ベイリン卿に捧げるnote
ベイリンベイランよ、やすらかに、眠れ。
私は何故だかアーサー王物語に登場するベイリン卿が気になって仕方ない。
なんだか好きだなと思ってたら、五感(大阪は北浜にあるすごく雰囲気のいいパティスリーブーランジェリーカフェである。歴史的建造物であり内装も素敵だが、敷居の高い雰囲気がなぜかしないため、とっても人気である)でお茶しているときに、前世なのかと思えるくらいに鮮明にベイリン卿が見えてきて、ベイリン卿が此方に話しかけてきたことがあるくらいだ(ここまで読んで、だいぶこの人ヤバい人だな、と思った方。イエス、ヤバい人です。自覚はあるから暴走はしてない、大丈夫!!)。
たぶん読んでる人はアーサー王物語がすごく好きな人か、すごく珍しいベイリンファンの同士だけだと思う。
もしかしたらヲタクの新鮮な悲鳴が好きな人かもしれない。
どうぞよろしく。
さて、とりあえず、ベイリンファンとベイリンについて語り合う機会が、今まで恵まれず、なんというか己の中にグルグルファイヤーで。
昨日ストーリーテリング(物語を語る技法。文章を読む朗読ではなく、その場の即興で物語を語る方法。具体的にいうと、普段、友達と会話していて、こないだあったことを話すときあるでしょ。あれの物語版みたいなの)をしたのだが、その熱さめやらず、昨夜ルーズリーフにしたためたのだが。
ちなみにストーリーテリングは此方。興味ある方はお聴きくだされ。ベイリン卿の最初から最期までです。
https://twitcasting.tv/c:ginyumu/movie/633363978
ネットに出しておけば、どこかのベイリンファンが発見して「おぉ……心の友よ!!」と思ってくれるのではないか。
やはり外に出さねば。
心の友よ、私はあなたに話しかけよう。
さて、話を進める。
ベイリンのお話がひとくさりあるのに、ツッコミを入れる形式がいいか。
ベイリンの魅力に注目して、好き勝手に暴走するか。
お話で書こうとしたが、ちょっと書いたところで、正直4,5時間かかりそうだったのでやめる。手が痛い。
ベイリンの魅力といえばその強さ!!
40人を二人で倒せるということは一人で20人始末できるということでしょ。
アーサー王の何百人はちょっと桁違いで盛ってる感ありますが、20人だとリアリティありませんか。
まあ、ライエンス王の弟ネロと戦ったときは「天使」とか「悪魔」とか言われてるくらいなので、アーサー王ばりにえげつなく強かったとは想定されますが。
ベイリンの魅力その2,ピュアッピュア。
こーれーねー!マロリーの『アーサー王物語』(アーサー王もの最大手)だとそこまでではないけど、ヴィクトリア朝の桂冠詩人テニスンの書いた『国王牧歌』だと、そのピュアさに悶えます。
ランスロットをお手本にして、己を高めようとせっせせっせと努力し、王妃様や王様を心から素晴らしいものと思い、励んでたら。
ランスロットと王妃様の不倫の現場らしきものを偶然目の当たりにしてしまって「え……?!」ってなっちゃって。
その後ぐるぐる悩んで、ヴィヴィアンに煽られたりしたりもするけど。
最期のときに、弟のベイランが「王妃様はピュアですよ、信じて大丈夫ですよ」というようなこと言うんですね。
たぶんベイリンのピュアさを傷つけないように弟ベイランくん、優しい嘘ついたんじゃないのかな、これ……。
うわーん、ベイランいい子ー!!
お兄ちゃん、すごく強いけど情緒不安定だからね!!安心させてあげなきゃだもんね!!
ベイランいい子といえば、ベイリンが死ぬときに、暗に「俺は地獄行きだがお前は天国に行くだろう」的なことを言うんですが。
ベイランは「彼方でおはようを」というんですよ!!!!!(テニスンによる)
つまり!地獄だろうが、天国だろうが、僕は同じところに行きましょう。
って、言ってくれてる?!!
ベイラン、ベイラン、最高かな。お兄ちゃん大好きだな。
すごく世話が焼けるけど、こんなピュアな人、他で見ることなんかないからベイランくん、ベイリンが大好きでたまらなかったんじゃないかな(これは私の妄想)。
なんていい弟なんだ……(ベイラン上げ)
ちなみに、ベイリンベイランはケルト神話の太陽神ルグが二柱に分かれたもの、と研究者さんに言われてるのですが。
死ぬのは太陽が沈む。
彼方はまた翌日の太陽。
ということかな、と思ったら、ただすごく、自然の営みに見えてきていいですね。
人の物語かと思ったら、自然現象の話だった、みたいな。
マロリーの話に戻りますが、本当、ベイリン卿は前に前に前にひたすら進んでいきます。
た、太陽感ある〜!!
邪魔があったら全部倒していくし、それが善行と言われようが、悪行と言われようが、そんなことは関係なく。ベイリンはベイリンの正義に基づいて粛々と前に進むだけ。
はー、最高かな。太陽だ。
太陽といえばギリシャ神話のヘリオス神も、空気読まないマイペース発言かますので、ドン引きしたことあるのですが。
太陽はマイペースに進んでくれないと困るわな。
長長と止まったり、びゅんびゅん早く暴走されたらそっちの方が迷惑。
太陽は粛々と進むのだ。
さて、ベイリンといえば、ロンギヌスの槍でペラム王に悲惨な一撃を与えたことで有名なのですが。
あの事件の顛末を見ていて、ベイリンが責められるの、理不尽だな、とぷんぷんしちゃうんですよね。
姿を透明にして通り魔殺人を繰り返すガーロンをベイリンが殺したことで。ガーロンの兄のペラム王が「弟の仇!!」とベイリンに刃を向けるわけですが。
弟の仇とかなんとかいう前に。
通り魔殺人する弟を放置してたペラム王の方が、極悪人だろう。
ね。
権力者が身内が犯罪をやってるのを容認してる状況でしょう。思いっきりあかんやん。
なのに、なぜかベイリンが「尊いペラム王に傷をつけた罪人」扱いされているんですよ。
納得いくか?いかない。
罪人はペラム王の方よな。
血筋が尊くても、行いが罪なら罪人よな。
そんなふざけた男をきちんと迎え撃つ。
これがベイリンが大好きなところの一つですね。
王に重傷を負わせたら国が揺るぐから王を傷つけるのはヤバい(不思議でしょ。でも、アーサー王世界がそういう風にできてるんですよ。たぶん、王の身体と土地がリンクしてる考え方)。
それはわかる。
でも、じゃあ、通り魔ガーロンに無闇に殺された騎士たちはなんなのか??踏み潰されて、省みられないのでいいと??理不尽。
そんな。理不尽な状況をぶったぎってくれるベイリンに、胸のすく思いがあるのかもしれない。
ベイリンが全く正義、というわけでもないんですけどね(正義というものは突き詰めると、その時代のシステムが仮に決めただけのもの。本質においては正義も悪もない、と私は思っています)。
それでも、なにか、彼の存在はね。
少数の虐げられて省みられなかった人の思いを、圧倒的な強さで示してくれる存在。
そう見えて仕方ないんですよね。
素敵だなぁ、ベイリン。
全部をなにもかも賞賛できるわけではない。
でも、たしかに素晴らしいものがその中に煌めいている。
ベイリン卿とはそういう存在なのではないか、と思います。
吟遊詩人は旅するもの。我が旅の軌跡が少しでもあなたの心に響きましたら、ぜひとも旅の路銀を投げ銭くださいませ🪙