ポルシェ追突事故と車両保険の関係@弁護士
8月2日、首都高速湾岸線で悲惨な事件が起きた。都内在住の会社役員が、ポルシェを運転中、前方を走行する乗用車に追突し、夫婦2人を死亡させるとても悲惨な事故を発生させた。加害者は、当然、自動車運転死傷行為処罰法違反の疑いで逮捕されており、警察の調べによれば、「100キロ以上スピードを出していた。」と供述しているそうである。
並走するトラックのドライブレコーダー映像が公開されているが、ものすごい速度で追突する事故が記録されており、刑事で重罰を受けるべきだろう。
加害者は、4000万円もすると言われる高級車ポルシェ911 GT2 RSに乗っていたようであり、車両は大破しているが、車両保険金は支払われるだろうか。車両保険に係る自動車保険約款には通常、重過失免責を規定している。そして、事故現場の制限速度を80kmと仮定した場合、ドライブレコーダー映像では、これを遙かに上回る速度で走行していることが確認できるが、下記、類似裁判例が存在する。
東京地裁平成29年12月1日判決では、スカイラインGT-R32で、制限速度時速80kmの道路を時速216km程度で走行し、運転操作を誤って事故を惹起した事案で、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態にあったといわざるを得ず「重大な過失」があったと判示した上、重過失免責規定を適し、車両保険金請求を棄却した裁判例がある。
したがって、本件でも、ドライブレコーダー映像の解析がなされ、事故時点における走行速度が判明し、制限速度80kmを遙かに上回る速度で走行していたことが立証されれば、車両保険金は支払われることはないだろう。
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