不育症について
妊娠をしても赤ちゃんが育たず、2回以上の流産や死産を繰り返す場合、不育症の疑いがあります。
その原因は不明なことが多く、検査をしても分からない場合が多いです。
繰り返してしまう流産や死産があると、気持ちも落ち込んでしまうことと思いますが、不育症でも出産されている方はいらっしゃいます。
流産は、妊娠初期が多いと言われているので、妊娠初期のお体の状態がどうなっているのか考えてみましょう。
受精卵が内膜に着床すると、徐々に内膜の深いところへもぐりこみ、受精卵を包むための膜をつくり、母親から栄養をもらうための毛細血管、へその緒、胎盤が作られます。
赤ちゃんは、へその緒を通してお母さんから栄養をもらいますが、へその緒は胎盤とつながっています。
へその緒の末端は絨毛と呼ばれ、毛細血管の集まりからでき、胎盤の中にあります。
この毛細血管にはとても重要な役割があり、酸素、ホルモン、必要な栄養素を含んだ母親側からの血液を取り込み、胚芽(胎児)からの不要なものを静脈血と一緒に胎盤へ排泄します。
また、胎児によって不要なもの、ウイルス、細菌、母親側からのタンパク質は、毛細血管から通れないような仕組みになっています。
このように小さな物質を通したり、通さなかったりと、とても精密な仕組みになっているため、血液の質、血流などがポイントとなります。
そのため、病院で不育症の検査をされて、必要に応じ、血液凝固作用のあるアスピリンやヘパリンなどを処方されることがあります。
なぜ赤ちゃんに栄養が届かないのかを中医学的にみると、よくあるケースとして瘀血、気滞、痰湿、気血両虚など、滞りや必要なものが足りてない場合があります。
赤ちゃんにまで分け与えることができる十分な血や気を補い、痰湿や瘀血などの滞りをとり除く必要がありますが、妊娠中は服用する漢方に十分な注意が必要です。
さらに妊娠中であれば、安胎のための漢方も必要になるます。
ところで、排卵後の卵子はどこからも栄養をもらわずに、受精後、細胞分裂しながら着床しますが、毛細血管をのばしてやっと栄養をもらえます。
そこまでなんとか持ち応えた卵子が、週数による標準な大きさと比べてどうなのかということは確認できても、どこまで健康な毛細血管、さらに順調な細胞分裂が健全に行われているのかまではわかりません。
そこで見直すところは、卵子や精子の質ではないでしょうか?
卵子の質が数値的に見て悪くなくても、どこまでパワーを秘めているかまではわかりません。また、男性側の検査に問題がなく、元気に動いている精子でもDNAに損傷があることがあります。
この場合、男女どちらの体質も見直しは必要です。
さらに、不育症にはリスク要因というものがあるため、先に検査をして問題がないのかを知ることは大事です。
リスク要因として次のことがあげられます。
・抗リン脂質抗体症候群
・子宮形態異常
・染色体異常
・内分泌異常
・血液凝固異常
ご心配な方は、一度不育症検査を受けて、ご自身の現在の状況を確認しましょう。