはケトルベル重量を全て同一と仮定した場合の難易度となっております。ちなみに時間表記の単位は、分(′)、秒(″)です。
①1'×10セット 難易度★★★★⭐︎
こちらは1分の短いセットを10セット行うというものです。1セットあたりの時間が1分と短いので、その分1セットあたりのペースをあげる(挙上回数を増やす)ことができます。1セットあたりの時間が短いので初心者にも有効ですがそれは1セットあたりのペースが遅い場合に限り、ペースを上げてこのプログラムを行う場合は難易度は想像を絶するような難易度になります。かのロングサイクルの世界チャンピオンのデニス・ヴァシレフは「もっともハードなトレーニング」と言います。具体的には、1セットあたりのペースが競技時のペースと比較して200%を超えるあたりから難易度が跳ね上がります。このプログラムをスナッチで行う場合、1分で競技時の200%の挙上回数を超えるペースで行うことは時間制約上あまり無いのでそこまで難易度が上がることはありません。しかしジャーク、ロングサイクルの場合は200%もしくはそれ以上で行うことができるのでその分難易度を上げやすいです。難易度を下げる場合、ペースを変える他にセット数を減らしたり、休憩時間を長くするなどの方法もあげられます。初心者の場合は運動:休息比が1:2になるように、具体的にはセット時間1分に対して2分の休憩で5セットから始めると良いでしょう。ペースは150%くらいを意識するといいと思います。上級者は休息を1分まで短くし7〜10セット、ペースは180〜200%くらいでやると良いです。以下が10分でロングサイクル50回を目指すアスリートがロングサイクルトレーニング行う場合の具体例です。
初心者の場合
1'×5セット 7レップス(目標ペースの140%)
休息 2分(運動休息比=1:2)
中級者の場合
1'×6〜7セット 8レップス(目標ペースの160%)
休息 1分30秒(運動休息比=1:1.5)
上級者の場合
1'×7〜10セット 10レップス(目標ペースの200%)
休息 1分(運動休息比=1:1)
②4'3'2'1' 難易度★★★⭐︎⭐︎
セット毎に時間を短くする方法です。最初のセットは4分から始まります。第2セットは3分、とセット毎に1分ずつ短くしていく方法でこちらも非常に人気があるプログラムです。全セットを通じてペースを維持するようにしてトレーニングしても良いですし、時間が短くなるにつれてペースを上げるようにトレーニングすることもできます。具体的な例は以下のとおりです。この具体例では10分でロングサイクル50回を目指すアスリートを例にしております。
1 4' 目標ペース(100%)
20レップス (5,5,5,5)
2 3' 目標ペースの120%前後
18レップス (6.6,6)
3 2' 目標ペースの150%前後
14レップス (7,7)
4 1' 目標ペースの200%前後
10レップス
このプログラムでは全セットを通じて異なるペースでトレーニングが出来るので、異なるエネルギー供給機構にトレーニング刺激を与えることができます。また呼吸系や運動のリズムも変わるので、幅広く有酸素性持久力をトレーニングすることができます。慣れないうちや、重たいケトルベルでトライする場合はインターバル時間を長くとります。前のトレーニング時間に対して150〜200%の長さの休憩をとるようにすると良いでしょう。前のトレーニング時間に対して同程度、もしくはより短い休憩の時間の場合は、乳酸性作業閾値でトレーニングすることになり乳酸除去能力が高まったり、高心拍数帯でも粘り強くリフティングをする耐久力が身につきます。ただしかなりの高難易度のトレーニングとなるので熟練のケトルベルスポーツアスリートにのみすすめることができます。
③1'2'3'4' 難易度★★★⭐︎⭐︎
セット毎に時間を長くする方法です。
1 1' 目標ペースの180%前後
8レップス
2 2' 目標ペースの150%前後
14レップス (7,7)
3 3' 目標ペースの120%前後
18レップス (6.6,6)
4 4' 目標ペース(100%)
20レップス (5,5,5,5)
このプログラムでは後半になるにつれて徐々にセット時間が伸びるので、それにあわせて徐々にペースを落としていきます。実際の競技でも、疲労する後半はペースを落として出来る限り長く、出来る限り多く粘り強くリフティングする必要があります。まるでそのようにトレーニングすることができます。
④ 1'2'3'2'1 難易度★★⭐︎⭐︎⭐︎
セット毎に時間を1分ずつ伸ばし3分セットまで伸ばしたら後は時間を1分ずつ短くする方法です。
1 1' 目標ペースの180%前後
9レップス
2 2' 目標ペースの150%前後
14レップス (7,7)
3 3' 目標ペースの120%前後
18レップス (6.6,6)
4 2' 目標ペースの150%前後
14レップス (7,7)
5 1' 目標ペースの200%前後
10レップス
このプログラムは最長でも3分とあまり長くないので、他のプログラムと比較すると難易度は易しくなります。他のプログラムの合計時間が10分もしくはそれ以上に長いのに比較して、こちらは合計時間が9分なのでやはり難易度は易しくなります。しかしその分ペースを早くしたり、休憩時間を短くするととても強度の高いプログラムに変わります。以下がこのプログラムの強度を底上げした具体例です。
1 1' 目標ペースの200%前後
10レップス
2 2' 目標ペースの160%前後
16レップス (8,8)
3 3' 目標ペースの150%前後
21レップス (7,7,7)
4 2' 目標ペースの160%前後
15レップス (7,8)
5 1' 目標ペースの220%前後
11レップス
⑤ 1'2'3'4'3'2'1 難易度★★★★★
④のプログラムとよく似ていますが難易度は桁違いです。セット数も2セット多く、さらにトータル時間は7分も長く、④のプログラムをさらに高強度にしたようなものです。このプログラムはケトルベルスポーツのHMSアスリートのひとりであるセルゲイ・ルドネフによって考案された、最高強度のトレーニングのひとつです。セット時間の合計時間が16分にも及び、実際の競技時間の160%にあたります。そのため競技時間を上回るようなペースで行うことはあまりありません。むしろ競技時と同程度のペースで行うことが多く、実際の競技時の疲労具合やペースを再現し想定してトレーニングします。このプログラムを運動休息比を1:1で、競技時のペース、もしくは目標とするペースと同程度で完遂できた場合、目標達成はすごく近くにあると言っても差し支えないでしょう。
いかがでしたでしょうか?ケトルベルスポーツを始めたばかりの頃は、ケトルベルスポーツのトレーニングプログラムの作成に悩むと思います。そのような時は、ぜひこの記事を参考にプログラムを作成してみてください。これ以外にたくさんプログラムはあるので、また次回以降紹介できたらと思います!
またトレーニングプログラム作成も行なっております。プログラム作成に悩んだら是非ご相談ください!ケトルベルスポーツ界では、トレーニングのプログラム作成は別のアスリートに依頼することが一般的に行われており、私もロシアチャンピオンでMSアスリートであるイワン・ドミトリッチのプログラムを定期的に受講しています。やはり自分自身でプログラムを作成すると、知らず知らずのうちに難易度を下げがちになってしまいます。しかし誰かに依頼した場合はそれを防げるのでやはり記録が伸びやすいです。是非自分に合うコーチを見つけてプログラム作成を依頼すること一度はおすすめいたします!
渡辺陽介
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