2030年の世界地図帳
落合陽一 著
単行本: 352ページ
出版社: SBクリエイティブ (2019/11/14)
言語: 日本語
ISBN-10: 4797399953
ISBN-13: 978-4797399950
発売日: 2019/11/14
※以下、自分が気にとまった文章の単なる抜粋の列挙です。
ある1つの目標についてでも、各国がその中でローカライズして落とし込んで取り組むことで、目標の実現可能性が高まるように思います。その時に1つの世界の問題について話せる共通言語、共通の目的として、SDGsは役に立つことでしょう。
これから多様な働き方や学び方をしていく中で、世界各国の人と共通言語を持って、また同じ言葉でしゃべれるテーマを持って自分が価値あると考えるものに励んだり考えたりしていく事は、これからの時代を生きていくすべての人にとって、とても大切なことだと思います。
2016年から2030年の成長率予測
1位はインド、2 位はベトナム、第3位はバングラデシュ。
情報テクノロジーを始めとしたテクノロジーの未来を予測することは、来るべき社会を支配する構造や権力の源泉を予測することでもあるはずです。
2018年の5in5
ドイツで2011年に発表された インダストリー4.0 という政府によるハイテク産業推進プロジェクト
昆虫食など今後のイノベーションが期待される分野が多くあります
医療分野の技術革新によって、現在の死亡要因の最上位であるがんは2050年代までに根絶されると考える専門家もいます。
2035年前後には地価の大暴落が懸念されています。
職人技のものづくりやブランド価値のような付加価値を高める方法論は、SDGsの目指すところである働きがいや経済成長と、労働負荷や環境負荷の低減を同時に行っていく考え方と非常に親和性が高いともいえるのではないでしょうか。
サービス業はローカルな人材が行う必要があるので、国内に雇用は残るんです。企業が多国籍化したときに、先進国の中間層は最も代えがきくので中抜きされてしまう。上と下が残って真ん中が消える。これが、先進国の中間層が没落した大きな要因です。
ゲームの中では参加条件を揃えられるような社会ができているのに、じゃぁゲームの外ではどうかと言ったら、前提条件はほぼ揃えられない社会になっている。そんな中である一定以上の前提条件による能力値を持っていると、多分、社会がよりゲームっぽくなるのではないかと思っているんです。
鍵を握るのはサービスだと思うんです。アイテムは転売できるけれど、サービスは転売ができません。
特に「サブサハラ」と呼ばれるサハラ砂漠以南(南スーダン、中央アフリカ、コンゴ)といった地域の経済状況は、1980年代からあまり改善されてきていません。
ケニアで普及している電子マネー「Mぺサ」
近年新たに問題になってきているのがギグ・エコノミー(誰でも簡単にできる安価で保証のないフリーランス業)と呼ばれる短期の仕事による貧困です。
格差が長期間にわたって固定されると階級が生まれ、やがて国民が分断されることにも往々にしてあります。一説によれば、アメリカのトランプ大統領の当選や、イギリスのブレグジットの背景には、こうした格差の固定による階級間の進行があると言われています。
最初はよくても、長期政権になると結局、独裁化してしまうという、ちょっと残念な感じになってしまいます。
農産物や畜産物などを生産する際には、実は多くの水が使われています。その不可視の水資源のことを「バーチャル・ウォーター(仮想水)」と言います。
1990年にカナダのウィリアム・リースとマティース・ワケナゲルが発表した「収奪された環境収容力」について書かれた論文が初出で、のちに「人間活動が地球環境を踏みつけにした足跡(エコロジカル・フットプリント)」として用語化されます。
現在の世界全体の人々の生活を支えるには、地球1.7個分の土地が必要と言われており、すでに地球が吸収・浄化できる能力を超えてしまっているのです。
1950年に切断線を引き、それ以降を新たな地質年代で呼ぶべきだという考え方が示されています。その新しい地質年代の名前は「人新世(アントロポセン)」。提唱者はオゾン層破壊の研究で1995年にノーベル化学賞を受賞したオランダの大気化学学者、パウル・クルッツェンです。
2018年、アメリカは「新しいエネルギーリアリズム」を宣言しました。これはパリ協定に対抗するアメリカ主導の国際的なエネルギー政策のプランです。(中略)アメリカは規制ではなくイノベーションによって石炭や石油の炭素排出量を抑え、エネルギー輸出国としてアジアの開発途上国の生活水準の向上に貢献するとしています。
「プラネタリー・バウンダリーという考え方」
自然環境はある転換点を超えた時に、現在の均衡状態から別の均衡状態へ急激かつ不可逆的に移行するという事です。
このプラネタリー・バウンダリーが警告した9分野は全てSDGsに組み込まれています。
ドイツは建前では「脱原発をします。再エネが大事だ」と言いつつ、実際には石炭を使い、エネルギーが不足した際にはフランスから原子力の電気を買っている。ある意味で交渉上手なポジショニングをうまくとっていると思います。
風力発電のシェアはドイツやデンマークが強い。特にデンマーク企業の「ヴェスタス」という会社が有名です。
「RE100」は事業運営を100%再生可能エネルギーで調達する事を目標に掲げる企業が加盟する国際イニシアチブです。
SDGsはヨーロッパにとって有利なルールである。SDGsがもたらす新たなパラダイムは、第三極としてのヨーロピアン・デジタルが今までより存在感を高め、覇権を握る可能性を示しています。
ヨーロッパの人々にとって「個人情報」は「人権」と直接的に結びついているともいえるため、個人情報によって特定の人種・民族が迫害されることが二度とあってはならないというのは、彼らが歴史の中で体得した教訓といえるかもしれません。
スイスはいわゆる高福祉国家で、高齢者の暮らしやすさを評価するグローバル・エイジウォッチ指数では世界第一位となっています。
スイスの特産品、機械式腕時計はこの製品本来の機能を超えた所に特殊な価値を付与し、商品の価格を上げるのが、ヨーロピアン・デジタルの真髄といえます。
ヨーロピアン・デジタルと他の地域の資本主義の一番の違い、それは「歴史」にあると考えられます。チャイニーズ・デジタルは、もちろん長い歴史の蓄積を持つものの、文化大革命の時代に伝統文化を一時的に排除した過去もあり、2000年以上の伝統を積極的にブランディングしてきたヨーロピアン・デジタルには敵わないかもしれません。
デジタル発酵でイノベーションを生む。
その鍵はヨーロッパ・アメリカ・中国の三極の中間地点で熟成する「デジタル発酵」にあると考えています。これは三極の中間地点で独自の通貨と市場を維持しながら、文化とテクノロジーの両輪で付加価値を上げていくスイスのようなアプローチです。
「多様性を阻害する多様性は認められない」
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