柳美里 JR上野駅公園口 読了
上野駅には、当時のオリンピックを支えた東北出身のホームレスが多いと言う。2度目のオリンピックを彼らはホームレスとして迎える悲哀。天皇と同じ時に自身が産まれ、同じ時に子供が産まれ、しかし彼は、「山狩り」される側。天皇の視線から外される彼らは、天皇をみて、ある種の陶酔感を持って手を振ってしまうその絶望。光と影を見る。始まりと終わりの音。それに反して作中に漂う静けさの中男の哀しみだけが読むものの鼓動を静かに叩く。読後は寂しさに襲われるが、これは消してフィクションではなく、ノンフィク