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「うつ」の人への上手な接し方

 本論文は平成19年3月に秋田県・秋田県医師会によって記載された論文であり、健全者がうつ病患者に対して取るべき正解の対応が載っている。健全者がうつ病患者に対してどのように付き合う必要があるかを、医師会の観点から見て適切な答えを記載しているものである。私は現在、健全者からみたうつ病患者との付き合い方と、うつ病患者から見て健全者に行って欲しいと思っているうつ病患者と健全者の付き合い方の乖離を調べたいと思っており、今回の論文は前者の内容を理解できるものになっていると感じ取り上げた。
 今回の論文で述べられている事として、うつ病は生涯で10~20%の方が罹患するとても頻度の高い病気であり、自分や周囲の人がうつ病にかかる可能性が十分にあるため、健全者はうつ病患者と付き合う時の対応策を理解しておかなければならない。この理由から、うつ病患者に対して好ましくない対応の例と、より適切な言葉がけの例を挙げている。
①「「最近何となく体の具合が悪い」「だるくて仕方ない」(身体症状)・②「食べる意欲がない、味がしない」(食思不振)・③「ねつけない」「早く目がさめる」(不眠)・④「ずっとゆううつ、悲しい気分が続いている」「楽しみも悲しみも感じない」「すべてのことが虚しい」(抑うつ気分、失感情、空虚感)・⑤「死にたい、いなくなりたい」(希死念慮)・⑥「考えが進まない。ぼけてしまったようだ」「体が全然動かない」(精神運動抑制)・⑦「自分は存在する価値がない人間だ」「とんでもない罪を犯してしまった」「家が破産して大変なことになってしまう・・・」 (微小妄想、罪業妄想、貧困妄想)・⑧「興味がわかない」「何もやる気がおきない、おっくう」「人と会うのが苦痛」(興味・関心の喪失、意欲低下)・⑨「夜になるとすっかり元気なのに、次の日の朝はだめだと思う。」(気分の日内変動)・⑩「昨日はすっかりよくなったと思ったのに、今日は全然だめ。また悪くなってしまったのではないか。」・⑪「もう元気になって、疲れもとれました。 薬をどうしようか・・・」といった11個の良くある具体的な言葉の例を元に、良くある対応策と正しい対応策が述べられている。
 一つ一つの対応策について述べていると長くなりすぎてしまう為割愛するが、全てにおいて健全者に対してかける声かけとは大きく違っている事が共通点としてあげられる。相手の事を気遣った真意からでる対応の多くは不正解で、相手の感情や気持ちに寄り添う接し方が正解となる。相手に寄り添った上で、判断を迫られるような答えは長引かせる(長期にわたって考えればよいのでは?といった)工夫が必要だ。また、薬の服用や医者へのかかりつけなどを進める必要もある。知識が無いままで答えを出すのではなく、専門的知識のある医者に話を聞いて貰う行為を進める事によって、間違った答えや価値観を相手に植え付ける事が無くなる。
 全てを通して、相手のことを思ってかけた言葉や行動は、健全者が思っている以上に反対(症状を和らげない)の効果がある事が理解できたと共に、私のように調べた人だけではなく、多くの人が知識として知っている必要がある。その上で「助ける」ではなく、「寄り添う」心がけが、うつ病患者の心も体も救うきっかけになるのだと思われる。

備考

うつ病の回復期には、かかりつけ医や専門医を含め、理解と温かい支援が必要。
必ず回復することを念頭において接することが重要。

参考:抑うつ症状のアセスメント(厚生労働省・地域におけるうつ病対策検討会による)
1.うつ気分(ほとんど毎日、ほとんど一日中の持続)が2週間以上持続
2.興味や喜びの喪失(ほとんど毎日、ほとんど一日中の持続)が2週間以上持続 3.食欲の減退または増加:下記のうちいずれか・[食欲低下]が2週間以上持続[体重減少]が1ヶ月に3kg以上・[食欲増加]が2週間以上持続 [体重増加]が1ヶ月に3kg以上
4.睡眠障害(不眠または睡眠過多):下記のうちいずれか・[不眠]が2週間以上持続・[過眠]が2週間以上持続
5.精神運動の障害(強い焦燥感・運動の制止):下記のうちいずれか ・[動きが遅くなった]が2週間以上持続し、そのことを誰かに指摘された・[じっとしていられない]が2週間以上持続し、そのことを誰かに指摘された
6.疲れやすさ・気力の減退が2週間以上持続
7.強い罪責感(自分に価値がない、罪悪感)が2週間以上持続
8.思考力や集中力の低下(決断困難/思考力減退/集中力減退のいずれか)が2週間以上持続
9.自殺への思い:下記のうちいずれか・[死についての反復思考]が2週間以上持続・[自殺念慮(自殺をしたいと思うこと)]が2週間以上持続・[自殺念慮]に具体的な計画が伴っている・[自殺念慮]を実際に行動に移した(自殺企図)

※1.~8.のうち2つ以上あるか、9.が見られる場合は、うつ病の可能性が高いと言われている。医療機関への受診を勧める必要がある。

utsu.pdf

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