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猫探偵 ミケネコ _6ヶ月のクロ_②
②続き
どんな飼い主さんなのだろうか、、
一抹の不安を抱えながら現場へ急ぐ、前述のとおり依頼者は家族が居なくなっている状態なので、平常なわけはない。捜索が長引いたり、万が一見つからなかった時にこちらのせいだと言わんばかりの飼い主さんもいる。(しっかり落ち着いて対応してくださる方もいます。)
少し想像してみる。
余命半年、、やっぱりそれがモヤモヤする。
「なんとか無事でいてくれ」
そう思ううちに飼い主さんのお宅へ到着し、早速お話を伺う。先ずは挨拶を済ませ契約を済ましてお話を聞いてみる。優しそうな人だ。
「こんにちは、よろしくお願いします。
先ずはいろいろ状況を教えてもらえますか?逃げた原因や方向等が分かれば有り難いです。」
「こんにちは、はいよろしくお願いします。
理由はよくわからないです、、
せっかくお家でゆっくりしてほしかったのに、、
そこの窓の隙間から出ていったみたいで、、
その瞬間は観てないので方向もわからないです、もう一匹の猫ちゃんは逃げなかったんですけど、、」
「わかりました。おそらくずっとお外で生きてきて自分が1番だったのに、このお家では先輩猫がいてストレスだったんでしょう。この子は好奇心とかではなくストレスでわざわざ出ていってるので、この子は帰ってくる可能性よりどこかお外に居着くと思います。お外に慣れているので。」
勢いで逃げた猫、好奇心でふらっとでた猫、目的があってお外にでた猫、それと外で暮らしたことがあるのか。
この辺の情報はかなり使える。この子はお外の暮らしが良くて逃げてる以上どこかで縄張りを作る。そしてリスクを犯して新しい縄張りよりも、元の自分の縄張りに戻っているだろうな。
直感的に確信した。
早速そのことを伝え飼い主さんと一緒にいつも餌をあげていた付近へと向かう。道中もよくお話をしてくれる飼い主さんだった。
「病気もあるし、既に数日逃げて経過しているしご飯もあげれていない。もう死んでたらどうしたらいいか、、、」
依頼者はもうわが子が死んでいるのではないかと考える方も多いが、はっきり言ってまずあり得ない。もちろん状況によるが猫は警戒心が強いため、危険を冒さない。無理に道路を渡ろうとしたりむやみに喧嘩したりせず、人に捕まらずに隠れている。危険があると思えば空腹よりも優先して隠れている。
ご飯も一か月ほど食べない子もざらにいる。
健康ではないが何かない限りまず生きている。
「動物は決して生きることを諦めません、生きることを諦めたり、自殺する動物なんて人間だけですよ。絶対に生きてます!大丈夫、見つけますよ!」
「そう信じます。あの子がこのまま寒空の下一人で苦しんで死んでしまうなんてあんまりです。」
「優しいんですね。」
「というよりも、あの子を最後に一度幸せにすると決めたんです。
一度愛すると決めたんです。私にはその責任があるんです」
「素敵ですね、必ず保護しましょう!」
この飼い主さんが好きになった。
猫に対して愛情は持っていても責任は持っていない人は結構いる。この人はしっかりと可愛さだけではなく、見るべきものをみている。なんとかすぐに見つけてあげたい。
10分ほど歩いて例の場所へ着いた。探してみる。
見当たらない、、、、
まずは付近へ聞きこみながら情報を得るためビラやポスターを貼る。
夜になりライトを使い探していく、遠くからでも目の反射で発見できる。
いない、、、
もしかしたら家の近くなのか、体力が落ちているせいで元の縄張りまでこれずに途中に居ついたのか、元の縄張りから失踪宅が離れているため捜索範囲はかなり広くなる、、
そして、体は病弱、、
少しずつ嫌な予感が強くなっていく
それを表情に出すわけにはいかない
飼い主さんを安心させるのが僕の仕事だ
5時間歩き回ったところで仕切りなおすことにした、後日改めて家の付近からしらみつぶしに捜索していく事を飼い主さんと決める。
③へ続く
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