見出し画像

猫探偵 ミケネコ _6ヶ月のクロ_④

④続き

 昼間千葉の飼い主さんの下へと向かう。
気持ちは晴れやかだ。というのも今朝、昨日の場所へ行くとやはり姿はなかったそう。

 しかし飼い主さんが名前を呼ぶと声に反応し、出てきたらしく。そのまま優しく抱き上げて今はお家で休んでるとのこと。

 飼い主さんの事愛していたんだね

 本当に良かった。

 ピンポーン 

 呼び鈴を鳴らす

 「こんにちは!ぜひクロちゃん見ていって下さい!」

 初めて見る満面の笑顔で招かれる。この仕事のやりがいを感じる瞬間だ。

 人から感謝されるってさ、麻薬みたいな快楽物質出てるんじゃないかと思う。

 「最初は諦めそうだったけど、何回か名前を呼んだら草葉の陰からにゃ~って出てきて足元にすり寄ってきたの!やっぱり覚えてくれてたのね〜!」

 いや、草葉の陰は違うでしょう、、
心の中でツッコミつつやっぱりこちらも嬉しい😄

 「良かったですね!体調の方はどうですか?」

 「今は落ち着いて甘えてきてるわよ笑
残りの命を温かい毛布と美味しいご飯で過ごさせて上げられてホッとしてます。ありがとうございました😊」

 「こちらこそありがとうございました😊」

 飼い主さん宅を後にする。とても清々しい。今日は美味しくお酒を飲んで寝ることができた。今頃くろちゃんも、気持ちよく寝てるのかと思うと、お酒の量も自然と増えてしまい気がつくともう翌日の昼過ぎだった。





 眠い目でスマホを見ると、飼い主さんからメッセージが届いていた。

(以下、飼い主さんとのやり取りを載せます。)

 「悲しいお知らせでごめんなさい。でも、探偵さんにはお伝えしたいかなと思って。
 実はクロちゃん、今朝に死んじゃいました。ショックで悲しいですが、最後にうちに戻って一晩過ごしてくれてよかったと思ってます。私が出社したときはわりと普通だったのに、夫が出社するのに様子を見たときはもうあちらに逝ってたようです。夫は、寝ていると思ったようですが夜に帰宅後は冷たくなっていましました😢」

 「わざわざご報告ありがとうございます。悲しいですが、最後におうちに帰って安心して眠ったように思えますね。一生懸命探してくれる親切な飼い主に最後に招いてもらえてくろちゃん幸せだったと思います。くろちゃんのご冥福を祈ります。」

「本当にありがとうございます。いずれにしても、探偵さんのお陰で最期に会うことができて心から感謝しています。今後もお体に気をつけて、迷える猫と飼い主のために探偵してあげてくださいね☺️」

 ほんとうに温かい毛布と飼い主さんに再開できて、そのまま安心して眠りについたんだね。

 スマホをベッドに置く、少し部屋の空気が冷たくなったような気がした。でも変わりに胸は少し熱くなっている。すぐに依頼が欲しくなった。

 医者でもない、特別な才能がある訳じゃない僕が人を助けて感謝される。これはこのペット探偵だけだと思っている。

 これからも一匹でも多く、一人で多く救えるようになりたい。

終わり

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?