あかるい裸族計画
その自動販売機は八百屋と電気屋の間の細い路地の角にあって、ベージュ色の表面にはところどころ赤錆が目立ち、ガラスは曇って色あせていた。
「明るい裸族計画」ガラス越しにやっと見える薄い説明には随分と個性的な文字が踊っている。
「なんだこれ。買ってみようか」それは全くの気まぐれだった。
アパートに戻り部屋の電気をつける。28歳一人暮らし。フリーター。明るい家族計画とはかけ離れた部屋で、ポケットからさっき手に入れた小さな紙の箱を取り出す。
「明るい裸族計画」
箱にはやはりそう書かれている。昔あったコスモスの赤い自動販売機のインチキガチャガチャを思い出す。箱の中にはビニールでできた葉っぱ3枚と、小さな種が3粒入っていた。
忘年会でこの葉っぱをつけて踊れとでもいうのか。そもそもビニールでできているのだから透けてしまうのではないか。裸電球に透かすとその疑問は間違いではないことがよく分かった。