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  • 3分で読める眠りにつく前の話

    眠たいけれど、あと一つ何か読みたいあなたへ。

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3分で読める寝りにつく前の話

「お手本」 伝票に触れた瞬間、しまったと思った。 家から徒歩3分のスーパーは、小さいけどカフェや理髪店、アイスクリームショップにクリーニング店まで並んでいる。ここに来ればいっぺんに用事が片付くので助かっている。 しかし今日は天下の日曜日。しかも五月晴れだ。早起きして、シャワーを浴びて、爪も切って、カフェのテラス席でブランチと洒落込んだお会計のその指先で、スーツの引き取り伝票に触れたくはなかった。コツコツ積み上げた前向きな気持ちが一気に崩れてくる。 上司からの仕事の指示

    • 3分で読める眠りにつく前の話

      『ホットドッグ』 給食にソーセージとパンが出ると、子どもたちはせっせとホットドッグを作る。パンの背が割れていて、ボイルしたソーセージがあり、ホットドッグの存在を知っていれば自然とそうなる。 でもその日はちょっと様子が違った。パンは一口サイズにちぎって食べるのが上品なんだ、という話がどこからともなく湧き上がり、あっという間に広まった。皆、はさむのはやめにして、一緒に口に入れるつもりらしい。7つで上品を目指すなんて、我がクラスの子供たちは大したものだ。 食べ始めると「ホット

      • おかしいのは私、なのか?

        かつて小学校に先生として勤めていた頃のこと。 日頃はしないような仕事が目白押しの年度末(3月の後半)が、あまり好きではありませんでした。パソコンに向き合う作業時間が増えるし、莫大な時間を会議に費やすことになるし、何より、子供たちのいない学校はガランとしていて寂しいのです。あるいは、職員同士の関係性がイマイチだと、コミュニケーション不全を理由に疲弊させられることになる。今回はそのあるいは、の部分のお話です。 学級編成や書類の入力・整理に忙殺されるなか、次年度の体制に向けた準

        • 3分で読める眠りにつく前の話

          『前方車両』 毎朝の通勤には車で40分ほど時間がかかる。それには慣れっこなのだが,交通量の多い道を通るので,時折ひどい渋滞に遭遇する。今朝も”アタリ”だった。信号が青に変わっても周囲の車両は道に縫いつけられたように動かない。ギアをパーキングに入れて気持ちをノンビリモードに切り替えた時,それは起こった。 前方の車のドアが開き(これはまぁ時々見る)しかも降りたドライバーがこちらに駆け足で近づいてきたのだ。(これは初めての経験だ)髪に幾分白いものをが混じった初老の男性は,両手を

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        • 3分で読める眠りにつく前の話
          7本

        記事

          その言葉,本当に相手を「心配」していますか?

          ※当然ですが以下全て私見です。一例としてお読みください。 コロナ禍において両親は今まで以上に私に電話をかけてくるようになった。 「不用意に出歩いていないか?」 「ちゃんと毎朝検温をしているか?」 「マスクや日用品は十分に備えてあるのか?」 以前から過干渉な所のあった母は特にその傾向が顕著で,休日などは頻繁に電話を寄越して一つ一つの行動に対して意見してくる。やめておいたら?今日でなくてもいいんじゃない?と。 感情的な側面を思えば親心ゆえの心配は理解できる。いくつになって

          その言葉,本当に相手を「心配」していますか?

          ダウンアップ

          私の失望を語るにあたっては、自分自身の一側面として「緻密さがない」ことを、正直に告白しておくべきだろう。 先日、とある自治体の教員採用試験を受験した。 試験には一次試験と二次試験がある。一次は筆記試験であり、二次は面接と実技が執り行われる。運も味方して一次を通過した私は、面接の機会を得た。ドアを開けると3人の面接官がおり、事前に提出した履歴書に沿って面接が始まった。履歴書の表には経歴、裏には志望動機などが書かれている。面接中にメモを取ることがあるが、気にせず受け答えをするよ

          ダウンアップ

          食らいつけ!特大の釣り針

          テレビやSNS、流れゆく会話の中には(無視すれば良いんですが)どうしようもなく反発したくなるものが、時折あらわれます。それらを見聞きした時には「思考力…たったの5か…ゴミめ…」と心の中でつぶやいて私憤をおさめ、落ち着いた心持ちで生きていきたいものです。まぁ、釣られるんですけど。今日はその中でも、特大の釣り針を紹介していきます。 1「女の子って甘いもの好きだから」 まさか味覚という個人の好みを性別によって一般化するとは驚きです。あまつさえそれを口に出してしまう愚劣さが恥の上塗

          食らいつけ!特大の釣り針

          米津玄師×UNIQLOの実現した世界で

          喜ばしい衝撃2020年8月14日、米津玄師とUNIQLOのコラボTシャツが発売された。 SNSを追うと、公式オンラインストアでは朝8時頃に販売が始まっていたようで、購入できた人の喜びやサイズがない人の嘆きの声があふれていた。私は近所の実店舗に向かった。開店1時間前に到着したが店の前には既に30人ほどの人が並んでおり、お祭りに似た高揚感を微かに感じた。 さて、UNIQLOはコロナ感染リスク、あるいは熱中症リスクの軽減のためか、本来の開店時間よりも30分早く店を開けてくれた。

