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ラグナロクと叡智

北欧神話の主神オーディンは、高座フリズスキャールヴからこの世を見はるかした。

オーディンは鴉のフギンとムギンからこの世の動きを聞いた。
オーディンは知恵を授けるミーミルの泉から知恵を得た。
オーディンは自己を生贄にルーン文字を得た。

オーディンは全智を得るために全精力をかたむけていたと言っていいだろう。
最も大事なものは叡智。

しかし、ラグナロクがオーディンの世界を襲った。オーディンを喰らったのは、神々が罠にはめた狼フェンリル。
狼フェンリルが罠にはめられたとき、神々は嘲笑った。しかし、嘲笑ったものは報いを受ける。
ロキの子フェンリルを嘲ったのは神々。神々にはオーディンも妻のフリッグも入るであろう。そして二人の子の光の神バルドルはロキの奸計で死ぬ。バルドルの黄泉がえりもロキに阻まれる。
それはロキによる復讐ではなかったか。
ロキの子を虐げておいて、己が子だけの無事を願うなどという自分勝手さ。その報いではなかったか。
嘲笑が、いまだなくならない人類の罪が、ラグナロクの引き金ではなかったか。
自分と自分の家族だけが幸せで、他人は虐げて嘲笑うのがラグナロクの引き金ではなかったか。
私はそう思うのである。

人を思いやる愛に欠けた叡智など、なんの価値もないのかもしれない。

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