レコード棚を総浚い #6:『THE ALAN PARSONS PROJECT / VULTURE CULTURE』
ポップ路線を継承したアラン・パーソンズ・プロジェクトの8thアルバム。
凝ったスタジオワークではなく、端正で明快なシンセロックとなっている。
日本盤ライナーノーツには天辰保文さんの充実した考察が寄せられている。
北海道新聞の夕刊に週一で掲載される天辰氏の洋楽紹介コラムは、どんなネットメディアの情報よりも僕の気持ちにしっくりくるもので、本盤のライナーノーツも非常に興味深く読んだ。(北海道新聞は天辰氏のコラムを書籍化すべきだと思う)
アラン・パーソンズと並べて、ピーター・ホーク、マルコム・マクラレン、トレヴァー・ホーン、ジョルジオ・モロダー、ブライアン・イーノ、ナイル・ロジャースなど、いわゆるプロデューサーのプロジェクトとは、レコード制作による表現の可能性の拡張であるという指摘は、実に腑に落ちる。
ポップ音楽の元々持っているクロスオーバー性が、多様化や複雑化を誘発させているとの考察は、ニュー・ウェイヴやビデオ・ミュージックの登場の背景としても時期的に符合するだろう。
職人的手腕というキーワードで括られることが多い、プロデューサー型ミュージシャンの作品から「ポップ音楽に対する新しいコンセプト」を感じ取れるかは聴き手次第であるとの天辰氏の警句は心に刻んでおこう。
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