          米津玄師×UNIQLOの実現した世界で

          3分で読める眠りにつく前の話

          本屋でプラプラするのはとにかく楽しい。雑誌を眺めているだけでも新鮮な刺激を受けるし、すでに持っている本を見て手を伸ばしたりもする。 あれ、これ表紙変わったのか。前の方が好きだったな、なんて家にある本を自慢に思うのも乙な楽しみだ。あるいは耳に飛び込んでくる会話も良い。 「この漫画新刊出てたんだ」「あれ、まだ買ってなかったの」とか 「これ読んだことある?」「いやない」「めっっっっちゃ面白いよ」とか 「こっちの本にしたら?」「(無言で首を振る子)」とか やっぱり子供は常識

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          冷凍餃子議論に思うこと

          ツイッター上での議論が2、3日遅れでニュースに取り上げられるのは恒例になりつつある。2020年夏には、冷凍餃子を食卓に並べたところ、手抜きだ、と夫から指摘された家庭での一幕が選ばれた。 このツイートが出る少し前にポテトサラダを作る、作らないという議論もあった。 “プロ”である味の素まで登場した議論は、賛成派優勢のまま終息に向かっている。議論の内容をざっくり分類するとこんな感じだ。 ①冷凍餃子を出した妻は、子育て中で、しかも体調が悪かった。 (体調に起因する、共感性の議論

          冷凍餃子議論に思うこと

          なんてこった!これが無料とは。今すぐ読め!

          漫画の読み方は10年前とは比べものにならないくらい進化しています。 レンタル、漫茶、電子版にウェブ。試し読みや無料公開も増えて、そこには新時代の才能が集結しています。ここではウェブ上で見つけた無料漫画で衝撃的・感動的に面白かったものを紹介します。タイトルにリンク貼ってるよ。 ①俺は沢口靖子のことを何も知らない タイトルからは想像もつかないほどドラマティックな作品。1話完結なのですぐに読み終われます。単純なラブコメかと思って読み進めましたが、作品メッセージの奥深さに鳥肌が

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          3分で読める眠りにつく前の話

          「なんとなく勝負」 東京の築地市場が豊洲へと移る前の夏。 築地という名があるうちに海鮮を食べておきたいという話になり、友達と朝10時ごろに駅に集まった。下調べはしておらず、志村けんゆかりの店で卵焼きを食べたり、コンビニでカルピスを買ったりしながらぷらぷら歩いた。天気が良くてじりじり暑いが、たくさんの人で賑わう町のパワーを感じる。 正午前、狭い路地にある一軒の店に入ることにした。カウンターとテーブルを合わせても20人も入れないくらいの手狭なお店だが、メニューにはうまそうな写

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          なりたくてもなれないアシタカ

          映画館でもののけ姫を見た。 ジブリの中でも最も好きな作品である。名言のオンパレード、神がかり的な超常現象とその表現、生死に向き合う登場人物たち…どれも好きだが、やはりアシタカの存在感は格別だ。彼のようになりたい。決してなれないだろうが、彼の凄まじさを追うと憧れは募るばかりだ。 1.呪いと向き合う男 アシタカは呪いを解くために村を旅立つが、そもそも呪いとは何なのか、どうして発生するのか。冒頭のタタリ神(ナゴの神)についてモロと乙事主が話すシーンにヒントがある。 「やつ(タ

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          明らかになり始めた感動の皮を被った暴力

          新R25というウェブメディアがある。 youtubeチャンネルもあるのだが、そこで先日公開された動画内で、非常に的を射た批判に目からウロコが落ちた。実体験を元に「感謝と感動ポルノの違い」を話している写真家・幡野広志さんへのインタビュー記事も素晴らしく、noteに書きまとめたいと思ったのでここに記す。 「感動ポルノは反撃を許さない暴力」シビれた。長年の違和感がスッキリまとめられている。 感動ポルノの定義としては 【困難な状況にある人を「感動の材料」として消費してしまうこと】や

          明らかになり始めた感動の皮を被った暴力

          “ぼく”はヨルシカの何を聴いているのか

          ヨルシカの新しいアルバム「盗作」が発売されて一週間ほどが経つ。 youtubeでトレイラーを聞いた時から楽しみにしていたが、CD全編を通して聴くとまた格別に好きだと感じる。音が邪魔でエアコンすら消した闇の中、スピーカーに耳を傾ける。あまたある音楽の中でヨルシカの何に惹かれるのか考えた。 たぶん、失望だ。心からの失望を聴いている。 02昼 鳶ーつまらないものだけが観たいのさ 04爆弾魔ーこの日々を爆破して心ごと爆破して 10思想犯ー他人に優しいあんたにこの孤独がわかるもの

          “ぼく”はヨルシカの何を聴いているのか

          絶望してないで努力しよう

          非常に遅まきながら話題になっていた本を読了した。その本とは、 「the four GAFA −四騎士が創り変えた世界−」である。非常に有名な話だが、google, apple,facebook,amazonという世界的な影響力を持つ大企業を指して、頭文字を並べたものをGAFAと呼ぶ。本書ではこれらの強大な力を持つ企業を騎士になぞらえている。ここでいう騎士とは、ヨハネの黙示録に登場する、地上の人間を殺す権威を持つ者たちであり、4企業の持つ力の強大さを示している。 タイトルにあ

          絶望してないで努力しよう