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「世界青年の船」の通訳とガイドを担当して沢山の気づきを得た話
用務:内閣府世界青年の船事業における島根県での地域実践活動成果発表
日程:2024年2月12日(水)
場所:境港市境夢みなとターミナル接岸中「にっぽん丸」船内
発表者:内閣府世界青年の船参加青年 約200名
参加目的:本事業は、次世代グローバルリーダー育成のために、内閣府主催で開催される国際交流事業で、日本と世界各国から約200名の青年が1ヶ月かけて日本を船で一周するもので、今年は静岡に2日間、島根に5日間停泊し、研修を行う。
本成果発表は、参加青年が島根県各地を訪れて学んだ地域課題をまとめ、英語で発表するもので、彼らの島根で得た気づきを聞き、今度の島根におけるインバウンド事業の参考にしたいと考える。また、世界各国からの参加者とのネットワーク形成にも重要な機会となると考える。
前置き:
事前(2/9(日))に、通訳と町案内ガイドとして、参加青年や実行委員の方々と交流をした。午前中は、大森町でレンタサイクル業と飲食業を営む河村政二氏の「観光とオーバーツーリズム」に関する講演の90分の通訳を、昼食後は、町並み案内ガイドをした。
私が案内した方々の出身は、アルジェリア、セネガル、ジブチ(カナダ在住)、パナマ、オマーン、日本で、様々な視点からの質問や発言は、非常に興味深かった。
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感想:接岸中の「にっぽん」丸はセキュリティーが非常に厳しく、入るのにも多くの手続きが必要だった。会場に入ると200名+実行委員会の方々の熱気を感じた。
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90分の活動成果発表では、島根県内で8グループに分かれたように、8つのグループ別に10分ずつ発表が行われた。公用語は英語のため、全て英語で行われた。
全てのグループが島根初日に津和野を訪れたから、必ず発表の最初は津和野について行われたので、全員で訪れた津和野は、参加者にとって大きなインパクトがあったのだと思った。
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6つ目のグループが、私が大森町で通訳とガイドを担当したグループで、彼らのテーマは「観光とオーバーツーリズム」。
青年たちは8グループ(約200名)全員、島根滞在中、2日間に分けて、西と東を訪れることになっているのだが、この観光グループは、西は大森町、東は松江のかたえ庵という宿を訪問していた。
8つ目のグループは温泉津のWATOWAを訪れたのだが、大森も温泉津も、残念ながら、東の滞在のインパクトが強かったのか、写真や発表内容もボリュームが少なかったのが残念だった。
どのグループも、訪れた町で気づいたこと、そして気づいた課題とそれらの解決策を提案していた。
今回の活動成果発表では、20代前半〜後半の若者が「自分達で話し合った内容をプレゼンテーションをする」という点では良い経験になったとは思うが、気になったのは、発表内容だ。
エンパワーメントがテーマのグループの発表では、「がんばれば、津和野は京都になれる!」と皆で大声で口を揃えて言っていたのには違和感を覚えた。大森町での午後のディスカッションの際も「どうやったらこの町は improve (改善)できるか」をテーマに話し合う時も、そもそもimproveの概念を皆で事前に話し合う必要があると感じて、それをせずにディスカッションすることに危機感を覚えたが、今回も、そのメッセージは、島根県の持つ良さや今後目指すものの本質とずれていないか気になった。
「環境面でもっと改善が必要だ」「その改善策として2つ挙げられる。1つはゴミを減らすこと、もう1つは、エコパッケージを使うこと」と発表があったが、このプログラムが、将来のリーダーを育成するプログラムであることを考えると、もう少し具体的且つ画期的なアイデアを提案できるとより良かったと思った。また、8グループもが、島根各地の抱える課題とその解決策を発表していたので、この船上プログラム終了後も、引き続き関わってくれたら良いと思った。
とはいえ、上限30歳までの青年が参加できる本プログラムは、私も若い頃知っていたら絶対参加したかったほど、世界各国との繋がりができる素晴らしい活動だと思った。最後に、青年代表でスピーチをしたアルジェリア代表とパナマ代表の青年たちの発表は素晴らしく、将来、自国や世界を引っ張っていくリーダーとなる素質があると感じた。今後の活動に期待したい。
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