スモーキング・オン・ザ・ドア :ep1
「しかしいつ見ても殺風景な部屋だな」
部屋の中はオフホワイトの壁紙。ダークブラウンの扉。ベッド以外なにもないワンルーム。それがこの部屋の中の温度を決めているような気がする。全く生活感のない部屋だった。俺はこのドアの上が気に入っているため、大抵はこの上に座っている。住人はひょろっとした長身の男。容姿からするとモデルとか俳優なのかもしれない。ここにはほとんど帰ってこず、たまに帰ってきたとしても部屋の掃除をするか寝るだけだ。そんなわけで誰にも邪魔されずゆっくりとタバコをふかすことができるため俺はこの部屋とドアがとても気にいっている。