コロナと賃料減額の関係性(5/9時点)@弁護士
新型コロナウィルスで売上げが激減している中小企業や飲食店などは、賃借するオフィスビルやテナントの賃料の支払いが困難となっている。賃借人としては、オーナーに対し、賃料減額を求めたいところだろう。
しかし、一度合意した賃料を減額するには法的な根拠が必要であり、①賃貸借契約書に規定されている賃料減額にかかる規定に基づく請求(賃貸借契約書を確認してください。)②民法611条1項に基づく賃料減額請求、③借地借家法32条に基づく賃料減額請求、④事情変更の原則の4つの方法が考えられる。
以下、各法的根拠について、説明する。
①について
オーナーと締結した賃貸借契約書の条文を確認し賃料減額が可能か検討。
②について
オフィスビルやテナントを閉鎖した多くは、賃借人の事情によるものであり、民法611条1項で規定する事由には該当するとはいいづらい。したがって、同条分に基づく賃料減額を求めることは厳しいと考えられる。もっとも、賃貸人が賃借物件の閉鎖を決定した場合には、同条文の適用はあり得る。
③について
賃借人の売上げ激減は、直ちに、賃料減額請求を基礎付ける事由となる解釈は厳しいだろう。近隣不動産の売買価格、賃料水準、固定資産税評価額等が低下していないのであれば、借地借家法32条に基づく賃料減額請求も容易でない。
④について
事情変更の原則とは、民法の一般原則だが、同原則は認められるケースは相当限定されており、同原則に基づく賃料減額請求も容易でない。
上記のとおり、法的に、賃料減額を求めるのは容易でない。そこで、賃貸人に対し、経済的合理性の観点から、賃料支払の猶予及び減額を求めていくロジックを下記で公開する。