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うつ病との正しい付き合い方大阪大学保健センター教授  大阪大学大学院医学系研究科精神健康医学教授 工藤 喬

私は現在「うつ病患者に対して友達視点から見た付き合い方に関する論文」を探している。
うつ病患者ではない人からみたうつ病患者に対する正しい付き合い方と、うつ病患者が実際にうつ病患者では無い人に行ってほしい正しい付き合い方のギャップを確認したいというのが目的だ。
今回の論文は題名からして私の目的を叶えてくれるものかと思ったが、大方に見られる的確な診断の重要性を唱えているものであり、求めているものとは違った。しかし、新たな知識や図・グラフを用いた論文になっていてとても面白かったため採用した。
 まず前知識として、4 大疾病(糖尿病、がん、脳血管疾患、虚血性心疾患)が精神疾患を入れた5大疾病になったのは平成23年のことであり、厚生労働省が発表した。精神疾患(うつ病や認知症)は4 大疾病のどの患者数よりも多くなっていて、国民に最も関わる疾患となっており、精神疾患の患者数は 323 万人いると言われている中で、うつ病を含む気分障害の患者が平成 26 年厚生労働省の患者調査によれば、111 万 6 千人と調査開始以来最多となっている。年間 3 万件弱の 自殺事案とも関連して、うつ病は最も重要な疾患と言える。
 本論文で面白かった点(新たな知識を得た)としては、うつ病を起こしやすいが存在するという点で、私生活に身近に存在する経口避妊薬・鎮痛薬(ペンタゾシン、インドメタシン、イブプロフェン、アスピリンなど)もそれに該当する。他にも潰瘍治療薬(シメチジン、ラニチジンなど)・抗精神病薬(フルフェナジン、ハロペリドールなど)・降圧剤(レセルピン、B遮断薬、メチルドパ、クロニジン)があり、医師と相談して薬の量を調節することは肉体の問題だけで無く、精神の問題にも寄与することが理解できた。(図3を参照)


また、私自身も他の論文で調べていた非定型うつ病と、調べていない新型うつ病についてもこの論文で触れられている。新型うつ病は従来型とは逆の特徴をいくつか持ったうつ病のことであり、若年層を中心に増えているとしている。(表2を参照)

啓発書やマスメディアで使われる非定型うつ病は、 教科書的なうつ病のプロトタイプに合致しないうつ病・抑うつ状態を広く指して用いられており、「新型うつ病」 とほぼ同義に扱われることもある。その為、「新型うつ病」という言葉は慎重に使う必要がある。
上記からもわかるように、新型うつ病は学術的に確立された概念ではない。だが非定型うつ病は確立された病気だ。非定型うつ病は、50 年以上も前に提唱された病気で①拒絶過敏 性②鉛用麻痺③気分反応性④逆転した身体症状が特徴とされている。「新型うつ病」と「非定型うつ病」が混同されている状況で、本来の非定型うつ病がきっちり診断できているかが今後重要になってくる。
結論として、「新型うつ病」と「非定型うつ病」の判別は非常に難しく、専門的に研究している人々でさえ完璧な理解をする事は難しい。このことから、うつ病を細かく分ける難しさと、今後研究がすすめられる必要のある病気であることが理解できた。

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ニュートン
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