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二十歳になってすぐ、私は政府から呼びだされた。審議の塔に来いという。
街の何処からも見える審議の塔は本来であれば選ばれたものしか立ち入ることを許されない、正義の象徴だった。長く緩やかな螺旋状の階段を登る私の足は不安というよりも得体のしれぬ希望に少し浮ついている。
「あなたには致命的な欠陥があることがわかりました。けれど大丈夫。この国はあなたを決して見放しません。どうか安心してこの国の秩序を守るために試練を受けてください」
審議官の言葉は全く予想だにしていないことだった。私には国民の平均レベルの半分ににしか満たない記憶機能の欠陥があり、それを補うための施術を受けなければならないというのだ。
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